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神聖剣使いの姫騎士と鬼神刀使い  作者: ザウルス
学園編
27/63

連れてきたぞ!

「というわけなんだ。もう、あの校舎は無い。」

「はぁ、それは気の毒でしたね。」


これまでの出来事をなるべく怒らせないように、マサトーナに話す。


あれは、完全に俺が悪いのだが、旧校舎が古かったからなどを強調したせつめいだった。俺が力を使ったのは内緒。


記念遺産にするかもしれないと聞いたときは、ものすごく怒鳴られるかと思ったが、説明の甲斐あって防ぐことができた。


王様には悪いが、もうあの校舎は潜在しない。形あるものはいずれ、崩れ去る運命だ。


今は、新しい校舎がある。汗水たらして作ったこの校舎は記録遺産よりも価値がある。


「ですが、よくこれを学生だけで作りましたね。もし、Fクラスで建築会社を作ったらすぐに大企業の仲間いるをするでしょうね。」

「ああ、ものすごく大変だった。」


マサトーナもこの出来栄えに感心しているようだ。デザインはエドによるものだが、全員が力を合わせて作ったのだ。


マサトーナもFクラスよ底力を見た事だろう。マサトーナには言っていないが、釘を一本も使ってない。旧校舎の材料もなるべく使って、木を切りすぎないようにした。


「この玄関を見ればわかります。1ミリも寸法が間違っていませんね。」


どうやらマサトーナも共感してくれたようだ。


新築な為あって、木の匂いがまだ残っている。木の匂いは、人を落ち着かせ、まるで森の中にいるような気分になる。さらに、虫除けの効果があるため、安眠を妨害させるなんて事は無い。


とりあえず、マサトーナを招き入れなければならない。


向こうの校舎と違い、ここでは靴を脱いで、スリッパに履き替えてもらった。


カズトの独断であるため、Fクラスのメンバーは何も知らない。唯一、エドだけには担任をやってくれそうな者を探してくるとだけ言ってある。


それの者がまさか、この学園の理事長となるとどんな反応をするだろうか。


カオスが起きそうな気がする………ショック死者が出そうだ。


そう起きないためにも、彼女には待機してもらう事にした。


Fクラスのメンバーを全員集め、準備ができたら合図を送るつもりだ。ここには、遊び要素がいっぱいあるからそれを見つけて楽しんでほしい。気づくか気づかないかは彼女次第だが。


Fクラスの扉の前に立つ。今度は前みたいに複雑な開け方をしなくてもいいから助かる。


扉を開けると、珍しい事に全員が揃っていた。


だが、全員寝ている。


「よう、カズト。どうだった?」


エドが話しかけてくる。Fクラスのリーダー的な存在なだけあってしっかりしている。彼の机だけは、きちんと教科書が置かれている。下には、消しカスとくしゃくしゃな紙があ山積みになっていた。一体何の教科をやっていたのだろうか。


「で、どうだった?」

「ああ、何とか見つかった。」

「おお! 聞いたかみんな!」


瞬間。寝ていたはずの全員が一斉に起き出しし、その光景は異様とも思えるだろう。死者達がいきなり蘇ったみたいだ。


そこからは質問攻めのオンパレードだった。その重圧で窒息死しそうだった。


質問は全部同じで、誰が担任なのか。ちゃんと授業をしてくれるかだ。


カズトは全員に「信頼できる奴が担任になった。」と言い聞かせ、全員を対象席に着かせる。


ついでに、意味深な目をしながら「覚悟しておけよ」と言ったが、全員が「何の覚悟だ?

」と疑問を持ったのは言うまでも無い。


「お願いいたします!」


扉から手を出し、サインを出す。いつもはマサトーナに対してなれなれしかったが、Fクラスのメンバーに関係を怪しまれないためにも、授業中は敬語を使うようにしている。


コトコトコトコト。


廊下から足音が聞こえる。全員が誰が来るのかを楽しみにしている反面、緊張している。

初めての授業をこれから受けるのだからだ。


ガラガラ。


扉が開いた。


「どうも、これから皆さんの担任になったマサトーナです。よろしくお願いします。」


………………


空気が一瞬で静かになる。この状況をどうやって説明したらいいのか。


カズトをはじめ、Fクラスのメンバーの目の前にマサトーナがいる。これだけでも奇跡。しかも、担任をすると言っているのだ。


全員がこの状況を飲み込めてないようだ。


あまりの静かさに、マサトーナも何かまずいことでもしてしまったのかの様な表情だ。いや、マサトーナは悪く無い。独断で決めたカズトの責任である。


クラスが静まり返ってる中、エドがカズトに話しかける。


「おい、どいうことだ。落ちこぼれのクラスにマサトーナ様がいるんだ。俺は夢でも見てるのか?」


そう言うと、カズトはエドの耳を思いっきり引っ張る。


「いてて!なにしやがる!」

「ほら、夢じゃないぞ。」


改めて、マサトーナの方向を見る。


「ほら、これからの担任をしてくれる先生だぞ。歓迎しなきゃだめだろ。室長さん。」


エドは室長では無いが、一番リーダーシップがあるので、カズトが勝手に決めた。恐らく、誰も反対はしないだろう。あの時のエドの姿を見たFクラスのメンバーなら。


カズトは背中をポンと押し出す。そのせいで、エドが転びそうになったのは言うまでも無い。


エドは「後で覚えてろよ!」な顔をしている。


だが、それもすぐに立て直し、改めてマサトーナに挨拶をする。


「あなたが、エド君ですか。カズト君から聞いています。あなたが中心になってここを建てたそうじゃないですか。リーダーとしての気品を感じました。」

「いえ!恐縮です!」


エドはガチガチになりながら、敬礼をしている。無理もない。生きる伝説が目の前にいるのだから。ここまで、近いと緊張の限りだ。


これから担任になるのだから、早く慣れてほしいものだ。


マサトーナもカズトに「私が教師なんてできるんでしょうか?」と心配していた。。少なくともFクラスのメンバーはいい奴らの集まりだから、そのうち打ち解けると思う。それをどうするかはマサトーナ次第だ。


カズトもできるだけ協力するつもりである。


「とりあえず、出席を取ります。全員席についてください。」

「「「「「はい!」」」」


マサトーナには、Fクラス全員の名簿を渡してある。記憶力のいい彼女なら、直ぐに覚えることだろう。


「ライン=カルマン。」

「はい!」

「アリア=ニコロール。」

「はい!」


マサトーナは次々と出席を取っていく。返事をするだけでもいいのだが、中にはタッチ上がって敬礼するものもいた。


それを見た、マサトーナは笑っていた。だが、すごく嬉しそうでもあった。


「では、最後に……鬼神カズト。」

「はい!」

「全員いますね。では、これより授業を始めます。2時間目は終わっているので3時間目から始めます。3時間目は実技演習です。全員、グラウンドに10分で集合するように。服装はそのままで結構です。」


そう言って、マサトーナは教室から出て行く。


(いきなり、実技演習ときたか。こりゃー、荒れそうだ。)

















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