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神聖剣使いの姫騎士と鬼神刀使い  作者: ザウルス
学園編
24/63

完成だ!!

「あ、それはそこにお願い。」

「わかった!」

「誰かーハンマー取ってくれ!」


生徒達の作業声が聞こえる。前回、ひと騒動あったせいで。Fクラスが崩壊するという自体が起きてしまった。殆どは俺のせいだが、どうせなら、全部ぶっ壊して、新しいのを作ろうというアイデアが出てきた。


最初は、重い空気だったのが一気に軽くなる。ほんと、嘘みたいだ。


「カズトは、この木を図面通りに切断してくれ。」

「了解!」


エドは、親方のような存在になっていた。元々実家が大工を営んでおり、そこで、親父にしごかれたんだとか。


この新校舎の設計図は殆どがエドが考えた物だ。俺には、絵心が全くないので、設計も得意だという、エドに任せてある。


「えっと、ここをこう切ればいいのか。」


神風を抜刀し、その図面通りに切る。普通ならノコギリを使って2時間はかける作業をわずか、5秒で終わらせている。


釘を買うお金がないので、木造軸組という方法をつかう。釘を一本も使わず、木と木の断面を利用して、くっつける。


大工道具はマサトーナから正式に許可が降りた。校舎を破壊したことを話したら、すごく怒っていたが、投扇興を渡したら「ま、あそこは元々古かったですしね。」と許してくれた。


だが、やはりそれだけでは無理がある。なので、一人一人が違う役割を補っている。


ただ、俺だけ妙に仕事が多い気がする。木を削ったり、真っ二つにしたりと。割かと忙しい。


「カンナがない以上、一番剣術に優れてるお前がやるしかないだろ。」

「はい、そうですね〜。」


木を削るにも、カンナがないから、神風で木を削っている。0.01ミリの狂いも許されない。


あらあらだった木の表面も、神風でスパリ!と削ずったおかげですべすべだ。


「大胆、できてきたな。よし、休憩にするぞ!」

「「「お!!」」」


一仕事した後のお茶はものすごくうまい。丁度昼食頃だ。なにか、食べたいところだ。


「みんなー!ご飯たけたよ〜!」


エド曰く、女子生徒には危険なため、悪いがやらさせないみたいだ。大工利用職人て男の世界だからね。危険な反面、男の聖域みたいなところだろう。


なのて、女子生徒には炊き出しを任している。本当は食堂で食べるべきなのだが、Fクラス生徒は食堂での使用が禁止みたいだ。なんでも、Fクラスの生徒と同じ飯を食いたくないなどと貴族達の言い分だそうだ。


そんな奴らは、けちょんけちょんにしてやる。これが終わったら堂々と食堂に行ってやる。そこで、Fクラスが食堂で食事をしても文句を言えないようにしてやろう。


罪滅ぼし……いや、Fクラスの為に!


昼食はシンプルに塩おにぎりだった。でも、今まで食べた、おにぎりの中で一番美味しい。これが、またお茶とよく合う。


釜飯の中に沢山あったご飯も、いつの間にか、米一粒も残っていない。


食べ物は残さない。命を無駄にしない。by エド。


特に、エドなんか10個以上は食べてたような気がする。


「さて、作業再開!!」

「「「お!!」」」


残りの作業を淡々と進めていく。この調子なら今日中に行けそうだ。


「これを200個作ってくれ。」

「まだ、あるのか?」


俺の目の前に、木が積まれている。しかも、これまた細かい断面図で書かれている。


「それで、お前の仕事は最後だ。」

「最後ね……」


最後の最後に大きな仕事を振り込んでした。


完成する前に、俺が倒れそうだな。


考えても仕方がない。俺は、図面通りに神風を古い下ろす!



6時間後………


「さぁ、これで完成だ!」


エドは、大きな札を地面に刺す。


第二新校舎。そこにはそう書かれている。


そう、ついに完成したんだ。俺たちの教室(こうしゃ)が。


全員が喜びに浸っている。この事は俺たちの心に永遠に刻まれるだろう。


新校舎は旧校舎より、倍の大きさはある。塗装はできなかったが、いつか全員でやろことにしよう。その時はアルラと一緒に。


「さぁ、上がろうぜ。みんな!」


全員が第二新校舎へと入っていく。前は土足で入っていたが、今回は全員分の靴箱を作り、スリッパ(女子達が作りました。)を履き、中へ入っていく。


「えへへ、どうよ。私たちもたまにはやるでしょ。」


女生徒達には、部屋の飾り付けや、掃除を頼んでおいた。どこかで拾ってきたであろう絨毯や、額縁などが飾ってある。


絵に関しては、Sクラスの近くに捨ててあったとのこと。これ、完全に高級だ。絶対盗んできただろ。バレてもしらないぞ……


ま、それはいいとして。


「さぁ、ここがFクラスだ!」


エドが指差したところには、Fクラスの看板が掲げてある。看板も、取れそうだったやつを再利用しているらしい。


エドが扉を開けると、そこには驚くべき光景が広がっていた。


綺麗な黒板、綺麗な窓、ちゃんとした椅子と机。


あの頃が嘘みたいだ。


かすかに香る木の香りは、心をおちくかせてくれる。腐った臭いなんてしない。あの、旧校舎を知ってるものなら天国に思えるだろう。


「ついでに、全員分の部屋も作っておいた。鍵は各自で結界を張っておいてくれ。」


まさか、俺たちの個人個人の部屋まで作っていたとは……俺はただ木を削ったり切ったりしているだけだからくわしくはわからなかった。


しかも、綺麗に男女別に分かれている。


「ここが、境界線だ。こっから男子は進入禁止。風呂も、各部屋に1つずつある。軽く汗をながす程度だが。」


大浴場は、新校舎に行かなければならないらしい。男子は問題ないとして、女子は年頃だから気になるはずだ。


大浴場までは、かなり距離がある。いちいち行くのは少し面倒だろう。


その事をエドと話し合った結界、今度、温泉を掘ろるということが決まった。この辺りは、温泉脈が沢山あるんだとか。美容にもいいから、年頃の女子達にはたまらないだろう。


サプライズにするために、俺とエド2人だけの秘密だ。明後日からでも開始する予定だ。温泉脈を探すのは簡単だが、ポンプなどの設備に時間がかかるらしい。最低でも、2ヶ月はかかる。


その間、女子達には申し訳ないが我慢してもらう。


「ほら、これがおまへの部屋の番号。」


エドは、全員に部屋の番号を教える。Fクラスは他のクラスと違ってさほど多くない。男子、10人。女子12人。合計22人だ。


今思えば男子10人で、これだけの建物をよく建てれたと思う。職人数十人でも、一年はかかるんじゃないだろうか?


それは、ただ単にカズトの仕事率が馬鹿に早いからである。エドをはじめ、ほとんどの生徒は、カズトの切断した木をくっつけるだけで済んだからだ。


落ちこぼれと言っても、聖騎士を目指すだけあって、力は並大抵のもんじゃない。そこらの筋肉マッチョなんか相手にならない。


それも、要因の1つだ。


大変だったが、無事終わってよかった。


俺は、渡された部屋の番号を見る。


「15番か。」


どうやら、二階の部屋みたいだ。ちなみに、この新校舎は二階建てだ。


今日はもう遅い。明日から授業が始まる……かもしれない。


本当は全員で祝いたいところだが、疲労感がハンパない。なので、就寝することになった。


俺は、部屋に行くため、階段を上る。木だけあって登るたんびに、ギィギィいうのがこれまた面白かった。鶯張りの廊下……いや、階段か。


「15番はここか。」


階段を上がったすぐそばに15と書かれている、部屋がある。


「へぇー、なかなかいいじゃん。」


部屋は意外にもかなり広い。エドの言ってた通り、簡単な風呂もついてるし、空気の循環も計算されていて、乾燥していない。少し、寒いがまきストーブでもつければいいだろう。火鉢も置いてあるし。


ベットに関しては、俺を除いた、Fクラス全員が布団を寮から持参していた。


俺は、ベットも布団もないので、余った資材で作った、ハンモックで寝ることにした。


ハンモック意外に丈夫で、案外気持ちいものだった。


俺は、窓の方へ振り返り、新校舎を見つめる。教室は完全に明かりが消えているが、一部ついている部分がある。あれは確か、Sクラス専用の寮だった気がする。


「アルラは大丈夫か……」


今頃、アルラもあそこで寝ているのだろうか?


マサトーナに話をつけた後、アルラにも事の事情を説明した。当然、そのとこを聞いて、驚いていた。俺と一緒のクラスじゃないと不安が沢山あるようだ。


俺は、アルラにFクラスに招待する事を約束し、事なきを得た。


聞いた話だと、Sクラス専用寮は定員関係により、相部屋出そうだ。アルラの事だ。多分ルームメイトとも仲良くなれると思う。


「アルラ。君は俺と違って、多くの人から愛される存在だ。精霊王の娘だととか関係なく……」


独り言か。話す相手がいないと寂しいもんだ。今になって、アルラしか、本当の事を話し合える相手がいない事が実感できる。


それだけ、アルラに依存してた事だ。


成長すべきは、アルラじゃなくて、俺の方かもしれない。


あんだけ、アルラに厳しくしておいて自分には甘ちゃんだ。ガイアの言う通りだよ。まったく。


無知な強さでは、強くなれない。誰も救えない。


その言葉が、心に一番しみる。


ただ、俺はアルラにそうなって欲しくないだけなのかもしれない。


いずれ、アルラもその事がわかる日が来るだろう。


今はただ、寝よう。


明日が必ず来る事を信じて……














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