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神聖剣使いの姫騎士と鬼神刀使い  作者: ザウルス
学園編
22/63

俺が、落ちこぼれだって!?

「すみせん!」


さて、この状況をどうやって説明すべきだろうか。


俺の目の前には、マサトーナが土下座をしている。


学園の理事長、しかも、神々の光刃団団長が平民の俺に全力で謝っている。もし、生徒にこの光景を見られたら、どんなことになるやら。



あのマサトーナが平民に謝ってる。


そんなはずがない。たかが平民ごときに。


きっと、脅されてるんだ。


そうだ!


よし、あいつを殺すぞ!


おお!!


マサトーナ万歳!!


万歳!!



……と思うだろう。それだけは勘弁してほしいものだ。


幸い、ここには防音結界が張ってあるし、そもそも、ここを通るのは教師ぐらいしかいない。


可能性があるとしたら、エイリッヒだろうか。いや、彼女に限ってそれはない。昨日の夕食会では、完全に俺の事を信用してくれたようだし。


彼女は真面目だし、きっとわかってくれる。


「私の管理が不届きでした。本来だったら……」


そもそもなんでこうなったかと言うと……




「今日から、クラス発表だな。」


待ちに待った、クラス発表だ。俺は、どこでもいいが、出来ればアルラと一緒がいい。多分、精霊が通うのは珍しいから、質問攻めされるだろうしな。本当は、自分の力でやらせたいが……兄として、フォローするところはしよう。


それに……


「どこぞこの(きせいちゅう)が付かないようにしないとな。」


アルラをたぶらかす奴は、貴族であっても許せない。強引に迫ろうとしたら、末代までの恥を掻かせてやる。


「何を言ってるの?」

「いや、何でもない。」


それはともかく、今はクラス発表だ。たしか、入場口に張り出されるとか言ってたけな。貴族は手紙で知らされるらしい。実際にマサトーナがそうしようとしてたのを俺は止めた。


アルラには、なるべく学生を楽しんでほしいからだ。自分の名前を探すワクワクドキドキ感は大人になっても忘れられないだろう。


手紙で送られると、誰が一緒かわからないのもある。友人と一緒なら嬉しいが、アルラに人間の友人はエイリッヒぐらいしかいない。それも、三年生で、生徒会長だ。


でも、俺としては、クラスメイトにどんな奴がいるか確かめたかったからだ。俺でも、多少ぐらいなら貴族の名前なら知っている。もし、性格が悪いの名前があったら、アルラに注意をするように呼びかけるつもりだ。


「出来れば、カズトと一緒がいいな……」

「俺もそうだと嬉しいが……」


実は、裏ではマサトーナに俺とアルラを一緒にするように約束していた。ガイアにも、「よろしく頼む」と言われていたし。本人は少々不本意みたいだったが。


「そのくらいなら、簡単です。」と言っていたし、大丈夫だろう。投扇興で釣っておいた甲斐があったもんだ。


俺と一緒のを見て、アルラはきっとすごく喜ぶだろう。俺は、あえて知らんぷりをする事にした。


途中で軽い会話をしながら、校舎を淡々と進んでいく。やはり、広いだけあって道に迷いそうだった。地図を貰って正解だった。


「おお、すごい人だかりだ。」


学園の入り口には、数百人の生徒が列を並び、自分の番号を探しているようだ。ギュウギュウに混んでいる状態を想像したが、そうでもなかった。


どうやら、受付嬢がきちんと誘導しているそうだ。


学園側も俺と同じ予想をしたからだろう。これなら、怪我人が出なくて済む。


俺は、受付嬢の指導に従って一番後ろへと向かう。俺としては結構早めに、起床したはずだが、どうやら、俺の計算違いだったようだ。


生徒達の反応は様々だった。自分が入りたかったクラスに入れて喜ぶ者、友人と一緒のクラスだったこと。離れ離れになり、寂しそうにしてる者。


友人と一緒のクラスになりたいのに、なれなかったのは実に残念だ。


俺は、約束がある。絶対に大丈夫だ。



人が多かったにもかかわらず、僅か、10分足らずで、受付までたどり着いた。


「お名前をお願いします。」

「あ、アルラです。よろしくお願いします!」

「はい。アルラ様ですね。こちらが番号になっております。あちらの看板でお確かめください。」


初めての経験は、誰でも緊張する者だ。アルラは入学が決まってるからそこまでかしこまらなくてもいい。受付嬢も笑ってるじゃないか。


ま、それがアルラのかわいいところだ。


「では、次の方どうぞ。」


俺の番が回ってきた。さーて、何番だろうか。ま、アルラと一緒なら何番でもいいが。


「鬼神カズト。」

「はい。カズト様ですね。こちらが番号になっております。あちらの看板でお確かめください。」


俺が渡された紙には番号が振ってある。1122いい夫婦ってか?縁起がいいのか悪いのか。


俺は、看板へと向かった。


「アルラ、見つかったか?」

「あ、うん。見つかったよ〜。カズトは?」


ちなみに、アルラの番号は1102。イイオニ、良い鬼か。これまた、縁起が良いのか悪いのか。ま、合格祈願でもないから悩む必要がない。


「どこらへんにあったんだ?」

「えっと、Sクラスのとこだった。」


Sクラスと言ったら、初めの方か。まさか、マサトーナ奴、俺らをSクラスに入れるつもりか!?


この学園には、実力ごとに、クラス分けしてある。最高がSクラス。後は順番でA、B、C、D。最低がFだ。


アルラがSクラスか。ま、特別な存在だからだろう。特別とはいえ、アルラは十分強い。俺のお墨付きだ。魔法と魔術に関しては、この学園で一番だろう。


ただ、剣術と体力がないに等しいが……


それは、今度教えればいい。俺は、自分の番号を探す。


「1122番……1122番……あれ?おかしいな?」


いくら、Sクラスを探しても俺の番号が見つからない。


上下逆……何てことは無いはずだ。可能性があるとしたら、6を9と見間違えるくらいだ。


受付嬢が間違えた可能性は低い。俺とそっくりな名前の奴がいるわけが無い。鬼神(オニガミ)なんて苗字はなおさらだ。


もう一度探したが、やはり無い。俺は、アルラにも番号を見せ、探してもらった。


辺りには、俺たちだけが残っている。急いで探さなくてはならない。もし、遅れたら、俺は構わないが、アルラが笑われてしまう。


それはあってはならない。ガイアに殺されてしまう。


必死で探していると……


「あ!あったよ!」


アルラが俺の番号を見つけたらしい。


それは、Sクラスから離れた随分と遠い方に……


「Fクラスみたいだね。」


な・ん・だ・と・!!


馬鹿な!それはありえない。


マサトーナと俺は血の盟約(本人が勝手にそう思ってるだけ。)を交わしたはずだ!


なのに、俺が落ちこぼれだと!?せめて、一歩近い、Aクラスの方がマシだ。


「とりあえず時間がない!アルラはSクラス。俺は、Fクラスへ向かうぞ!」

「わ、わかった!」


俺は、アルラと後で会う約束をして、急いでFクラスへ向かう。


(マサトーナの野郎。後で、話をつけてやる!)


俺の心からの殺意が飛び出す。その瞬間に、マサトーナの大事なコップが割れたことは言うまでも無い。


Fクラス。学園でも落ちこぼれが集まる教室。一体何が待ってるやら。















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