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神聖剣使いの姫騎士と鬼神刀使い  作者: ザウルス
学園編
19/63

答えのない答え。

「俺は学園(ここ)にいるべきなんだろうか。」


率直な質問だった。


俺はこの世界にいてはいけない人間だ。


こうして生きてるだけでも、奇跡としか言いようがない。


今でも、指名手配されている。金額も人類史上最高額だろう。


普通なら、冒険者や賞金稼ぎに追われる毎日だろう。


アルラのお陰だ。


一般人が入れない森にかくまってくれた。さらに、カズトのとこを兄として、慕ってくれていた。ガイアに関しては、をちょくちょく貶してはいたが、「森から出て行け!」とは一言も言ってはいない。


ガイアもガイアで、カズトの事を住人として、認めていたようだ。


幸せだった。こんな日がいつでも続けばいいと思っていた。


だが、運命は許すはずがない。こうして、カズトは再び戻ってきたのだ。


決して、アルラが悪いわけではない。彼女には何も教えていないからだ。


恐れていたのだ。秘密を知った時、アルラはカズトの事をどう思うだろうか。


想像したくない。


ポタ……


気がつけば、頬に冷たい何かが通った。


涙だ……


知らないうちに、カズトは泣いていた。


(わからない。なぜ、俺は泣いているのだろうか……)


それを見た、マサトーナも黙ってカズトが泣き止むのを待つ。どうやら気遣ってくるてるらしい。


腕で目を擦る。いつまでもこの姿を見せるのは男として情けないわ、


「悪い。」

「いえ、むしろ安心しました。」


何が安心したのだろうか?今の何処に安心できるのだろうか?


「先ほどの答えですが……」

「ああ。」


先ほどカズトが言ったこと。簡単に言うと、ここにいてもいいのか?ということ。アルラのためを思っての事だ。もしくは、学園生徒が教会に狙われないためだからだ。


「合格です。」

「は?」


合格……ということは、ここにいてもいいということなのだろうか。しかし、理由が分からない。


悩んでいると、マサトーナが理由を述べる。


「答えは、あなた自身がそう言ってましたよ。」


俺自身が答えを………分からない。俺がいつ答えたんだ。マサトーナは何を言っているんだ……俺には分からない。


誰か教えてくれ!何が答え何だ!誰でもいい!


俺の脳内でリピートしていく。頭が割れそうだ……


「答えなんてありません。私は私の判断で貴方が大丈夫なのを確認したんですから。」

「答えがない……」

「私は、沢山の人間を見てきました。そして、この手で何人もの人を殺してきました。私の判断で……」


マサトーナ自身も少し辛そうだった。こんな綺麗な人が人を殺してるなんて誰も思わないだろう。彼女場合は王国の為に沢山の人間を斬ったのだ。俺とは違う。


だが、正義感では乗り越えない壁もある。


「彼女がやったのは人殺しではない。故に、彼女の剣は活人剣。」などと言う輩が多いだろう。


だが、それは、人を殺した事がないものが言うことだ。いくら綺麗事を言っても人を殺したことには変わらない。


故に、人殺しは人殺し。


もう2度と戻ることはできない。永遠に苦しみながら生きなければならないのだ。


それが、神々の光刃団長ても……


「確かに、貴方は危険です。しかし……」


マサトーナはその理由を次のように言った。


「貴方が泣いたからです。」


その答に、俺は放心状態だ。なぜ、泣いただけでセーフなんだろうか?


「もし、貴方が人を止めているならば、涙なんて流すはずがありません。涙を流せるのは人の悲しみがわかる人ですから。」


先人の言葉を思い出した。あまり思い出せないが、マサトーナと同じ言葉を言っていた気がする。


「もとい、貴方はアルラの事を妹のように可愛がっていたじゃないですか。私には、そんな事を言う、貴方が不思議でなりません。」


マサトーナは最初からわかっていたような感じだ。


カズトは、改めてマサトーナに礼を言い、廊下へ出て行く。


「ありがとう。」


出て行く寸前で、カズトは誰にも聞こえないような小さな声で感謝の言葉を言った。


いつか、誰かにありがとうを言ってみたかった。カズトの夢でもあった。


だが、人の目の前では、いざとなると恥ずかしいものだ。


だが、いまはそれでいい。


いつか、また来ると信じて。


「さて、お姫様を迎えに行かないとな。」


今は、お姫様を迎えにいかないと。






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