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神聖剣使いの姫騎士と鬼神刀使い  作者: ザウルス
学園編
17/63

入学式。

「最後に生徒会長より、新入生の歓迎の言葉をお願い出します。」


マサトーナが、そういうと奥の方から「はい。」という返事がしてきた。


現れたのは女生徒だった。一歩一歩が体育館の裏側まで響く。明らかに、そこら辺の生徒とは違うのが一目でわかる。


「綺麗だ……」

「美しい……」

「お姉様……」


生徒の反応は様々だ。青く透きとおった髪は腰まで伸びている。それでいて、女性特有の体格やラインがしっかりと出ている。制服を着ていても、胸の大きさが伝わる。


男を近づけさせないような、感じが伝わる。挑もうものなら、完膚なきまでにやられそうだ。


それでいて、油断もしていない。誰も気づいてないようだが、彼女のまわりには、見えないオーラに囲まれている。シールドの役割をしているようだ。


オーラを出すのは、聖騎士であっても至難の技だ。数分使うだけで、息が切れてしまう程だ。


それは彼女が、生徒でありながらも、並の聖騎士なんかと比べ物にならないくらいの力を持っている事を言っているようなもんだ。


「私はこの学園の生徒会長、エイリッヒ・シャルルです。この度は、ご入学園おめでとうございます。」


エイリッヒ。


ここにいる生徒……いや、この世界に生きる全員が一度は聞いたことがあるだろう。


なんせ、この国の王女様だから。


名前は聞いたことはあったが、実際に顔を見るのは初めてだ。なんせ、俺はこの国からとんでもない額の賞金がかけられているからだ。


エイリッヒは自己紹介を兼ねて、この学園の歴史や内容を詳しく説明した。


他の生徒を含め、隣にいるアルラも興味津々に聞いていた。誰もが聖騎士なると同時に、生徒会の席を狙っているのだ。


生徒会に入るには、ランキング戦でトップ10に入らなくてはならい。生徒会に入ることは、聖騎士になることが約束されたようなものだからだ。


無論、内戦状態が続くかもしれない。特に、生徒会長となると、いつ狙われるかわからない。生徒会のメンバーを倒せば、その時点でランキングが変わるからだ。


無論、どんな手を使ってでもだ。油断した方が悪い。


強きものが君臨する。弱肉強食の世界になのだ。ここは。


なんにしろ、校訓が、"我こそ正義なり、強さこそ正義なり"だからだ。


生徒会長を見る目は様々だ。


尊敬、嫉妬、怒り、敵視。


250人が我先にと思っていることだろう。


貴族に至っては、俺たちのことを蔑む眼で見ていた。


「平民風情が、神聖な生徒会に入るなんて、あってはならん。」


それが、読み取れた。


だが、実際に生徒会に入るのはほとんどが、貴族だ。


貴族は幼少の頃から剣を握っているのだ。高い金を払い、剣術士を雇う。そして、位の高い、精霊と契約する。


全ては、金の力というわけだ。


エイリッヒもそのうちの1人だ。彼女の場合は将来この国を治める事になるのだから当たり前だ。ただ、気になるのは精霊だ。


彼女の波動からはとてつもない精霊と契約しているのがわかる。アルラと同等の力……いや、それ以上の物を感じる。


いくら、エイリッヒといえでも操れてないように感じる。抑えるのがやっとという感じだ。下手したら、この国が滅びるかもしれない。


ま、彼女もそれをわかっているはずだ。


だが、もし暴れたとしたら……


(アレ)を使うしかないかもしれない。」


出来れば使いたくはないところだ。



考え事をしているうちに、エイリッヒはお辞儀をし、舞台へと去っていく。


気づけば、2時間は経っていた。流石のアルラも疲れているようだった。流石のカズトも肩が凝ってしまう。慣れない体勢で長時間過ごすのは辛いものだ。


実は入学式をサボっても、後日登校すれば、大丈夫だったのだ。


アルラがどうしても、学校に早く行きたいと言い出したために、あえて参加したのだ。


カズトとしてもどんな奴がいるのか早めに観て起きたかったところだからどうともない。


入学式が終わり、アルラの元へ駆けつける。


みんなが帰る中、マサトーナに呼ばれたために、学園長室へと行かなければならなかったのだ。


アルラに関しては、連れてこなくても大丈夫と言っていたが、心配なので連れて行くことにした。高位精霊だとバレると、奴隷契約(きょうせいけいやく)をされてもおかしくないからだ。特に、貴族が多いこの学園は要注意だ。


確か案内人をそちらへ遣わすと言っていた。ついでにこの学園の施設を説明してもらへば一石二鳥だからだ。


アルラは否定することもなく、むしろ喜んでついていくと言った。


指定された場所に向かい、待っているとこちらの方に誰かがやってきた。


「お待たせしました。カズト様とアルラ様ですね。学園長から案内役として、遣わされたエイリッヒです。」


まさかの、エイリッヒ王女が直々に案内をするとは。


「学園長がお待ちです。ついてきてください。」


そう言って、エイリッヒは新入生が多く集まっている、運動場を堂々と歩いていく。


それに気づいた生徒は、軍隊波の速さで整列し、真ん中に道を作る。


俺達も、続いていく。


生徒会長の後ろを歩く俺たちには様々な目線が向けられた。


「生徒会長の後ろにいるのは誰?」

「まさか、生徒会の……」

「いや、新入生のはずよ!」


生徒会長の後ろに並んで歩くだけでも、彼らにはとても凄いことなのだ。


あの生徒会長の横に並んで歩く。全生徒の夢だ。


それをカズト達は、入学1日で成し遂げてしまった。


アルラもその視線に、戸惑っていた。カズトは「気にするな」と言い、アルラを守るようにして、生徒会長についていく。


特に、貴族達からは殺気のオンパレードだった。執事に何か俺たちのことを調べさせようとしてる動きも見えた。


中には、石を投げようとした者もいたが、カズトの殺気に驚き、そいつは気絶した。


カズトに至っては、敵視だったが、アルラに限っては……


「あれは、精霊じゃないか?」

「たしかに……しかも高位の。」

「平民風情が高位の精霊を使役するのは、我慢ならんな。」


とまー、アルラをカズトから横取りしようと考えているみたいだ。


アルラは、カズトの契約精霊と言う扱いだが、実際は契約などしていない。幸い、ばれてはないようだが、襲うものなら容赦はしない。


それが、貴族だろうが王族だらうが、ましてや神であってもだ。完膚なきまでに潰す。


エイリッヒに続き、カズト達も静かに校舎へと入っていく。























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