学校へ!!
「お、朝か。」
かなりの長旅で披露していたのがすっかり治っている。このベットのおかげだろうか。まるで、雲のような肌触りだ。
それはさて置き。
「アルラ〜起きろ〜。」
お姫さまを起こさないといけない
「うーん。あと五分……」
寝返りをし、布団の中へと消えていく。これ、絶対に起きない。冬眠する熊みたいだ。
「今日は、入学式だぞ。遅れたらマズイんだが?」
「………」
完全に二度寝してしまったようだ。でも、多分あれなら起きるかもしれない。
「俺はこちょこちょ男爵……」
「あ、おはようカズト。」
バッ!と素早く起きた。相当根に持ってるらしい。アルラを目覚めさせるにはこれが一番だ。
「さ、荷物をまとめて、朝食でも食べに行くか。」
「うん!」
荷物をまとめたあ後は、学校側の専業者が運んでくれることだと。カズトは多くはないが、アルラの荷物がものすごく多いことだ。
いったい何をあの中に詰めたのだろうか?ここを旅立つ前に、大丈夫か確認していたところ、ガイアとその他の精霊たちがバックの上に乗り、全体重をかけているのを覚えている。
あれ、多分開けたら爆発するかもしれない。
念のために、取り扱い注意の札を貼っておいた。
これは余談だが、その荷物を運ぶのに、屈強な男たちが7人がかりで運んでいた。本当に何が入ってたのだろうか。
ま、乙女の秘密に男が首を突っ込むものじゃないか。
「やっぱり、王都のご飯は美味しいね。」
「ああ、そうだな。」
昼食は軽いバイキングだ。だが、アルラの場合は……
「ん、どうした?」
朝から、ボリュウム満天のフルコースだ。いったいどんな胃袋してるのだろうか。それでいて、あの体型を維持しているとは……一般女性どころか、貴族の娘やご婦人も欲しがるだろうな。
でも、このままだとこのホテルが潰れかねない。
俺はアルラにそこまでにしておけと言っておいた。当然アルラは反抗してきた。
幸い、カズトが夜にご馳走するのを約束し、なんとかおさまった。
その様子を見ていた、ホテル従業員から、「ありがとうございます。」と耳元で言われたのは言うまでもない。
お礼にと、何やら怪しい小包を貰った。見た目からして、食べ物だろうか?ま、あとで開けてみることにしよう。
無論、アルラには内緒で。
「それじゃ、学校に行くか。」
「うん。」
昨日届いた制服を着てみたところ、ミス一つもなく、サイズもぴったりだ。この生地もかなりの高級品だと聞く。聞いた話によると、刃物で斬りつけても切れないだとか。
防御能力も完璧。通気性抜群。熱も逃しにくい。戦場ならうってつけだな。
カズトの姿はどっからどう見ても学生だ。これなら怪しまれることはないだろう。
「アルラの方は大丈夫か?」
この制服、少し複雑な作りをしているため着るのにすごく手間取った。アルラも苦労しているかもしれない。
俺は、手伝ってやろうとカーテンを開けてしまった。
それが、間違いだった。
「あ……」
アルラと目があう。今、彼女は何も羽織ってない裸体だ。括れるところはくびれているし、胸もなかなか……
「な、な、な、……」
当の本人は顔が沸騰するばかりの真っ赤だ。普通なら「ごめん」などと言って部屋を出るべきだろう。
だが、俺はじっくりと観察してしまった。
それゆえ……
「え、エッチ!!!」
ドガッ!
「ぐは!」
近くにあった花瓶を思いっきり投げつけ、それが運悪く俺の顔に直撃し鼻血が噴水のように吹き出てしまった。
今まで生きてきた中で、一番出血したかもしれない出来事だった。
「か、カズトが悪いんだからね!」
はい。それはすみません………
五分後……
「もういいわよ。」
カーテンを開けると、制服に身を包んだアルラがいた。こうしてみると、女子の制服って結構派手だ。スカートはもちろんのこと、性を少し押し付けすぎな気がする。
これ、下手に着たらすごく色っぽく見えるかもしれない。
「あ、カズト。」
俺の顔を見て、アルラが近づいてくる。
「ネクタイがずれてる。」
ネクタイを結び直す。どうやらネクタイが少し曲がっていたらしく、几帳面なアルラには気になったようだ。普段、ガイアから指導されてだだけあって、おてのものようだ。
こうしてみると、夫婦みたいだ。
「ん、どうしたの?」
当の本人は全くその気がしてないようだ。顔が近くにあり、少し照れくさい。
「行ってきます」のキスをするかのようだ。
何を期待してるんだ俺は。俺とアルラは契約者なんだ。変なとこを思ってはいけない。
それは、カズトのためではなく、アルラのためだからだ。
「これでよしっ!」
きちんと左右対象になった、ネクタイはやはりそいつの人格が出る。多分あのまま行けば、「あ、こいつはなっとらんな。」と思われただろう。
カズトとの場合、普段はちゃんと生活してるが、ネクタイを結んだことがなかったのが原因だ。
ま、どっちにしろ、アルラに助けられたということだ。世話するはずが、世話になるとは……きちんとしなければならない。
「よし、学校にいくか。」
「うん!」
ホテルを出て、学園へと向かう。ちなみにカズとアルラのベルトには刀が帯刀してある。
この王都では、ニュークリアー学園の学生は帯刀を許されている。貴族狙いの強盗から身を守るためと、この制服を盗まれないようにするためだとか。それくらい、高く売れるらしい。
王都だけ、あって街はとても賑やかだ。この国にはスラムがないから治安がいい。
物価もそこそこ安い。この辺は庶民向けの商店街だろう。自炊するにはうってつけだろう。
今日は入学式だから、早く帰れる。授業は明後日から始まるらしいし、夕飯の買い物をしつつ、何処かオススメの店を聞こう。
歩くにつれて、景色が変わっていく。気がつけば高級住宅地に来ていた。ということはもうそろそろ、学園が見えてくる頃だろう。あのバカで高い建物は目立つからだ。多分貴族の殆どはここに住んでるんじゃないだろうか。
一月、いくらするのかな〜と思っていると……
「邪魔だ!邪魔だ!」
馬車が俺たちを突っ切る。カズトはアルラの手を引っ張り道の隅へと移動する。
「大丈夫か?」
「あ、うん。」
目立った外傷はない。それにしても……
「たく、あぶねーな。」
もし、アルラが怪我をしたら、あの馬車を木っ端微塵にするところだ。無論中の奴が女だろうと。ついでに運転手も。
一瞬見た限りだと貴族だろう。明らかに普通の馬車とは違う。形状もさることながら、馬車を引っ張っていた馬がすごかった。多分名馬だ。
「カズト、さっきのは何?」
一瞬の出来事に状況は掴めてはないらしい。
要するに……
「あれが、貴族だ。」
「貴族……ふぅーん。」
どうやら興味がなさそうだ。でも、立場上でいうと、アルラの方が断然高い。多分、それを知ったらさっきのバカ貴族は死刑だろう。良くて、地方送りか。
ま、もう会うことはないだろう。向こうもこっちの顔は見てないし。
「とりあえず急ごう。」
「そうだね。」
俺たちは、再び歩き出した。
10分後……
「ついたな。」
でかい門の上に、王立ニュークリアー学園と書かれている。
辺りを見ると、馬車で覆い尽くされている。多分貴族だろう。徒歩で門の前まで歩いてくるのが、おかしい気がしてきた。
たが途中で、同じ制服を着た人を見た。以外にも、徒歩でくる生徒も多いみたいだ。
ま、近くに住んでいるからかもしれないが。
俺は、アルラの手を引っ張り体育館へと急いだ。
今、伝説の学園生活が始まった。




