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神聖剣使いの姫騎士と鬼神刀使い  作者: ザウルス
伝説の再起篇
13/63

旅は道連れ世は情け。

昨日の件から一晩明け、俺達はこの日を迎えた。


「準備は出来たましたか〜?」

「俺は、問題無い。ただ……」


俺の後ろでは……


「姫!荷物のご確認はされましたか!?」

「落ち着いてガイア!?これで78回目よ?」


ガイアのアルラ心配症(もはや、病気レベル。)のせいで、足止めされている。


「下着類はちゃんと持ちましたか!?」

「ちょ、大声で言わないでよ!?」

「どっかに馬鹿(特にカズト)に襲われないように、貞操帯を持ちましたか!?」


たくさんの荷物を持つアルラをまるで嫁入りを止める父親のような感じだ。


これはこれで中々面白いので、ほっとおいたんだが……


アルラと目があってしまい。その目は完全に助けを求めていた。


(やれやれ、俺もガイアと同じだな。)


これ以上、放っておくと「やはり、行かせません!」になりかねない。


なので……


「悪いな、ガイア。」

「え、ちょ、な、………」


ガイアに麻痺茸からとった粉をふりかけたハンカチを嗅がせて眠らせた。


「多分、強力なやつだからこのまま2日間は眠ったままだと思う。」


でも、ガイアは姫の事となるとかなり面倒くさい。


「さ、今のうちに荷物を詰めて王都へ向かうぞ。」

「うん!ありがとうお兄ちゃん!」


念のためにマサトーナに頼んでガイアをロープで縛っておいた。


「本当にいいんですか? どうなっても知りませんよ?」

「大丈夫。そん時はそん時だ。」


当の本人は混乱しながらも、難なく縛り上げた。流石なだけに見事な縛りっぷりだ。この縛り方なら俺でも動けないだろう。今度教えてもらおう。


「で、そろそろ出発したいんですが……よろしいでしょうか?」

「俺は問題無い。」

「私も〜。」


荷物も積み終わったし、いつでも飛び立ちオッケーだ。


「じゃー。行きますよ。はいや!」


マサトーナが鞭を鳴らす。


ヒヒーン!!


それと同時に馬が走り出した。王都までは2日はかかる。それまでのんびり旅だ。


だが、俺は誤解していた。場所をひいている馬がただの馬じゃ無いことを。


「それじゃー、飛びますよ。ヘイヤ!」


タイヤが地面の石にあたりガタガタゆるていたのが一瞬で消えた。


そう。俺たちは今、飛んでるのだ。


「もう、あんなお尻が痛くなる旅は嫌でしたので、昨日の内に精霊達に頼んでペガサスを捕まえさせておきました。」


ペガサス。多分誰もが知るであろう幻獣だ。その翼で雲より高く飛び、雄叫びは遥か彼方まで届く。


よく、物語なので伝説の勇者が使っていた幻獣で有名だ。


だが、幻獣のためあって数は少ない。ペガサスは高く売れるし、羽根は羽毛布団や枕にすると最高級に、肉や皮は貴族が喉から手が欲しくなる程。そのため、密漁が絶えなかった。


だが、新たな法律により制限が厳しくなった。


羽根、肉。皮は年老いたオスだけのものを。

メス、子供の捕獲は禁止。捕獲には国の許可証を提示すること。これらを犯した場合は極刑に処す。


「安心してください。私はこう見えて、国との太いパイプがありますから。」

「それどう見ても国家権力の乱用……」

「何か言いましたか?」

「いえ、べつに。」


うっかり忘れてた。こう見えてもこいつは、神々の光派の団長だった。


マサトーナに逆らう=国家反逆罪。


下手なことを言うのは控えよう。最悪、酒で釣ればなんとかなるかもしれんが……


「この速さですと、半日くらいで行けるでしょう。やはり、若いペガサスはいいですね。」

「やっぱ国家権力の乱用……」

「なにか?」

「空気が美味しいな〜。」


知らんぷり知らんぷりと。


おれは、マサトーナに寝ると伝え馬車の中へと入っていった。


「乗り心地はどうだ、アルラ?」


とはいえ、寝るのは速すぎるのでアルラとゲームでもして遊ぼうかな思った。



「すごい!空飛んでる!」


アルラは、とても興奮していた。


それもそうだ。これは、アルラにとって初めての経験だらけだからだ。森を出るだけでなく、空も飛んでいる。


「あ、あれが街なのかな?小さいね。」

「そりゃー、俺たちが飛んでるからな。」

「ふーん。街はどんな感じなの?」


そういえば、アルラは町に出たことがなかったな、


「いろんな人がいて、楽しいところだ。あ、あの赤い屋根の家は俺が買い物をする時によく使う場所だ。」

「へ〜、行ってみたいな〜。」


なんだか寂しそうだ。アルラは恐らく街を行けることを楽しみにしていたんだろう。だが、急ぐために俺らは空を飛んでいる。マサトーナもそれを察してペガサスを捕まえたのだろう。


「アルラ。よく聞け。」

「なーに、お兄ちゃん?」

「ここは、まだ小さいほうだ。王都はこれよりもっとすごいぞ。」

「これより、もっとすごい?例えば?」


アルラにはこれ以上の想像ができないようだ。コンクリートの家を見ただけでも興奮しているんだ。王都に行けば城塞が馬鹿に高くあるからどんな反応するやら。


「ま、それはお楽しみだ。」

「えー、教えてよ〜。」


入学式が終わったら城下町を一緒に回ろうかと思っている。その間にお買い物も済ませれば一石二鳥。入学祝になにかすきなものを買ってあげよう。


「あ、それと。」

「 ? 」

「俺のことをお兄ちゃんと呼ぶのはやめてくれ。」

「え? どうして?」

「そりゃー……」


一様、アルラは俺の契約精霊という扱いになっている。精霊にお兄ちゃんと呼ばせるのは如何なものか。変な誤解は持たれたくない。


「とりあえず、プライベート以外、学園では俺のことをカズト。またはカズと呼ぶんだ。」

「うん。わかったお兄ちゃ……カズト。」

「よし。偉いぞアルラ。」


よくできましたと言わんばかりに頭を撫でた。


「えへへ####」


本人も喜んでいる。ちょっと荒いが気にはしてない様子。


「ま、時間はたっぷりあるから……トランプでもするか?」

「うん!やるやる!」


ポケットからカードを取りだし、札を配る。人数が2人なのでやれるゲームは少ないがじっと待つよりはましだ。


「へへ、負けないよ。カズト。」

「負けても泣くなよ?」

「泣かないもん!」


こうして楽しい楽しい?ゲームがスタートした。



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