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女王の華咲く日~新しい女王は六人の王配に愛されて華開く~  作者: リラックス夢土


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第62話 光族の初代族長

「ここは……? どこだ……?」


 ふと気付くと光主は暗闇の中にいた。

 暗闇以外に存在しないかのようにそこは真っ暗な世界で地面すら無いので自分が立っているという実感さえよく分からない。


(なぜ、こんなところにいるんだ? ……確か、俺は雷神から放たれた雷光の攻撃を受けたはず……)


 光主の脳裏に美雨を庇って雷神と対峙した記憶が蘇る。

 「雷神降ろしの儀式」を行い、無事に雷神を召喚するところまではうまくいった。


 だがそこに邪魔が入ったのだ。

 自分たちの後を密かに追って来た月天は儀式を邪魔したばかりではなく雷神から身を守るために美雨を保護の魔法陣から追い出し自分がそこに逃げ込んだ。


 その時に光主は月天に同じことをされた過去を思い出した。

 月天が「雷神降ろしの儀式」を行いながら失敗し光主を魔法陣の中から突き飛ばしたあの忌まわしい過去を。


 このままでは当時の自分のように美雨が大ケガを負うかもしれないし下手したら命すら危ないと悟った瞬間、魔法陣から飛び出し美雨と雷神の間に分け入った。

 魔法陣が無ければ自分の霊力で雷神の攻撃を防がなければならない。


 そして自分の持っている霊力を全て解放して霊力による障壁を作り出したはずだった。

 その後、雷神は何かを叫んで攻撃の雷光を光主に対して放ってきたところまでは覚えている。


(もしかしたら俺は雷神の攻撃で死んだのか……?)


 死後の世界というものを光主はもちろん知らない。

 だが、こんな風に暗闇しか存在しない世界こそ死後の世界と言うのではないだろうか。


(美雨は無事だっただろうか)


 自分が雷神の攻撃を防ぎきれずに死んだのであればそれは自分の力が足りなかっただけのこと。

 元々、儀式を行う前に死んでしまう覚悟もしていたから自分が死んだと言われても光主は特に悲しんだりはしない。


 しかし美雨のことを護れたかどうか分からないのは不安だった。

 この暗闇の中に美雨の姿が無いということは彼女は死んでいないのだと信じたい。


「美雨を護って俺が死んだのなら本望だな……」


 もう美雨に会えないのは心残りだが彼女が死ぬよりはずっとマシだ。

 でも彼女は優しいから自分を庇って光主が死んだりしたら自分自身を責めるかもしれない。


(そうだ……美雨は自分の闇の父親の死も自分の責任だって思っているぐらいだからな……)


 できれば美雨を悲しませることはしたくないがこの暗闇の世界が死後の世界なら光主の力でどうこうできるものではない。


「……いや、諦めてたまるか。俺は美雨の光の王配になると美雨と約束したんだ!」


「その通りだよ。君は光の王配になるべき人間だ」


「…っ!?」


 それまで暗闇しかない世界に突如一人の男が現れた。

 金髪に金の瞳の特徴から光族の者だと分かるがその男に見覚えはない。

 年齢は30代くらいだろうか。


「お前は誰だ……?」


「私のことは君が一番知っていると思うがね。まったく君も無茶をする。雷神の攻撃を真っ向から受けるなんて。私がここに君を連れ込まなかったら君は即死していたよ」


 光主の目の前に現れた男は大袈裟に溜め息を吐く。

 だが光主はそんな男の態度より言葉の内容の方が聞き捨てならなかった。


「お前が俺をここに連れ込んだのか!? この死後の世界に!」


「何か勘違いしているようだがここは死後の世界じゃない。ここは神たちが住まう次元だ」


「は? 神?」


 この暗闇の世界に神が住んでいるとでもいうのか。

 俄かには男の言葉を信じることができない。


「まあ、正確には神々と人間が同時に存在できる空間かな。君と少し話がしたくてこの空間に君を連れ込んだんだよ」


「じゃあ、お前は神だとでも言うのか?」


 胡散臭い目で光主が男を見ると男は笑顔で首を横に振る。


「残念ながら私は神ではない。神に近しい者ではあるけどね」


「ハッキリ自分の正体も言わないような人物の言葉など信じられるか。俺をここに連れ込んだと言うならさっさと元の世界に俺を戻せ」


 神ではないと言いながら神に近しい者だという男に光主はイライラが募る。

 とにかく自分が死んでいないというなら今すぐ美雨のもとへ帰して欲しい。


 雷神との戦いの最中に光主が姿を消したら雷神に美雨が傷付けられてしまう可能性がある。

 こんなところで訳の分からない男の相手などしている暇はないのだ。


「君の心配しているようなことにはならないよ。この次元は君の元の世界と時間の流れが違う。君の愛しい人は無事だから少しだけ私と話をして欲しいんだ」


 美雨が無事だと聞いて光主は僅かに安堵したがこの男のことを全面的に信用する訳にはいかない。


「だから正体の分からないお前の言うことは信じないって言っただろうが! お前と話をする気はない!」


 思わず光主はその男に掴みかかろうとしたがなぜか光主の腕も足もその場から動かない。

 言葉を話すことは自由にできるが身体は何かに拘束されているような感じがする。


「まあまあ、落ち着いて。君はこの次元の中では身動きはできないよ。でも君が私の正体を知らなければ私と話す気がないと言うなら正体を明かそうか。私は雷神の子供と言われた光族の初代族長だ」


「…っ!? 光族の初代族長だと!?」


 男の正体を聞き光主は驚きに目を瞠った。


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