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女王の華咲く日~新しい女王は六人の王配に愛されて華開く~  作者: リラックス夢土


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第58話 光主の傷を癒せた喜び

「うん……」


 美雨は微睡の中、自分の身体が微かに揺れているのを感じた。

 そして自分の身体が何か温かいモノにくっついている感触がある。


(……なんだろう……)


 疑問に思いながら美雨は目を覚ます。

 ボーっとする美雨の瞳に光主の美貌が飛び込んできて一気に美雨は覚醒した。


「きゃっ!」


「美雨! 目が覚めたか!」


 光主は安堵したように美雨の顔を覗き込む。

 その顔の近さに美雨の心臓が跳ね上がる。


 なぜか自分は光主に抱きかかえられて眠っていたようだ。

 慌てて光主から視線を外し周囲に目をやるとどうやらここは馬車の中らしい。


「ここは……? ど、どうして馬車に……?」


「蜂蜜酒の作業所から太陽神殿に戻る途中だ。馬での移動は無理だから馬車を用意したんだ。作業所でのことは覚えているか?」


 その言葉で美雨は作業所であった出来事を思い出した。


(そうだ。蜂に光主様が刺されて私が治療したんだわ。それから光主様の背中に残る雷神につけられた傷を治そうとして霊力を使い過ぎたんだった)


 霊力の使い過ぎには気を付けるように教えられていたのに自分は限界まで霊力を使ってしまったらしい。

 癒しの力は通常より多くの霊力を必要とするため霊力不足に陥らないようにいつもは気をつけていたのに。


(それでも私は光主様の傷を治したかったのよ……)


「はい、覚えています」


 美雨が答えると光主は小さく溜め息を吐く。


「俺の傷を治すために自分の霊力を限界まで使うなんてやり過ぎだ、美雨。そんな無茶はやめて欲しい。美雨が倒れた時は俺の心臓が止まるぐらい驚いたんだぞ」


「ご、ごめんなさい。でも私は光主の背中の傷を治したことを後悔してません。光主の苦しみを全て取り除いてあげたかったんです」


 霊力不足で倒れて光主に心配をかけたことは申し訳なく思うが美雨は自分がしたことを後悔などしていない。

 心の底から光主の苦しみを全て消してあげたいと思ったのだ。


 美雨の強い眼差しに光主は息を呑む。

 そして美雨をギュッと抱き締めた。


「ありがとう、美雨。美雨が俺のことをそれだけ想ってくれるなんて幸せだ。やはり俺には美雨しかいない」


 抱き締められて美雨の耳元で光主が囁くと美雨の鼓動が速くなる。

 おそらく自分の顔も赤くなっているに違いない。


「あ、あの、もう自分で座れますから離してください」


 これ以上光主に抱きかかえられて身体が密着していると羞恥心でおかしくなりそうな美雨はそう懇願する。

 しかし、光主はさらに美雨を抱き締めている腕に力を入れて離してくれない。


「ダメだ。美雨は霊力不足で倒れたばかりなんだ。黙って俺に抱かれていろ」


「…っ!」


 美雨の髪を優しく撫でながら光主は愛おし気な眼差しを美雨に送ってくる。

 光主の全身から「愛してる」という想いが滲み出ていて美雨はますます顔が赤くなってしまう。


「美雨。俺の背中の傷のことを話した時の言葉を覚えているか?」


「え?」


「美雨は俺に酷い傷跡があっても好きな人の身体ならどんな身体でも好きって言ったんだ。美雨からどんな俺でも好きって言われて俺は天国に昇るぐらい嬉しかった」


 その時のことを美雨も思い出した。

 確かにそんなことを言った気がするがそれは無意識に出た言葉だった。


(だって光主様のことが好きだから。身体に傷があることなんて気にならなかった)


 好きな相手のことはその人物の心も身体も全てが愛おしい。

 そう思ったから光主に醜い傷があると聞いても自分は嫌いになどならなかった。


 むしろ今回自分の癒しの力で光主の傷を治せたことは美雨にとって喜びだ。

 愛する相手の苦しみを自分が癒せたのだから。

 自分に癒しの霊力を与えてくれたラーマ神に美雨は感謝の気持ちしかない。


「たとえ今回の私の癒しの力で光主の傷が癒せずそのまま傷跡が残ったとしても私が光主を愛していることに変わりはなかったと思います」


「俺を愛してると言ってくれるのか?」


「はい。何度でも言います。私の光の王配には光主を選びたいと思っているんです」


 美雨は正直に自分の想いを伝える。

 光の王配候補者の中で美雨が愛するのは光主だけだ。

 だから光主に自分の光の王配になって欲しい。


「ありがとう、美雨。俺も美雨を愛している。だが正式な婚約は俺が神の加護を受けるまで待ってくれ。俺は誰よりも光の王配に相応しい力を手に入れてから美雨と婚約したい」


 以前、光主は月神の加護を受けるつもりだと言っていた。美雨の光の王配に相応しい男になるのだと。

 美雨は今の光主の霊力だけでも王配になるのに十分だと思うが光主はそれを良しとしないらしい。


「月神の加護を受けるんですね。光主がそれを望むなら月神の加護を受けた時に光主を光の王配に選びます」


 そう断言すると光主は僅かな沈黙の後、真剣な表情で答える。


「黙っておこうと思ったが俺を光の王配に選ぶ美雨には知る権利があるから正直に言うが俺がやるのは雷神の加護を受ける『雷神降ろしの儀式』だ」


「…っ!?」


(雷神降ろしの儀式ですって! 光主様を傷付けた雷神の加護を受けるというの!?)

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