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女王の華咲く日~新しい女王は六人の王配に愛されて華開く~  作者: リラックス夢土


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第48話 傷を負った者への差別

「あ、あの、月天様。光主様が雷神に襲われたというのはどういうことですか!?」


 思わず大きな声で尋ねた美雨に月天は少し驚いたようだ。

 美雨も普段ならこんなに大きな声など出さない。

 王女らしく慎ましい振る舞いをするように幼い頃から教育を受けているが今回は月天の衝撃過ぎる言葉に心を乱されてしまったのだ。


「そうですねえ。美雨様は王配候補者たちのことを全て知る権利がありますからお話してもいいでしょう。光主が行ったことは愚かな行為なので光族の恥だと私は思っているのですが真実は真実として話さなければいけませんよね」


 どこか意地の悪い笑みを浮かべながら月天は美雨を見つめる。


(光主様が愚かな行為をしたの? それも光族の恥ともなるような?)


 とてもそうは思えないがまずは何があったかを確認することが先決だ。


「教えてください。月天様」


「いいですとも。光主は幼い頃から族長の長男として育てられた為に周囲からちやほやされて自分の霊力を過大評価していた子供だったのです」


(過大評価? でも光主様の霊力は私のお父様たちに引けを取らないぐらい強いけど……)


「ところが光族の大人たちの中には私が光主より年上であり霊力も強いことからこの私を次の族長にしたらどうかという声が強くなりました」


「月天様を族長に?」


「ええ。私は幼い頃から光主よりも優秀でしたからそういう声が上がるのは自然なことです」


 得意気な表情で話す月天の言葉は俄かには信じられない内容だ。

 月神の加護を受ける月天の霊力が強いことは分かるが月天の性格は人の上に立つには少し歪んでいる気がする。

 こんな月天を次代の族長にしようと本当に光族の者たちは思ったのだろうか。


「しかし光主はそのことが受け入れられず自らがもっとも次代の族長に相応しいと証明するべく無謀にも「雷神降ろしの儀式」を行って雷神の加護を受けようとしたのです」


「雷神の加護……ですか?」


 雷神は月神より神格が上で雷神の加護を受けられれば光族の最強の人間になれると光主も言っていたはずだ。


(光主様は族長になりたくて雷神の加護を受けようとしたの?)


「そうです。しかしそんなものは成功するわけがない。光主の霊力はそこまで強くはないし「雷神降ろしの儀式」の知識も不足しているというのにあの男は私を巻き込んで強引に「雷神降ろしの儀式」を行ってしまった。その結果、現れた雷神によって攻撃され背中を雷神の爪で引き裂かれたのです。今でもその時の醜い傷が光主の背中には傷跡として残っていますよ。火傷も負ったようでそれはそれは醜い傷がね」


「そんな……」


(光主様は「雷神降ろしの儀式」に失敗して雷神に襲われたの? そういえば光主様も昔雷神には手酷い目に合わされたって言っていたわ)


 美雨の脳裏に雷神の塔に描かれた雷神の姿を見て忌々しそうな顔をしていた光主のことが浮かんでくる。

 月天の言うように雷神に襲われ背中に傷を負ったのなら光主が雷神に対して良い感情を持ってないのは当たり前だ。


「その場は私が雷神を追い払うことに成功したので光主の命は助かりましたがそんな無謀なことをする時点であの男には族長にも光の王配にもなる資格はありません。欲に目が眩み力を欲するなど恥ずかしいことだと思いませんか? 美雨様」


「……それは……」


 確かに欲に目が眩み力を欲するような人間が光の王配や族長に向いているとは思えない。

 だがそれで言うなら目の前にいる月天も同じようなタイプの人間ではないのだろうか。

 光の王配になるのは身分が高いからとか政に口を出してはいけない立場の王配になって政を変えるとかいう発言をする月天も王配や族長には不向きだ。


(でも光主様は本当に自分が族長に相応しいことを証明する為だけに雷神の加護を受けようとしたのかしら……?)


 光主の性格を考えると月天の言うような欲に目が眩み力を欲するようには思えない。

 「雷神降ろしの儀式」を行ったのが事実だったとしてももっと違う理由があったのではないだろうか。


 そんな疑念が美雨の頭に浮かぶ。

 月天の言葉をそのまま信じることはできそうになかった。


 言い淀んだ美雨のことをどう思ったのか月天はさらに言葉を続ける。


「これで光主が光の王配に相応しくないと美雨様もご理解できたでしょう。それに夫になる者の身体に醜い傷跡があっては美雨様も嫌でしょうし」


「…っ!」


 美雨と王配との閨事を想像させる言葉に美雨は顔が赤くなってしまう。

 しかし同時に月天への怒りを感じる。

 経緯はどうあれ身体に傷を負った者を差別することは美雨にはできない。

 

「私は自分の王配に醜い傷跡があっても気にしません。その者に王配の素質があるかどうかが大切なことですから」


 いつになく美雨が強く断言すると月天は僅かに怯んだ。


「まあ、それはそうですが……光主には王配の素質などありませんよ」


 負け惜しみのように呟く月天を見つめながら美雨は決心する。


(身体の傷跡で差別するような月天様を絶対に王配にしてはいけないわ。たとえ月天様の霊力が強くても私が月天様を王配に選ぶことはないわね)


 そう思うと同時に背中に傷跡がある光主のことを考える。


(光主様の傷跡は私の「癒しの力」で治せるかもしれないわ。今度光主様に会ったら治療させて欲しいって言ってみようかしら)

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