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女王の華咲く日~新しい女王は六人の王配に愛されて華開く~  作者: リラックス夢土


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第47話 月天から軽視される女王

「美雨様。お迎えに上がりました」


 美雨が朝食を終えて部屋にいると月天がやって来た。

 今日の午前中は月天と読書をして過ごす予定になっている。


「お迎えありがとうございます、月天様」


「いえいえ、光の王配になる者としてこれぐらい当然ですよ。私は自分の妻に対しては寛容な男ですから」


 まるで既に美雨の光の王配は自分だと断言するかのような月天の態度に美雨は内心溜め息を漏らす。


(月天様は自分を中心に世界が回ってると思っているような自信家ね。この自信はやはり月天様の霊力が高いからなのかしら)


 月神の加護を受けている月天が光の王配候補者の中で霊力が高いのは事実なのだろう。

 王配の条件として霊力が高いことが重要視されることは美雨にも分かっている。


「では図書室へご案内します」


「はい」


 部屋を出て美雨は月天の案内で図書室を目指す。

 太陽神殿の廊下を歩きながら美雨はチラチラと辺りに視線をやる。どこかに光主がいないだろうかと気になってしまうのだ。

 しかし残念ながら光主の姿を見つけることはできなかった。


「ここが図書室です。中へどうぞ」


 図書室の扉を開けて月天が中に入るように促す。

 美雨が中に入ると天井まである本棚にびっしりと本が並んでいる光景が目に飛び込んできた。

 本棚はいくつもあり蔵書している書物は美雨の住んでいる王宮に匹敵しそうだ。


「たくさん本があるんですね。凄いです」


「ええ。私はこの図書室にある書物のほとんどを読んでしまいました。政をするのに知識は大切ですから。私が王配になったらその知識を使ってこの国の政をより良く変えてみせますよ」


 得意げに話す月天の言葉に美雨は僅かに眉をひそめた。

 この国の政は女王と各部族の族長が行うもので王配が政に関わることは禁止されている。

 それなのに月天は自分が王配になったらこの国の政を変えるという意識でいるようだ。


(最初に月天様にお会いした時も女王になる私には政の知識は必要ないような発言をしていたしまるで月天様は自分自身が権力を握りたいみたい。でもそれなら光の王配じゃなくて光族の族長になった方がいいんじゃないかしら)


 現在の族長の澄光には光主を始め実の息子たちがいるが月天に族長としての実力があるなら次期族長になることもできるのではないだろうか。


「あの、月天様。月天様の知識を政に活かしたいなら光の王配よりも族長になられた方が良いのではないでしょうか?」


「確かに私の実力なら族長になってもおかしくはないですが私がなるべきものは族長より光の王配だと思っています」


「それはなぜですか?」


「族長より王配の方が身分が上だからです。優秀で高貴な私には光の王配の地位こそ相応しいからですよ」


 自信満々にそう言い切る月天に美雨は言葉を失ってしまう。

 族長より王配の方が身分が上なのは事実だがそれだけを理由に族長より王配の方がいいという人物がいるとは思っていなかった。


(そんな理由で王配になりたいの? 月天様は根本的に王配のことが分かっていないみたいだわ)


 この図書室の書物にだって王配の役目について書かれているものはあるはずだ。

 先程月天は図書室の本はほとんど読んだということを言っていたが本は読んだだけでは意味がない。内容を正しく理解できてこそ読んだと言えるのだ。

 月天の発言を考えると本を読んで得たという月天の知識というのにも胡散臭さを感じてしまう。


「美雨様。こちらのテーブルへどうぞ。美雨様が好みそうな本を私が選んで置きました」


「え、ええ。ありがとうございます」


 月天に対する戸惑いは大きいがとりあえず午前中は月天と読書をして過ごすと決めてしまったので美雨はおとなしく用意された席に着く。

 テーブルの上には数冊の本が置いてあった。

 月天も美雨と向かい合う席に着くとそのテーブルの上にある本の説明を始める。


「ここにある本は『古代神語こだいしんご』を現在の文字に訳した本です。古い書物の多くは『古代神語』で書かれているものが多いのですがそれだと美雨様には読むのが難しいと思うのでこちらの本を用意しました」


(まあ、私が『古代神語』が読めないと思っているのかしら。この国の女王が『古代神語』を読めなかったら政なんかできないのに)


 王宮にある書物も『古代神語』で書かれたものが多い。

 特にこの国の歴史や女王や王配が関わるような儀式などの本はほとんどその文字が使われている。

 それ故に女王候補者としてまず習うことのひとつが『古代神語』だ。美雨は10歳になる頃には完璧に『古代神語』が読めるようになっていた。


(月天様は私の知識が自分より劣っていると思っているようね。ご自分が一番賢いと思い込んでるみたい)


 美雨の知識が劣っていると判断するならそれは女王を軽視することと同じだ。

 そんな態度の月天を自分の光の王配になど選べない。

 しかしまだここでそうハッキリと言う必要はないだろう。美雨の王配が月天以外に決まれば自分が選ばれなかったことが月天にも伝わるのだから。


「お気遣いありがとうございます。では本を読ませていただきますね」


 テーブルの上にあった本の一冊に美雨は手を伸ばし表題を見る。

 どうやらこの本は雷神についてのことが書かれている本のようだ。


「これは雷神に関する本ですね」


「そうですよ。雷神は光族の崇める神のひとつですので一応その本も選んで置きましたが私個人は雷神は野蛮な神なので好きではないですがね」


「雷神が野蛮な神……ですか?」


 光主や光拓からは雷神が野蛮な神だという説明は受けていない。

 むしろ太陽神の使いの神で力の象徴とも呼べる神だったのではないだろうか。


「野蛮ですよ。雷神は見境なく人を襲うのです。そういえば昔、光主も雷神に襲われたことがありますよ」


「えっ!」


(光主様が雷神に襲われたってどういうこと!?)


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