表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女王の華咲く日~新しい女王は六人の王配に愛されて華開く~  作者: リラックス夢土


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/148

第37話 光主と都への外出 2

 光主に連れられて美雨は太陽神殿内にある厩舎にやって来た。

 どうやら今日は馬で出かけるようだ。


「ここで待っててくれ、美雨。今、俺の馬を連れてくる」


「分かったわ」


 それまでしっかり握られていた光主の手が離されると美雨は何とも言えない寂しさを感じる。

 そんな気持ちになったのも初めてだった。


 光主が厩舎の中に姿を消したのを確認してから美雨は光主と繋いでいた自分の手を見る。


(手を繋ぐことがこんなに特別だとは思わなかったわ。光主様の手は剣を扱うせいか少しごつごつして硬かったけど温かい手だったわね)


 美雨のお父様たちは女王を護るために剣や弓などの稽古を欠かさないのでその手は剣ダコなどができていて硬い。

 光主の手もそのような手をしていたがお父様たちと手を繋いだ時には胸がドキドキしたことはないのに光主と手を繋ぐと心臓の鼓動が速くなるのを感じた。


 すると光主が一頭の馬を連れて厩舎から出て来た。


「待たせたな、美雨」


「いえ、この馬が光主の馬ですか?」


「ああ、俺の相棒と言ってもいい奴だ。名前はバロンというんだ。足も速いし体力もある自慢の馬さ」


 美雨はバロンという名の馬に目が引き寄せられる。

 バロンは栗毛の馬でかなり大きな馬だ。その馬体は均整が取れていて栗毛のたてがみが光を反射するとまるで黄金の馬のように輝く。


「とても綺麗な馬ですね。太陽の光を浴びるとまるで太陽の馬みたいだわ」


 素直な感想を漏らす美雨に光主は嬉しそうな表情を向ける。


「太陽の馬か。光族の馬としては最高の誉め言葉だ。だがその言葉は俺の前で使って欲しくないな」


「え? なぜですか?」


 バロンを褒めることは良くないことだったのだろうか。

 不思議に思ってそう尋ねると光主は口元に意地の悪そうな笑みを浮かべた。


「美雨から褒められたバロンに俺が嫉妬するからさ」


「…っ!」


 平然とした口調で言われて美雨は絶句する。

 まさか馬を褒めただけで馬に嫉妬すると言われるとは思わなかった。


(馬に嫉妬するなんてまるで光主様は私に好意を持っているみたいだわ。光主様に好意を持ってもらえるのは嬉しいけど…)


 ここで光主に自分に好意を持っているのか尋ねたいが恥ずかしくて自分からは訊く勇気が出ない。


「さて、今日は俺の馬に美雨を乗せてやるからな」


「あ、あの、馬でしたら私もひとりで乗れるので私の馬を用意していただければ光主の後について行きますから」


 美雨が旅をしてきた時に乗ってきた馬もここで世話をされているはずだ。

 バロンは身体の大きな馬だが二人を乗せると負担がかかるに違いない。

 動物の好きな美雨は動物を苦しめることも好きではないのだ。


「それは俺と一緒の馬には乗りたくないということか?」


「いえ、そうではなく二人も乗せたらバロンが重くて辛くなるではありませんか。私は身体も重いですし」


 理由を話すと光主は一瞬呆気に取られた顔をしたが次の瞬間噴き出して笑う。


「ハハハッ! 美雨が重いだって? そんな華奢な身体してるのにバロンの負担になるわけないだろ」


「そ、そんなことありません! 私は見かけに寄らず体重があるんです!」


 笑われたことでつい美雨はムキになって言い返してしまう。

 自分でも太っているとは思ってはいないが平均的な成人女性ぐらいの体重はある。

 馬に負担をかけたくないと思ってわざわざ提案したのに笑われるとは思わなかった。


「フッ、それなら美雨の体重を俺が量ってやるさ」


「え? きゃあっ!」


 突然光主に背中と膝裏に手をかけられそのまま美雨の身体が宙に浮く。

 気が付くと光主に軽々と抱き上げられていた。


「ほらな。全然重くないじゃないか。むしろ軽過ぎるぐらいだからもっと飯をきちんと食べた方がいいぞ」


 美雨は自分を抱き上げられたことにも驚いたが抱かれたことで光主の身体と密着したことに軽くパニックを起こす。

 子供の頃は父親たちに抱っこをしてもらったが大人になってからはそんな経験はない。

 非常事態でもない限り王女の美雨の身体に男性が触れることは許されていなかったのだから。


「あ、あの、お、おろして、く、ください!」


「じゃあ、バロンに二人で乗ることを承諾してくれるか?」


「わ、分かりました! だ、だから、おろして…」


「暴れるな、美雨。このままバロンに乗せるぞ」


 光主は器用に体勢を変えて美雨の身体をそのまま馬上へと乗せてしまう。

 美雨も落馬しないように慌ててバロンにつかまった。

 無事に美雨がバロンの上に乗ると光主も身軽るに美雨の後ろに乗る。


「しっかり俺につかまっていろよ、美雨」


 美雨が落ちないように光主は美雨の身体を自分の身体に引き寄せた。

 これでは先ほど抱き上げられた時と同じくらいに二人の身体が密着してしまう。


 いや、馬上の方がより光主の身体が近い気がする。

 美雨は羞恥心で頭がクラクラしてきたが落馬するわけにはいかないので光主の服をギュッと掴む。


「美雨はそうやって俺にしがみついていればいい。……俺以外のことを考えなくなるぐらいにな」


 バロンが走り出したので美雨には光主の言葉の後半部分が聞き取れなかった。


(光主様って強引なところもあるのね。でも…それも嫌ではないかも…)


 美雨は高鳴る自分の鼓動が光主に伝わらないように願いながら光主の身体に身を寄せる。

 光主の言った通りバロンは大人を二人乗せても軽やかに走っていた。


「光主。どこへ向かっているのですか?」


 太陽神殿を出た二人は光の都の道を駆け抜ける。


「まずは『雷神の塔』に向かう」


(雷神? それも光族が崇める神のひとつかしら。月神とは違うのかな)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ