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女王の華咲く日~新しい女王は六人の王配に愛されて華開く~  作者: リラックス夢土


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第31話 光主との外出の約束

「美雨様。光の王配候補者の方々の印象はいかがでしたか?」


 自室に戻って来た美雨の巫女服の着替えを手伝いながら野乃が訊いてきた。

 野乃にとっては美雨は大事な自分の主人。その主人の夫候補になる者に興味があるのだろう。

 それとも一人の華天国の国民として次代の光の王配になる可能性のある人物を知っておきたいのかもしれないが。


「そうねぇ、皆さんそれなりに素敵な殿方だけど…」


「だけど?」


「う~ん、ちょっと性格にクセが強い方もいたかも…」


 美雨は月天のことを思い出しながらそう答える。


「まぁ、そうですか。でも王配になるような方ですからクセの強い性格の方がいても不思議ではありませんわ。ご自分の意思を示さないような人よりは良いのではないですか?」


「それはそうかもだけど」


(野乃の言う通り自分の意思を示さない人物でも困るけど月天様のように他人の言葉を聞かずに自分の意見を通そうとするのはなんか王配として違うと思うのよね)


 そう考えた美雨の頭の中に月天の暴言を諫めた光主のことが浮かぶ。


(光主様は女王と王配の関係についてきちんと理解されているようだったわ。月天様を怒った時はちょっと怖そうな感じがしたけど私を見つめる瞳には優しさを感じたし…)


 光主から向けられた熱い眼差しを思い出すと自然と美雨の頬が朱くなってしまう。

 あの瞳には確かに自分に対する好意のようなものを感じた。


(でもさっき初めて会ったばかりなのに私に好意を持つなんてことはないわよね)


「あら、美雨様。お顔が赤いようですがまさか熱でも?」


「ううん、なんでもないわ。少し疲れただけ。明日はこの太陽神殿の朝の礼拝に出るから早起きしないとなの。だから今日は早く寝るわね」


 心配する野乃に首を横に振りながら美雨は明日の予定を話した。

 光主のことを考えていたことを野乃に知られるのはなぜか恥ずかしい。


「そうですか。ではお食事をしたら今日はお休みください」


 野乃の言葉に頷き着替えを済ませた美雨は用意されていた夕食を口にする。


(光族に滞在するのは一月あるから焦って王配を選ぶ必要はないわね。じっくり相手のことを知りたいし…)


 そう思うとなぜか光主の顔が浮かんできてしまう。


(光主様のことももっと知ることができたらいいかも)


「美雨様。やはりお顔が赤くなっていますがどこか体調が悪いのではないですか?」


「へ、平気よ! 野乃。私は身体が丈夫だもの!」


 美雨は慌ててそう返事をして夕食のスープを口に運んだ。






 次の朝。太陽が昇る前に起床した美雨は着替えを済ませて澄光からの迎えの者が来るのを待っていた。

 今日は巫女服ではなく普通の民が着る服を着ている。礼拝に出るのだから巫女服を着ようかとも思ったのだが昨夜澄光からの伝言で服装は普通の民と同じでいいと聞いたからだ。


 太陽神殿の礼拝は神官たちが基本的に執り行うが一部の神官ではない民も参加するためその者たちに美雨の素性がバレないようにするためと説明された。

 美雨もその意見には賛成だった。王女の美雨が太陽神殿に滞在していることはなるべく民に知られてはならない。


 すると扉がノックされた。

 迎えが来たらしい。


「どうぞ」


 美雨が入室許可の返事をすると扉が開き男性が入って来る。

 その男性を見て美雨は目を瞠った。


(光主様!)


 族長の澄光と同じように金糸で光族の紋章が描かれている白い神官服を身に付けた光主は昨日会った時と印象がまるで違う。

 昨日はどこか粗野な印象もあったが今の光主からは洗練された清らかな雰囲気が漂う。


「お迎えにあがりました。美雨様」


「光主様自ら迎えに来てくれたのですか?」


「はい。これでも私は上位神官の身分ですので美雨様をお連れするように族長に頼まれまして」


 本当は光主が「美雨様の迎えは自分に行かせて欲しい」と澄光に直談判したのだがそんなことを美雨に話す光主ではない。


「そうだったんですね。今日はよろしくお願いします」


 朝一番に光主の顔を見れて美雨は嬉しくで顔が綻んでしまう。

 そんな美雨の顔を光主は眩しそうに見つめた。


「こちらこそよろしくお願いします。ではご案内しますね」


「はい」


 光主について美雨は部屋を出る。

 東棟の一階まで下り長い回廊を進んで行く。


「美雨様。朝の礼拝が終わったら今日のご予定は何かありますか?」


 不意に光主から話しかけられて美雨は胸がドキッとしたが平静を装って答えた。


「いえ、特には。ただ光族のことを知りたいのでそういうことが分かる場所に行ければと思うのですが」


 自分の婚約者を決めるのも大事だが将来女王になった時のことを考えて光族のことについて知りたい。

 次に美雨が光族の土地に来られるのはいつになるか分からないのだ。


「ああ、なるほど。美雨様は女王になる者として光族のことを知りたいということですか?」


「ええ。女王になる者にはその知識が必要ですから」


「そうですね。それなら朝の礼拝が終わったら私と出かけませんか?」


「え? 光主様と?」


「美雨様に光族の起源を教えてあげますよ。それに光族の民の生活に興味もあるでしょう?」


 光主はニコリと笑みを浮かべた。


(確かに光族の起源や民の生活は知りたいわ。それに光主様と一緒に出かけられるなら願ってもないことだし)


 族長の澄光からも王配候補者と話すのも行動するのも自由にしていいと言われている。

 それならば光主と出かけても問題ないだろう。


「はい。とても興味があります。私に教えてくれますか?」


「喜んで。では朝の礼拝後迎えに参ります。美雨様には光族のことを知って欲しいですから。そして私のことも知って欲しい」


「え?」


 光主は一瞬だけ歩みを止めて美雨を見つめた。

 美雨を見つめる金の瞳の奥に熱情を感じて美雨は息を呑む。

 しかしすぐに光主は視線を外して再び歩き始めた。


(自分のことも知って欲しいなんて…私が女王候補者だから王配候補者を知る必要があるって意味よね、きっと)


 ドクドクと高鳴る胸に手を当てて落ち着くように呼吸を整えながら美雨は光主の後を追った。


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