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女王の華咲く日~新しい女王は六人の王配に愛されて華開く~  作者: リラックス夢土


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第29話 王配候補者の選別理由

「初めまして、美雨様。私の名前は光延です。年齢は21歳です。得意なモノは狩りです。噂に違わぬ美しい姫君でいらっしゃる美雨様の王配になれるように頑張ります。本当に美雨様はお美しいです」


 光延と名乗った人物は美雨の顔だけでなく華奢な身体に視線を這わせてきた。

 外見を褒められることには慣れている美雨だが光延のように自分の姿を値踏みされるように見られると不快感を感じる。

 ここに野乃がいたら間違いなく「そんな不敬な視線を美雨様に向けるな」と怒るだろう。


(でも私が過剰に反応したらまたこの場が騒ぎになっちゃうわよね。ここは我慢しないと)


「褒めていただきありがとうございます。光延様は狩りがお好きなのですね。今までどのような獲物を仕留めたんですか?」


 美雨は光延の視線を気にしないようにしながら質問をした。


「先日はこんな大きな鹿を仕留めました」


 光延は両手を大きく広げて獲物の大きさを示す。


「まあ、そんなに大きな鹿がいるんですね。光延様の狩りの腕は素晴らしいです」


「いえ、それほどでも。その鹿は剥製にしてあるのでぜひ美雨様に実物を見ていただきたいです」


「そうですね。滞在中に機会があれば拝見させていただきたいですわ」


 光延の申し出を社交辞令のひとつとして受け入れると光延は満足そうに頷いた。


「では次は私の番ですね。私は族長の末っ子の光拓です。年齢は18歳で趣味は魚釣りです。美雨様にお会いできて光栄です」


 族長の末子だという光拓は人柄の良さそうな温和な笑みで挨拶をする。

 年齢は美雨と変わらないようだ。


「こちらこそお会いできて嬉しいですわ、光拓様。私は魚釣りをしたことが無いのですが魚釣りのどういったところがお好きなんですか?」


 王宮からほとんど出ない生活をしていた美雨は当然魚釣りなどしたことはない。

 海は未だに見たこと無いし川や湖すら本物を見たのはこの王配選びの旅が始まってから見たぐらいなのだ。


 しかし知識としては魚釣りがどのようなモノかは知っていた。

 美雨の水のお父様である志水にも海でやっている魚釣りの話を聞いていたからだ。


(水のお父様は私に本物の海を見せたいって言っていたのよね。それに一緒に魚釣りもしたいと)


 水の王配の志水が病死してしまったためにもうその願いを叶えることはできないがこの光族で光の王配候補と婚約できたら次は水族に行く予定なので海を見ることはできるだろう。

 光拓の言う魚釣りはこの光族の土地で行うものだろうから川か湖での釣りのはずだ。


「魚釣りは竿を水面に垂らして魚がかかるまでの間、静かに時間が過ぎていくのが心が落ち着いて私は好きです。美雨様さえ良かったら近くの川で魚釣りをしませんか?」


「ええ。ぜひ体験してみたいです」


 静かな時間を過ごすことは美雨も好きだ。

 よく王宮の中庭でひとり静かに木々や花々を見ながら本を読んだことを思い出す。


「魚釣りなどという退屈で非効率な趣味に美雨様を付き合わせるなど時間の無駄だろう」


 月天が再び口を挟んできた。

 しかし光拓は嫌な顔はせず苦笑いするだけだ。


「一度、月天さんも魚釣りをしてみたらどうですか? 意外と気にいるかもしれないですよ」


「フン、魚釣りなどやるだけ無駄だ。私は漁師になどになるために生まれてきた人間ではないからな。私は光の王配になるべき人間だ」


「別に私も漁師になるほどの腕前ではありませんよ」


 月天の嫌味も光拓は肩を竦めてやり過ごす。


(なんだか月天様より光拓様の方が年上のような感じがするわね。それに漁師は立派な職業よ。彼らがいなければ魚が食べられないんだもの)


 漁師を蔑むような発言をする月天はやはり王配に向いていないと思わずにはいられない。

 華天国を形成する部族には水族もいる。水族は海で漁をして生計を立てる者が多い。


 月天が今の言葉を水族に対して使ったら水族に対する侮辱として取られても仕方がないくらいだ。

 迂闊にそんな発言をする月天が王配候補者として選ばれているだけでも美雨には驚きに感じる。


 美雨はチラリと族長の澄光に視線をやった。

 各部族の王配候補者は族長が選出するがなぜ澄光が月天のような者を王配候補者にしたのか。


(もしかして月天様はこの中で霊力が一番強いとか? その可能性はあるわよね。照奈だって性格に難があっても霊力が強いから有力な女王候補者として指名されたんだし)


 霊力の強い者はその霊力を制御する術を身に付けて育つ者がほとんどなので普通の状態ではその者が霊力が強いか見抜くことはできない。

 美雨の父親レベルになると相手の霊力を見抜く力も備わるようだが美雨にはまだそこまでの能力はなかった。


(性格に難はあっても霊力の強い者を選ぶのが良いのかしら。でもやはり王配としての適性に欠けるのは問題なはず。それに……)


 今度は先ほど月天に侮辱された時に怒ってくれた光主の方に視線を移す。

 すると光主は苦々しい表情で月天と光拓の方を見ていた。

 族長に注意されたばかりだから発言を控えている様子だが明らかに月天の態度に苛立っているのが分かる。


(私の気持ちも大事よね……)


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