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女王の華咲く日~新しい女王は六人の王配に愛されて華開く~  作者: リラックス夢土


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第22話 帰還報告

 光主は光の都へと帰ってきた。

 自分の住居である太陽神殿に戻ると光主は神官に尋ねる。


「族長はいるか?」


「はい。大神官長様ならご自分の部屋におられると思います」


 光族の族長は太陽神殿の大神官長を兼ねている。

 光主は自分の父親でもある澄光を呼ぶ時はたいがい族長と呼ぶが太陽神殿の神官たちは澄光のことは大神官長と呼ぶのが普通だ。


 族長と呼んでも大神官長と呼んでもどちらでもかまわないのだが太陽神殿に仕える神官は身も心も太陽神へと捧げている身分なのでその最高位にいる澄光を大神官長という敬称以外では呼ばない。


 自分が帰還したことを報告するため光主は澄光の部屋へと向かう。

 澄光の部屋の扉をノックすると入室許可の声が聞こえたので光主は部屋に入る。


 部屋の中では澄光が執務机に座り書類を読んでいた。

 大神官長の仕事は太陽神殿での礼拝や儀式を司る仕事が多いが澄光は光族の族長としての仕事もあるので忙しい。


 子供の頃から自分の父親を見ているが澄光が遊んでいるような姿を光主は見たことがなかった。

 だから成人してからはその澄光の仕事を手伝って少しでも父親の負担が軽くなるように尽力しているつもりだ。


「族長。ただいま戻りました」


 光主の言葉を聞いて澄光は見ていた書類から視線を外し光主を見た。


「光主か。ギリギリ間に合ったみたいだな。美雨王女様たちはまだ太陽神殿には来ていない」


 どうやら美雨王女が来る前に戻って来られたようで光主はホッとする。

 女王候補者が来た時に王配候補者がそろっていないとなれば光族の恥だ。


「それは良かったです。盗賊の件は明山に引き継いできました。私が捜索した範囲では盗賊は見つかりませんでしたが」


「ふむ。そうか」


 帰還報告のついでに澄光から命じられた盗賊退治の件についても報告すると澄光は何かを考えるように難しい表情になる。


「盗賊が隣国の者だった可能性はあるか?」


「それは否定できません。もし隣国の者だった場合は隣国に逃げられたらこちらは追うことができませんし」


 盗賊退治という目的があっても隣国との国境を越えて捜索することはできない。

 そんなことをすれば隣国に華天国が侵攻したと思われてしまう可能性があるからだ。


「やはり守護結界が弱まっている可能性は高いか……」


 呟くように澄光が漏らした言葉に光主はピクリと反応した。

 普通の民は知らない者がほとんどだがこの華天国に張られているという守護結界の存在を光主は知っている。


 王配候補者として選ばれた時に澄光からその存在と重要性について説明されたからだ。

 その話を聞いた時に光主は守護結界の存在を俄かには信じられなかった。


 光主自身が霊力の高い人物だからこそ分かるのだがこの広大な華天国の全土を覆う結界を張るのにどれだけ強大な霊力があればそれが可能なのか想像がつかない。


 女王と六人の王配がそろって初めて完璧な守護結界が張れるらしいのだが自分がもし光の王配となったとしても自分の霊力では力不足なのではという思いが頭を過ぎるのだ。  


「守護結界ですか。それが弱まると隣国から侵略されると族長は思っていらっしゃいますか?」


「正直、私もそれは分からんがこの国の歴史がそれを証明している。王配が欠けたり女王が病になり守護結界が弱まったとされる時代には確かに他国と戦争をした記録があるからな」


(確かに俺も守護結界の話を聞いてから改めて歴史を振り返って調べたら父上の言う通りだったんだよな)


 現在の氷雨女王の王配は闇の王配と水の王配が欠けている。

 もし歴史が示す通りならなるべく早く次の女王に王位を譲り新しい女王と王配で守護結界を張り直す必要があるだろう。


(王配が重要な役割だとは分かるがそのために好きでもない女と結婚するのは俺としては耐え難い)


 ただ守護結界を張るために協力しろと言われたならば光主は自分にできることなら協力を惜しまない。

 自分はこの国が好きだし光族の民を護るためにはこの華天国が存続することが必要不可欠なのだから。


 しかしそのために好きでもない女と結婚しなければならないという事実が光主の中では重要なことなのだ。


(もしかしたらあの水族の女を見る前の俺だったら承諾した可能性もなくはないのかもしれないが)


 途中の町の教会で見かけた美しい水族の女のことが光主の脳裏に再び浮かぶ。

 もう会えないだろう彼女の存在が自分の心から消えることがあるのだろうか。


 少なくともこんな想いを抱いたまま誰かと結婚するなど光主には無理だ。


「王配候補者には拒否権がありますよね?」


 突然、王配候補者の拒否権について尋ねてくる光主に澄光は驚いたように目を瞠る。

 だが次の瞬間、澄光の瞳が鋭くなった。


「あるにはあるがお前は拒否権を行使するつもりなのか?」


「その可能性はあります。今回の美雨王女が私を王配候補者として選んでもそれを受け入れるかは私の意思ですから」


「女王候補の有力者から指名されても断る気か?」


「あくまで可能性を話しただけです。族長が私を族長か王配にしたい気持ちは承知しています」


 澄光ができれば自分を王配にしたがっていることは知っている。

 女王候補者に指名されなかったら族長にしたいことも。


(父上の気持ちは分かっているが俺は好きでもない女と結婚する気はないんですよ)


「まあ、それならばいい。美雨王女様が着いたら王配候補者たちとの顔合わせをするからそれまでは遠出をするなよ」


「承知しました」


 光主は一礼すると澄光の部屋を出て自分の部屋へと向かう。



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