運命の赤い糸、繋がった相手は呪われたイケメンでした
はじめまして、お久しぶりです!勢いで書いています!よろしくお願いします!みんな幸せになあれ。
⋯⋯
私はルーシェ=フェイト、13歳。
母から娘へと受け継がれる、特殊な血統魔法を使う家系に生まれた。
運命の赤い糸が見える血統魔法。
人を幸せにしてくれる魔法とも呼ばれる。
うちの家系は、女の子は代々一人しか産まれないし、1人は必ず産まれる血統魔法で、昔々のご先祖様が女神様から授かったと言われている。
その人の左手の薬指から、何本かの運命の糸が伸びている。
細い糸や太い糸、ピンクの糸や赤い糸だ。
細い糸は、すぐ切れる縁。
ピンクの糸は、恋だけで終わる縁。
太くて赤い糸は、結婚すると幸せになる相手だ。
時に、太くて赤い糸だったとしても、喧嘩をしたりすると、千切れかかったり、一部細くなったりする。
そんな時に、私達の一族が相談された場合は、その部分をちょちょいと引っ張り、固く結んで、運命を強くすることもできる。
昔から、運命の相手を探してくれる血統魔法だと人気のある魔法だ。
お母さんもおばあちゃんも、よく相談にのっているのを間近で見てきた。
どんな人でも、運命の相手を見られるけれど、自分の運命の人だけは見れない。
ただし、自分の運命の相手は、繋がった相手が見えず、途中で赤い糸が切れたように見えるから、実質わかる。
お母さんもおばあちゃんも、そうして運命の相手を見つけて、夫婦円満な家庭を築いている。
2人とも運命の相手は、一般的な魔法を習う魔法学校に通っている時に見つけている。
13歳から18歳までの魔法使いが通うから、上下5歳までの年の近い人が集まる。
余程、運命の相手と年の差がないと、そこで見つかるらしい。
お母さんは年上、おばあちゃんは年下が運命の人だった。
私はどうなるんだろう。
明日からの学校が、楽しみだ。
⋯⋯興奮して、あまり眠れなかった。
眠い目をこすりつつ、入学式へ向かう。
私の運命の相手は見つかるだろうか。
期待に胸が膨らむ。
「私の運命の人は、あの人なの⋯⋯」
入学式が始まる前、新入生が入場する前に集められた場所で、私は運命の相手を見つけた。
彼の周りは、ぽっかりと空間が空いていて、とても見やすかったから、すぐにわかった。
彼から伸びる糸は、途中で切れて見えなくなっている。
左手の薬指から伸びる糸は、もはやロープと言っていい程太く、色は深紅。
これ以上ない程、良縁だと言える。
ただその相手が、呪われたダニエル=シンラだと言うことが問題だ。
切れ長の瞳にフサフサのまつ毛、高い鼻筋に形の良い唇、イケメン。
顔の左半分が、赤黒い文字で覆われている以外は。
嫌い、憎い、殺してやるなど、インクで書かれたような赤黒い文字が絶えず言葉を変えて、身体の半分を這い回っているのだ。
彼のその姿は、恋多き父親にかかるはずだった呪いが、赤子だった彼に間違ってかかってしまったものだった。
間違って呪いをかけた魔女は、その命をかけて呪いをかけた為に亡くなってしまい、最早解くことも出来ず、彼は何の罪もないのに、その姿で過ごさざるを得ない。
顔の左半分を酷い言葉が埋め尽くし、それが動き回ると言うのは、見ていて、とても悍ましいものだった。
その為、彼の周りに人はおらず、ぽっかりと間があいて、遠巻きにされていた。
うつむいて唇を噛む彼が見える。
顔半分はとても綺麗な分、赤黒い半分が、とても怖く見えた。
「こんにちは!」
「⋯⋯え?僕に話しかけているの?」
彼の正面に立って話しかけた私に、彼はとても驚いた顔を見せた。
「ええ!貴方よ。私の名前は、ルーシェ=フェイト。よろしくね!」
「え、うん。⋯⋯よろしく。」
ここまで運命の強い相手だ。
遅かれ早かれ絶対関わるし、将来の旦那様になるなら、初対面は良好な方がいいじゃない?
私の肝は据わっていると、お母さんからもおばあちゃんからも太鼓判を押されている。
私は彼に近づいて、両手をそれぞれの手で握る。
「貴方の名前も教えて?」
「⋯⋯僕の名前は、ダニエル=シンラ。」
驚いた彼の瞳は、青くとても澄んでいた。
真っ赤に染まった頬に、動揺して横に動く瞳、涙の滲む顔は、女の子慣れしていなくて、とても可愛く思える。
私は思わず、右手で左目の涙を拭うと、ペリッと赤黒い文字の一部が剥がれた。
「え?」
剥がれた文字は、引っ張ると、文毎に綺麗に剥がれ、空気中に消えていった。
「これ、剥がれるんだ⋯⋯!」
私は夢中になって、赤黒い文字を剥いでいった。
3分もすれば、赤黒い文字は、全て空気中に消えていった。
あとに残るのは、白い肌を持つイケメン。
「私と付き合ってください!」
「僕でいいなら喜んで!」
入学式が始まる前から付き合い始め、ラブラブな学校生活を送って卒業し、すぐに結婚。
3人の子宝にも恵まれ、素敵な人生を送った私と彼は、後に魔法学校の伝説となった。
やはり、運命の赤い糸は、人を幸せにしてくれる素敵な魔法だ。
おしまい。
読んで頂き、ありがとうございます!
入学式が終わった後、鏡を見たダニエルは、呪いを解いてくれたルーシェの事が大好きになり、ヤンデレぎみに愛します♡
ルーシェはそんなダニエルをあしらいつつも死ぬまで仲良し夫婦です!
よろしければ、評価や感想をお願いします!




