表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~  作者: 九十九一
1-3.5章 依桜たちの(非)日常2

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/563

68件目 元の姿で 下

 わたしが投げてすぐ、依桜君が投げる準備に入った。

 つい、ノリで依桜君に注目するように仕向けちゃったけど……まずい。非常にまずい。

 これ、終わった後がこわいよ。

 依桜君、絶対怒ってるよ。

 外見じゃ、そこまで怒っているようには見えないけど、怒気のようなものがほんのわずかに漏れ出てるもん。

 あれ、怒ってるよ。


「じゃ、じゃあ行くよー」


 と、依桜君が投げることを伝える言葉を発した瞬間、

 ザザザッ! 


「お、お前たち、急に早くなったな!? 最初から全力出せよ!」


 走っている人までもが限界突破して、ゴールと同時に、こちらへ向かってくる始末。

 お、おおぅ、どんだけみたいんだ、男子たち。


「え、えいっ!」


 と、可愛い声と共にボールは投げられ、


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!』


 男子たちは、可愛いどころか、醜悪な顔と、変態的な歓声を上げながら、依桜君の胸を凝視した。ちなみに、わたしも凝視した。


 お、おお、さすが依桜君……。

 ばるんばるんっ、と大きく揺れてるし、しかも、右と左で動きが全く違うっていう、素晴らしいことに。

 ぶつかり合っているためか、反発しあって、誠に素晴らしい乳揺れが発生してるよ!

 ああ、眼福ぅ……。


 男子たちもそう思ったのか、鼻の下伸ばして、不審者のような顔をしていた。

 こ、これ大丈夫なのかね?


「28メートルだ」


 ありゃ、可愛い掛け声とともに投げたボールは、別段可愛げのない距離を飛んだみたいだね。

 まあ、依桜君、かなり力をセーブしたんだろうけど……もう少しセーブするつもりだったね、あれ。

 だって依桜君、やっちまった、みたいな顔してるし。

 多分、周りの男子たちのせいで、コントロールをミスった、って感じかな。

 ……原因わたしだね!

 ごめんごめんと、軽く心の中で謝った。


『や、やべえ、マジ眼福だった……』

『男女が、一生小さいままなのかと思って、あいつのご立派様がもう見れないのかと諦めていたが』

『奇跡だぁ……あんな立派なものが見れるとか、俺たちは幸運だ』


 あ、あはは……。

 まずい。依桜君から、黒いオーラのようなものが見える。


「依桜、大丈夫?」

「だ、大丈夫……じゃ、ない、かな」


 声が震えてるよ、依桜君。


「はぁ……まったく、あんたたち、少しは依桜のことを考えなさいよ。というか、女委も女委で、煽るようなこと言わないの」

「で、でも、幸せのお裾分けってしたいじゃん?」

「……女委?」

「すみません」


 未果ちゃんの怒った時の笑顔は、本当に怖いよ……。

 逆らえない圧力のようなものを感じるし……。

 まあ、依桜君が怒った時に比べればまだマシだけどね……。


「男女、小斯波、椎崎、変之、腐島、五十メートル走を測るから、こっちにこーい!」


 と、ここで熱伊先生からの呼び出しが。

 とうとう五十メートル走かぁ。

 わたし、走るのって苦手なんだよねぇ。

 まあ、インドア派だし、当たり前と言えば当たり前なんだけど。



「はぁ……」


 熱伊先生の所に集まると、依桜君がため息をついていた。


「依桜君どうしたの?」

「どうしたの、じゃないよ……。女委ってば、みんなを煽るんだもん……」

「あ、あははー。つい、ね……」

「まったく……それで、この場合誰から走るとかってあるのかな?」


 と言う疑問を依桜君がつぶやいていると、


「安心しろ! 五人同時に走ってもちゃんとコンマの誤差もなく計測できるぞ!」

(((((なにそれ、すごい)))))


 熱伊先生って、たまにハイスペックな部分が垣間見えるときがあるんだよね。

 たまに、何者なのか気になる時があるけど。

 五人同時に走って、それぞれの記録を取れるって、化け物みたいだね。


「うーん、でもやっぱり、二、三で別れたほうがいいわね」

「そうだな。いくら、先生が問題ないとは言っても、俺たちのところには依桜がいるわけだしな」

「晶、それはどういう意味?」

「ははは! まあ、あれだ。依桜はちょっと異常だからなぁ」

「たしかに! 依桜がコントロールに失敗してあり得ない速度で走ったら、いくら熱伊先生でも、見逃すだろうからな」

「さ、さすがにしないよ、もぉ……」


 ぷくっと頬を膨らませて反論する依桜君。

 怒った顔も可愛いとは……さすが、女神と称される美少女。


「先生、とりあえず二、三で分かれても大丈夫ですか?」

「構わないぞー」


 許可が下りたので、とりあえず分かれることに。

 こういう時、便利なものと言えば、グットッパだよね。

 と言うわけで、さっそく実行すると、


「これはまた、問題になりそうな分かれ方をしたわね……」


 その結果に、未果ちゃんが頭の痛そうな顔をする。

 というのも、グーを出したのが、晶君と態徒君、それから未果ちゃんの三人。

 で、パーを出したのは、わたしと依桜君の二人。


 運とは全く別のものが介在しているように思える結果だよね、これ。

 というか、何者かがこうさせようとしているんじゃないのかな?


「まあ、いいんじゃねえの? やり直す時間もないしな」

「あんたは、ただ依桜と女委の胸が見れるからでしょうが」

「そ、そんなことはないぜー?」


 当然のように図星を突かれた態徒君は、挙動不審な態度を見せる。

 うん、正直だねぇ。


「実際、時間がないこともないが、後ろのことを考えると、このままやるしかないな」

「……そうね。女委はともかく、依桜が心配だけど……大丈夫?」

「ま、まあ、うん……。少なくとも、あそこで興奮している人がいなければ、ね……」


 諦めたような表情の依桜君がベンチのほうを見やると、たしかに、興奮した男子たちがそこに集まっていた。

 依桜君とわたしに視線が集中してるねぇ。特に、依桜君の方に。

 さすが、学年どころか、学園一と言われる依桜君の胸!


「はぁ……まったく、男って、馬鹿しかないのかしら?」

「まあまあ未果ちゃん。男の子が、大きい胸に興味を示すのは当然のことなんだよ」

「そうかもしれないけど、限度ってものがあるでしょう、限度ってものが」

「んー、でもでも、よくあるTSものとかだと、普通に襲われてるよ? 主に、性的に」

「それはエロゲとかの話でしょ! 現実に持ってくるんじゃないわよ!」

「お、おそわれ……」

「ほら、依桜がちょっと青ざめてるじゃない」


 未果ちゃんが言うように、依桜君に目を向けると、ぷるぷる震えながら青ざめていた。

 お、おおぅ、結構ダメージが大きかったみたい。


「大丈夫だよ、依桜君。うちの学園で、依桜君を襲うような命知らずは、なかなかいないと思うよー?」

「……少なくとも、三人くらいいるけどね」


 依桜君の返しに、わたしも含めて、みんなびっくりしていた。

 え、いるの? それも三人。


「まあいいけど、とりあえず、さっさと終わらせちゃいましょ」

「そ、そうだね」

「じゃ、最初の三人からね」


 あれ、わたしたちが最後なんだ。


「先生、行きまーす!」

「おう、じゃあ行くぞー。よーい……ドン!」


 熱伊先生のスタートの掛け声とともに、三人が一斉にダッシュ。

 おー、さすが晶君に態徒君。

 かなり早いねぇ。

 二人よりも、ほんのわずかに遅れてるけど、未果ちゃんも随分早い。

 三人のそれぞれの距離はほとんど変わらず、そのままゴール。


「小斯波が、6.9秒。変之は7.2秒。椎崎が7.9秒だな」

「三人とも早いなぁ」

「依桜君がそれ言う?」

「ま、まあ、ボクの場合は普通じゃないから……」


 あはは、と苦笑いする依桜君。

 依桜君の場合、異世界でかなり鍛えられてるからね、普通じゃないのも当然。

 そもそも、女の子になっていること自体が普通じゃないしね!


「よーし、次の二人、準備しろー」

「じゃあ、依桜君、頑張ろうね」

「う、うん。……ボクの場合、頑張る必要があるのは、如何に力を抜くか、っていうことだけどね」

「変な記録を出したら、また目立っちゃうもんね」

「あんまり悪目立ちしたくないもん」


 依桜君って、昔から目立つのが得意じゃなかったからねぇ。

 それでも、必要とあらば、目立つようなこともしていたけど。


 自分のために目立つこともほんの少しだけあったけど、ほとんどは人のためだったように思えるし。

 後から聞いたモデルの件もそうだし、学園祭だって、恥ずかしい気持ちを抑えてあの格好をしてくれてたしね。

 まあ、学園祭に関しては、わたしが無理矢理やっただけだけども。


「先生、準備できましたー」

「わかった。じゃあ行くぞ、よーい……ドン!」


 ダッと、地を蹴って走り出す。

 本気で走っているけど、依桜君には全然追いつかない。

 それどころか、ぐんぐんと距離を離されている。


 けど、わたしには見えている。

 そう! 依桜君の胸が! ハンドボール投げの時よりも大きく揺れていることに!

 ばるんばるんっ、と跳ねて、依桜君の腕に当たるたびに、ふにゅんと形を変えるあの胸!

 ちらりと外野を見れば、男子たちが依桜君の揺れる大きな胸を見ながら、


『よっしゃああああああああああああああっっっ!』


 という雄叫びを上げていた。

 あれ、どう見ても晶君以外の全員な気がするんだけど。

 だって、体育館の中を覗いたけど、男子が一人もいなかったし。

 す、すごい。さすが依桜君!


 うっ、胸が痛い……。

 依桜君、あれ痛くないのかなぁ……。

 わたしなんて、ちょっと激しい動きをしただけで付け根が引っ張られて痛いよ。

 にも拘らず、依桜君は涼しそうな様子。

 やっぱりあれかな。異世界で色々と訓練していたから、痛くならない走り方を知っているとか?


 ……あ、でも前に、揺れると痛いって言ってたっけ。

 どうなんだろう? 後で聞いてみよっと。

 と、そんなあほらしいことを考えていると、依桜君がゴール。

 それから少し遅れて、わたしもゴールした。


「男女、7.0秒。腐島、8.8秒」


 おー、依桜君速いなぁ。

 全然息切れしているように見えない……って、あれ本当に息切れしてないや。

 さすが、魔王討伐の英雄。


『ちゃ、ちゃんと撮れたか?』

『おうよ! やっぱ、江口アダルティー商会の商品はすげえよ!』

『これは、いいものが手に入ったぞ!』

『あとで俺にもくれよ?』

『俺も俺も!』

『ふっ、五百円な』


 おお、人の写真で商売してるよ。

 肖像権ってあるんだよ? って、わたしが言えた義理じゃないよね!

 わたしもあとで買いに行こ―っと。



「ふぅ……」


 何とか無事に終わったよ。

 体の疲れよりも、精神的な疲れの方が目立つなぁ。


 クラウチングスタートの時とか、本当に気を遣ったよ。

 いかに地面に穴を開けずにスタートを切るか、みたいなところがあったし。

 本気でスタートダッシュしたら、それだけでゴールができるけど、もっと先の方まで飛んで行っちゃうしね。

 それに、踏み込んだ場所に穴が開いちゃうから、そんなことできないし。

 言うほど苦ではないけど、少し疲れるのも事実。


 そう言えば、ミレッドランドには、身体能力を抑えるアイテムがあるっていうことを聞いたっけ。

 もし、また行くようなことがあれば、探してみようかな。

 もしかすると、師匠が知ってるかもしれないし。


「お疲れ様、依桜君」

「あ、女委。女委もお疲れ」

「うんうん、本当に疲れたよ……。やっぱり、インドアに運動はきついねぇ」

「女委は、もう少し運動したほうがいいんじゃないの?」

「にはは~、わかってはいるんだけどねぇ、やる気が出ないんだよね~」

「女委はそうだもんね」


 好きなこと以外には、あまりやる気がないのが女委だし。

 この学園に入れているわけだから、女委は頭が悪いわけじゃない。

 むしろ、いいほうだからね。


 そもそも、才能の塊みたいな部分があるもん。

 好きなこと以外に対してやる気が出ないだけで、全てにやる気があったら、もっと上の学園に行けたしね。


「お疲れ、依桜、女委」

「あ、晶。未果と態徒は?」


 女委と話していると、晶がボクたちに声をかけてきた。

 来たのは晶だけで、未果と態徒の姿はない。


「あー、まあ……あれを見ればわかる、か」

「あれ? ……うわぁ」

「ありゃりゃ、やっぱり未果ちゃんに目を付けられたんだねぇ」


 晶が示した先には、未果に制裁を加えられている男子たちの姿が。

 死屍累々という言葉がぴったりな状況。

 何をされたのかはわからないけど、みんな地面に突っ伏して、ぴくぴくとしたまま動く気配がない。

 何されたの、あれ。


「あんたたちは、まったく……というか、態徒もよ!」

「ぐふぉ! ちょ、ま、マジで痛いからぁっ!?」


 ガスガスと、うつぶせのまま何度も踏みつけられていた。

 い、痛い。あれは痛い。

 というか、なんかすごく見たことがある光景なんだけど。

 母さんが父さんにやっていることと一緒の光景なんだけど。


 ……これで、態徒が喜んでたら、どうしようもない変態ってことになるけど……うん、どうやら大丈夫みたい。

 少なくとも、踏まれて喜んでいるわけじゃないね。


「とまあ、あんな感じだ」

「自業自得だね、あれ」


 少し聞こえていたけど、どうもボクの写真を撮って、それを売ろうとしていたような感じだったし。


「写真は未果ちゃんに取られるだろうけど、依桜君の胸が揺れ動いていた様は、脳内にバッチリ保存されてそうだけどね」

「や、やめてよ、女委。ボクだってすごく恥ずかしいんだから……」


 変態な人たちは、何を考えているかわからないから怖い。

 ……記憶を消したほうがいいかも。


「まあ、変なことにはならないとは思う――」

『べ、別におっぱいが揺れる様を見たっていいじゃないか!』

『そうだ! それに、あの様子をカメラに収めて何が悪い!』

『俺たちにだって人権はある! ネットに投稿したり、売ったりしないで、自分たちで楽しむだけならいいじゃないか!』

『それとも、委員長は胸のサイズが劣っていることが悔しくて言ってるのか!』

「何言ってんのよ! 私は別に気にしてないわよ!」

『ふっ、そう言っているが、本心では気にしてるんだろう? まあ、無理もない。男女がエベレストだとしたら、委員長はマナスルくらいげはっ!?』

「誰が八番目よ! 私だって、Dくらいあるわ!」


 と言うやり取りが裏で行われていた。


「……依桜、先に手は打っておいたほうがいいぞ」

「……だね」


 いいかも、ではなく、本気であの光景を見ていた男子たちの記憶を消そうと思った。

 どうも、九十九一です。

 最後のボケ?に関しては、まあ……気にしないでください。ちなみに、マナスルと言うのは、世界で八番目に高い山のことです。どうでもいいですね。

 さて、明日は……まあ、いつも通りに出す予定です。

 感想にて、自分の好きな時に出すほうがいいと言われまして、その優しさが沁みました。

 多分、2、3話くらい出したら、1、2日くらい休むかもしれません。

 理由はまあ、基本的に毎日投稿しているので、ちょっと疲れただけです。多分、今後も一日休む日が増えるかなと思いますので、ご了承ください。

 それから、次の長編?に関してなんですが、ゲームにするか体育祭にするかでちょっと迷っています。

 うーん、どっちがいいんだろ。

 もし、読んでいただいている皆様に、リクエストなどがあるようでしたら、やってほしい話を言っていただければやるかと思いますし、何らかの形でやりたいなと思いますので、遠慮なく言ってください。

 では。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 男たちが気持ち悪すぎる()不快になってきます
[気になる点] 一つ不思議なのは授業中に写真や動画を撮っている男子がいるのに先生も女子も止めないことですね。
[気になる点] 男子が下品過ぎて不快 普通に依桜が可哀想
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ