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異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常~  作者: 九十九一
1-4章 ちょっとおかしい体育祭

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130件目 棒倒し(雑)

「――と言うわけなんですけど、じっさいの細かいルールってどうなんですか?」

「たしかに、私は『闘うのはダメ』って言ったわ。まあ、その前に大雑把に、『直接の参加はダメ』って言ったけど……。実質的には、『闘うのはダメ』の方ね」

「あ、そうなんですね。……そうなると、闘わなければ動き回ってもいい、ってことですか?」

「んー、ま、そうね」


 なるほど。

 なら、その場でとどまらなくてもいい、ってことなのかな?

 あ、もう一つ訊いておこう。


「それから、たたかう、って言うのは、どこからどこまでがふくまれてますか?」

「そうねぇ……ま、対人戦ね。それ以外は基本的に他の人と同じことをしても大丈夫よ」

「そうなんですね。ありがとうございました。それじゃあ、しつれいしますね」

「ええ。何か困ったことがあったら、いつでも来てね~」


 最後に軽く会釈をしてから、ボクは学園長先生のところを去った。



「――って言うことみたい」

「なるほど。なら、依桜が棒を倒しに行ってもいい、ってことか?」

「たぶん」


 人と闘わないこと以外のことをしてもいい、って言われたから、おそらく棒を倒しに行っても問題はないんじゃないじゃないかな。

 明言はされてないけど、棒を倒しに行っちゃダメ、とは言われてないもん。


 ……暗殺者時代は、こういう悪知恵が必要だったからね。


 例えば、誓約書の穴を突くとか。

 そうやって悪徳商会の親玉を懲らしめたり、領民からお金を回収し、公共事業に充てるんじゃなくて、そのまま自分の懐に入れていた悪い領主とか。

 そう言う人相手には、正攻法で行ってもダメな場合が多くて、今回のような悪知恵を働かせないといけなかったからね……。


 だから、穴を突くのがそれなりに得意と言うか……。


「ということは、開始早々に依桜が棒に突っ込んでも問題ない、ってことよね」

「だろうな。そうなると、それで勝負を決めてもいいような気がするが……」

「さ、さすがにそれはちょっと……」

「まあ、依桜は目立ちたくないもんなぁ。つっても、その外見で目立ちまくってるから、今さらな気がするし、ドラマのエキストラにファッション誌の読モをやってたから、今さらだけどな」

「むぅ、態徒のくせに、せいろんを……」

「オレが正論を言ったらだめなのか!?」


 ダメと言うか、なんかちょっとイラっと来ると言うか……。

 ……うん。我ながら理不尽なことを言ってるね、これ。

 ……弟子は師匠に似るのかな?


「まあまあ、態徒君に正論は似合わないのはいつものことじゃん」

「酷くね!?」

「依桜君が指揮官ってなると、作戦を考えるのって依桜君になるのかな?」

「そうなんじゃないか? 依桜、何かあるか?」

「ボク、きほんたんどくこうどうだったから、せんじゅつを立てるのとか苦手で……」


 できても、本当に初歩中の初歩。


「そっかぁ。まあ、暗殺者だったんだもんね。難しっか。……あ、じゃあこう言うのはどうかな」

「お、女委、なんかいい案があるのか?」

「うん! 今の依桜君の姿を活かした、ナイスなアイディアだよ!」

「へぇ。どんなのかしら?」

「えっとね――」


 と、ボクたちに耳打ちをする女委。

 その内容を聞いて、ボクは……顔が熱くなるのを感じた。



「作戦の中身は覚えたか?」

『『『おう!』』』

「オレたちには、天使が付いてる! 絶対勝てるぞ!」

『『『おおおおおおおおおおおおっっ!』』』


 招集がかかり、ボクたちはグラウンドに来ていた。

 さっき、試合の順番が決まって、ボクたちのクラスは十二試合目。つまり、最終試合になった。


 ……本当は、出る予定はなかったんだけどね、ボク。

 単なる不注意の怪我だったら、ボクが出ることはなかったらしいんだけど、理由が理由だったため、出場許可が出てしまったわけで……はぁ。


 まあ、宮田君はいいことをしたわけだから、怒る気も、責める気もないけど……四種目しか出れないはずなのに、まさか五種目も出ることになるとは思わなかったよ……。


『さてさて、選手の皆さんが集まったようですので、ルール説明に参ります! この棒倒しも、ほかの団体競技同様、同学年同士の試合になります! この競技は、それなりの危険を伴うため、順位付けなどは存在しません。それぞれ、東軍・西軍に所属しているクラス同士が試合を行い、勝った方に得点が加算されます! そして、試合におけるルールですが、基本的には何でもありです。棒を倒したら勝ちで、倒されたら負け。それぞれ十六人で行うので、戦術がものを言う競技でもあります! ですので、力が強い人が多いからと言って、必ずしも勝てる、と言うわけではありませんので、頑張ってください! そして、この競技では殴り合いが許可されております。武器の使用は原則禁止ですが、それ以外であれば攻撃しても構いません。もし、気に入らない人がいたのなら、ここで鬱憤を晴らしてしまいましょう!』


 実況の人、思いっきり煽りに行ってるんだけど!?

 いいの!? 殴り合いを推奨するようなこと言っちゃってるけど、大丈夫なの!?


『それから、万が一骨折などの重傷を負わせた場合は、即時失格となりますので、ほどほどにお願いしますね。あと、万が一気絶した場合、その人はリタイアとなりますので、気絶させた人が責任をもって、テントに連れてきてくださいね』


 う、うーん、大丈夫なのかな、この競技。


『では、さっそく始めていきたいと思います! 一試合目に出るクラスは、準備をお願いします!』


 本来出ることのなかった棒倒しが始まった。



 色々と、不穏な説明の後に始まった棒倒しは……ちょっと……かなり酷かった。


『てめぇ、俺が理香子ちゃん好きなの知ってて、付き合いやがって! マジ許せんッ! 貴様はここで殺す!』

『へっ、いつまでもうじうじしてんのが悪ぃんだよ! 男なら、全力でアプローチしねえとな!』

『あの日、更衣室を覗きに行って、一人だけ逃げたこと、俺はぜってぇ許さねえからな!』

『ありゃ、お前が逃げるのが遅いだけだ! 使えるものは使う! それだけだ!』

『んだと、この野郎!』

『あんたのこと、前々から気に食わなかったのよ! いっつもいっつもいい子ちゃんぶって! ほんっと、あんたのその猫被りには反吐が出るわ!』

『なぁにぃ? わたしが真司君と付き合ったのがそんなに許せないのぉ? あー、やだやだ。心の狭い女ってモテないのよぉ?』

『ぶちコロスっ……!』


 こうなってしまった。


 棒倒しもしてるにはしてるけど、ほとんど棒倒しそっちのけで喧嘩が勃発。

 どちらかと言えば、喧嘩祭りだよね、これ。


 あと、たまに聞こえる言い争いの中身のほとんどが、恋愛事なのがちょっと……。

 しかも、昼ドラのような展開になってるところもあるし……


『聡君は私のことが好きなのっ!』

『いいえ、わたしよ!』

『私!』

『わたし!』

『あ、あの、二人とも落ち着い――』

『『じゃあ、聡君はどっちが好きなの!?』』


 みたいな感じに、三角関係になっていたり、ね。


 これ、本当に、普段の生活でため込んでいたストレスとか、不平不満を吐き出す場になってるよね。

 競技どころじゃないような気がするんだけど……。

 こんな感じに酷い有様な棒倒しだけど、酷いのは三年生と二年生で、一年生は比較的まともだった。


 まあ、そこまで酷いことが起こるような時期でもないしね……。

 そんなこんなで試合は順調(とは言い難いけど)に進み、ボクたちの番となった。


『棒倒し、十二試合目、最後を飾るのは……一年五組対一年六組です! えー、一年六組は、本来宮田君が出場する予定だったのですが、不慮の事故で大怪我を負ってしまい、急遽、男女依桜さんが出場することになりました! なお、男女依桜さんは、本来の出場制限のため、指揮官ポジションとのことなので、人と闘う、と言うことはないようです。ではでは、試合に行きましょう! 先生、お願いします!』

「両クラス、準備はいいですね? では……開始です!」


 その言葉と共に、スターターピストルが鳴り響き、試合が始まった。


「それじゃ、作戦通りに行くぞ」

「おうよ! 任せとけ!」

「この作戦は、依桜が要だからな。頼むぞ」

「う、うん。えっと、まずは……お、お兄ちゃんたち、が、がんばってっ!」


 かなり恥ずかしいけど、これも作戦……これも作戦っ……!


『『『Yeahhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!!』』』


 ボクが声援を送った瞬間、クラスのみんなのプレッシャーが増大した気がした。

 ……応援一つでここまでできるの?


「よし、これでやる気十分だな! 依桜、それじゃあ後は頼むぜ!」

「う、うん」


 本当はすごく嫌なんだけど……。

 あまり気乗りしないものの、ボクは『気配遮断』と『消音』を最低レベルで発動させた。



「おーし、依桜の応援でやる気は十分! 行くぞー!」

『『『おー!』』』


 オレの号令で、メンバーの半分が突撃した。


 今回、特攻するのはメンバーの半分。つまり、八人だ!

 依桜はこの競技では、敵のチームの奴と闘うことができないからな! 実際人数的には向こうが多い。


 だからと言って、オレたちが不利と言うわけじゃないがな!

 オレたちには、依桜の応援で力が漲ってるんだぜ!

 ……なんでかは知らんがな!


「よっしゃあ! 伊藤んとこは、右の方を攪乱! 金井んとこは、左側! オレんとこは、このまま真っ直ぐ行くぞ!」

『『『おう!』』』


 フィールドの中心より手前の辺りで、オレたちは三つに分散した。

 向こうは、見たところ防御をして、こちらが疲弊したところを狙う! って感じだな! 言ったの晶だけど!


 こっちが向かってくるのを見た瞬間、向こうも半分くらいの人数がそれぞれの班のところへ、迎え撃ちに出た。


 しかも、こっちは三つに分散しているから、向こうも同じくらいの人数で向かってくる。

 さすがに、オレでも読めていたことだが、それぞれのところに、佐々木二号、三号、四号がいやがるな。

 ドラ〇ンボールの世界だと、無駄に発達した筋肉を持った奴は、動きが遅い、と相場が決まってるんだが……現実はちがうよなぁ。


 あいつら、なかなかの速さで動くな。そこは、ちゃんとそう言うジンクスを守ってくれよ。


『綱引きでは勝てなかったが、綱引きでの屈辱、ここで返させてもらうぞ!』

「あー、はいはい。わかったから、さっさとかかってきな」

『減らず口をッ! 目にもの見せてやる!』


 こいつ、沸点低いのか?

 すぐに突っ込んできたよ。


「よっと」

『貴様! 避けんじゃねえ!』

「いや、痛いのは嫌だから、そりゃ避けるだろ。馬鹿なのか?」

『貴様に馬鹿とは言われたくないわ!』

「そりゃごもっとも」


 その言葉で、さらに怒ったのか、かなり速いパンチを繰り出してきた。

 ……正直、依桜とかミオ先生の攻撃に比べると、マジで止まって見えるな。

 あの二人、めっちゃ速いんだもん、動き。


『このっ! 避けるんじゃっ、ねぇ!』

「おいおい、攻撃が単調になってきてるぜ? こう言うのはもっと、頭を使ってやらんと」

『うるせえ! 貴様に言われずともわかってるんだよ!』

「お、隙ありだぜ!」


 さらに速くなったパンチを連続で繰り出してくるが、力任せの攻撃なんて、避けられないわけがない。

 しかも、一瞬疲れたのか、動きが鈍った。

 その隙を見逃すオレじゃないぜ!


『な、しまっ――ぐはっ!?』


 隙をついて、右フックを佐々木二号の脇腹に入れた。


『な、なんだっ、この力はッ! き、貴様、なにかドーピングをしているのではあるまいな!?』

「いや、言いがかりだぞ? ただ単に、依桜の声援で頑張っただけだぜ?」


 実際、マジでそうだし。

 まあ、依桜の応援自体が、ドーピングみたいなもんだけどな!


『ぐぅ、だが、まだまだこれからよッ!』


 うーむ。やっぱ、見せ筋じゃないか。

 しかたない。なるべく、悟られないよう、時間を稼ぎますかね。



「……しっかし、あれはなかなか卑怯だな。女委も、悪知恵が働くものだ」


 防衛側として残った俺は、一人呟いていた。

 現在進行形で、態徒は佐々木二号と闘っている。


 態徒は、結構強いので、一人で圧倒しているが、他の奴は正直言って微妙なところだ。

 だが、依桜の応援補正によって、ある程度闘えているらしい。


 それに、見た通り、防衛して、こちらが疲弊したところを攻める、ってところなんだろうが、まあ、その攻めるタイミングが来る前に、こちらの勝ちで終わるだろうな。


 今回の作戦の要は、俺が言った通り、依桜だ。

 ……正直、卑怯な気がしてならいなんだがな、この作戦は。

 何せ、今の依桜の姿を利用したものだからな。


『おおおおおお!?』


 と、向こうの棒周辺が騒がしくなってきた。

 速かったな。これなら多分、あと数分もたずして終わるだろうな。



『お、男女!? ど、どこから現れた!?』


 棒のすぐそばまでくると、ボクは発動させていた『気配遮断』と『消音』を解除した。

 最低レベルで使っていたんだけど、誰一人としてボクに気づかず、こうして近くまでくるのを許してしまっていた。


「ど、どうも」


 苦笑いを浮かべながら、そんな挨拶をしていた。


『くっ、可愛いッ……!』

『や、やべえ、攻撃とかできねぇ』

『つか、攻撃しようものなら、ファンクラブの奴らに粛清されちまうよ』

『だが落ち着け! 男女は攻撃することができないはずだ! ただの陽動に決まっている!』


 うん。予想通りと言えば予想通り。

 ……はぁ。ここまで近づいたし、あれを言わないとダメ、だよね……。


「あ、あの……」

『な、なんですか?』

「え、えっと、その……い、依桜のために、じじんのぼうをたおしてくれるとうれしいな、にぃに❤」

『『『了解しましたぁああああああああ!』』』


 ボクがすっごく恥ずかしいセリフを言った瞬間、五組の人たちがすごい勢いで動き、自分たちの棒を倒しにかかった。

 そして、その棒は倒れ……。


『終了です! なんと、一年五組、一年六組の棒を倒しに行くのではなく、自分たちで棒を倒しましたー! さすがに、天使スマイルと『にぃに』の強烈コンボは防ぎきれなかったようです! くっ、可愛い! 可愛すぎます! 誰でもいいので、さっきの映像を録画していた人たちは、是非提供をお願いします! そして、これにて棒を倒しは終了です! 皆様お疲れ様でした! 怪我をした人は、救護テントに行ってくださいね!』


 棒を倒しは終了となった。


 ……ボクたちのクラスのほうは、すっごく喜んでいるけど、ボクの心の中は……死にたい、という言葉でいっぱいだった。


 女委、許すまじ……。

 どうも、九十九一です。

 ……ものすごく雑になった棒倒しです。いや、こちらとしても、二ヶ月近くやってる体育祭に対して、かなり疲れたと言いますか……モチベーションが、ね。下がってまして……。そのせいで、かなり雑になってしまいました。……多分、加筆をいつか加えると思いますが、今は許してください。

 ……これで、残るは一種目。長かった体育祭も終わりが間近です。

 ……やっと、別の話が書ける。

 明日もいつも通りだと思いますので、よろしくお願いします。

 では。

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― 新着の感想 ―
いやっふおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(超大興奮 いえやーーーーーーーーー!くふしみりにうめしむちふちくれねへむのれめてゆのんめくてつれめねすつのもゆつすへしれぬめのつすよへめつしれ…
[一言] ・・・それ、防ぐ手段がない反則技でしょう。色々な意味で依桜ちゃんは敵に回した時点で勝ち目がゼロになりますな。
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