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89話 小テスト

➖自宅(雨歌の部屋)➖

 僕は晩御飯とお風呂を済ませて部屋に居るんだけど、少し自分の言ったことに対しての反省をいましている所でございます。寝ぼけていたとはいえリビングであんなことを言ったらみんなから絶句されるに決まっていたのに。寂しい夢を見てしまって伊月と今日は寝たい気分になってしまったので、伊月が目に入った瞬間、「伊月……一緒に寝よ」と言ってしまった。


 緋華さんは「私と一緒には寝てくれないの?」と言ってきたけど丁重にお断りさせていただいた。最近の緋華さんはガツガツと来るようになっているので一緒に寝るとおそらく舐め回される。一度寝ている間に舐め回されて僕が大泣きしたことがあるので少しだけトラウマになっていたりするんだよ。まぁその時の緋華さんは青ざめた顔をしていたのでもうしてこないとは思うけど……念には念をって言うから警戒はしておこう。


「はぁ、疲れた」

「伊月、お疲れ様」

「おう。それで何かあったのか?」


 僕があんなことを突然に言った時は動揺していたのに今は落ち着いている。緋華さんの相手をしながらでも僕に何かあったのでは? と考えてくれてそうだなぁ伊月は。まぁそういう気遣いは昔からできるので色々と助かっていたりはするですがね。とりあえず伊月に「寂しい夢を見たので一緒に寝てほしい」と正直に言うと、「なんだそんなことかよ」と笑われながら言われた。


「大方俺がお前の前から消えるって所だろ」

「うぐっ、何故それを」

「いやそうじゃなきゃ俺じゃなく緋華だった筈だし」


 確かに今回は伊月が夢の中で「お前みたいなの気持ち悪くて無理だわ」と言われた。その時の伊月の顔は物凄く辛そうで苦しそうにしていたけど、それ以上に僕ではどうすることも出来ずに疎遠になっていったという妙にリアルな夢だった。夢と分かっていたけど横には妖狐さんが立って居て僕を嘲笑っていたのがひどく懐かしかった。何故なら妖狐さんが憎いという感情を抱いたことがあるのを思い出したからだった。まぁもう別に興味はないけどね。


「よし、寝るか、明日は緋華と寝てやれよ」

「うん。流石にそうするつもりだよ」

「よし寝るか」


 伊月はベッドの中に入って少し横を空けながら僕の腕を掴み布団の中に僕を引きずり込む。緋華さんがいたら絶対に伊月に色々言ってくるだろうなんて考えて引きずり込まれるのを受け入れる。そのまま眠りについた。




「おい起きろ」

「・・・あと2時間」

「雨歌くん起きないと私はキスするよ」

「おはようございます、二人とも」


 伊月に起こされたのでもう少しだけ寝させてもらおうと思って2時間って言ったのに緋華さんの声が聴こえたら飛び起きないといけない。伊月は二度寝を許してくれるけど、緋華さんは絶対に休みの日以外は二度寝を許してくれはしない。三度寝は両方とも許してくれないから僕は案外健康的だったりする。



➖教室(1—1)➖

 緋華さんと伊月に起こされてからは何もなく学校に普通に来れた。教室に入るなり古村くんが僕の下に来ようとしているが日祟さんが襟を掴んで止めてくれている。今日も何もないと良いんだけど、何かあるとみんなに心配されるから何もない方が断然いい。これ以上何かあったら伊月が耐えきれなくなって僕に近づこうとする人を遠ざけるだろうし。


 緋華さんは僕のそばにいようと絶対にするだろうし、母さんは僕に転校を進めてくるだろうから何かおきても巻き込まれないようにしないといけないな。とりあえずは部長さんに相談する為に狗谷くんと話しておいた方がいいよね。


「雨歌、今日は二時間目に小テストがあるからな」

「・・・それは先に言ってほしかったなぁ」


 まずは小テストの勉強をしないといけなくなったので狗谷くんには昼休みに話を出来るかを聞きに行って問題ないと言われたので、勉強に取りかからなくては赤点を確実に取る。なんでここに合格できたのかが普通に疑問なんですがね。


「俺も手伝ってやるから赤点は回避しような」


 伊月が協力してくれるのであれば赤点は回避できそうな気がする。一時間目は担当教師がインフルエンザで休みになっている為、自習なので伊月にみっちりと数学を教えてもらった。伊月が作った問題を僕が解いて伊月が採点するという流れにしたはいいものの、こめかみをつまみながら「はぁ」とため息を出している伊月がいた。


「なんで全問不正解なんだよ」

「全問正解の間違えじゃないの?」

「違う。しかも中学の復習だぞ」


 僕の言葉を聞いて伊月は少し怒っているみたいだった。真面目にやったので流石に怒__「怒っているに決まってるだろうが」と言いながらアイアンクローを僕にかましてくる。怒るのは別にいいけど、アイアンクローはやめてくれないかな? 伊月の奴、ゴリラ力が上がったのか。ものすごく痛__


「何か失礼なこと考えただろ?」

「そんなことはないよ」

「はぁ徹底的にするぞ」


 それからチャイムが鳴るまで伊月に厳しく教えられた。小テストでこれだけ色々と間違えているとなると中間や期末のテストが怖すぎるんだよね。しっかりと勉強をしようと心に決めたのであった。


「ここも間違えているからな」

「終わりじゃないの!?」

「当たり前だ」


 休み時間でもやるみたいだった。悲しき……

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