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88話 嫉妬4

➖自宅(雨歌の部屋)➖

–伊月視点–

 雨歌が寝てしまったので部屋まで運んでベッドに寝かせると緋華が一緒に寝ようとするのでそれを止める。緋華と少し話しておきたいことがあるので雨歌が寝ている今がチャンスなのでとりあえず座らせる。最悪雨歌に話を聞かれても何も問題が無いことを話すのでここでいい。二人だけで話すとはぐらかされるのは目に見えて分かるので雨歌がいるってことを認識させる。


「お前、実は何かを知っているんじゃないのか?」

「夢の内容を言っているの」

「・・・違う。時々物凄く焦っているように見えるから聞いている」


 確かにあの夢は妙にリアルだったので確認したいってのはある事にはあるんだが流石にそれを今ここで話すほど馬鹿じゃない。まぁ話してもいいがもしそれが本当にあったことで近々起きることだとして俺は緋華を雨歌から遠ざけるだろうな。ただ雨歌から緋華を遠ざけてもヤバイ気がするんだよな。雨歌がお願いをするのであれば何も問題はないとは思うが俺が引き剥がすとなると暴走するだろうな。


 暴走して雨歌を監禁でもされたら俺が終わってしまうので絶対にさせないようにしないといけない。まぁ何かを隠していることは確定しているだろうし別にコイツが犯罪をおかしていても今さらなので無視をする気ではいる。ヤバイことではない限りではあるがな。


「でどうなんだ?」

「伊月に言っても何も意味がないから言わない」

「そうか。俺を殺す予定は?」

「ない。雨歌くんが大変なことになるから」


 俺を殺す予定はないが、殺した後のことは知っているって感じだな。妖狐が言っていたことってもしかしてコイツ自身のことじゃないよな? 他人に記憶を移植するなんてできないとは思うができたとしたらまぁヤバイな。森前先輩だったら何か知っているかもしれないから明日に聞きに行くのでもありだな。流石に雨歌を連れて行くけどな。


「伊月は……雨歌くんのこと気持ち悪く感じないの?」

「いや全く、周りの目を気にしていたら別かもな」

「そっか」


 確かに男を好きになるってのは変な奴だと思われるな。昔よりかは受け入れられていたとしても少しばかりは気持ち悪いと思う奴は少なからずいるからな。俺は元々は周りの評価を気になって仕方なかったタイプで人を遠ざけていた。緋華とかいう頭のおかしい奴が近くに居なかったら雨歌とは疎遠になっていたと思うな。


 そう考えると緋華との出会いはある意味運命的だったかもしれないが俺もアイツもお互いに眼中にもなかったから良かったのかもしれない。同じ人を好きになって、婚約者になって今も一緒にいるとか少し前までは絶対に考えられなかった。


「雨歌くんは伊月に捨てられたら生きていけないから」

「裏切りは許さないってか」

「うん。絶対に許さないから」


 俺だけじゃなくてお前にも捨てられたら生きていけないと思うぞ雨歌は。まぁそんなことを言っても緋華が何を考えているかは分からないが否定されるだけだと思うから言わないでおく。あの手帳に名前が書いている時点でお前も大事な人だってことは分かっているんだよ。


「こういう話は終わりだ」

「雨歌くんが起きるから大きな声を出さないで」

「・・・何やってんだよお前は」


 俺が緋華から目を離した隙に雨歌が寝ているベッドに移動していて添い寝をしようとしているみたいだった。俺は緋華を雨歌から引き剥がしてから部屋を出る。流石にまだ寝る時間ではないのでこれはダメだと思うので引き剥がしてきたのではいいが別に部屋を出る必要が無かった。涼音さんにそれはダメだと叱ってもらうか。


自宅リビング

 リビングまで連れて来て涼音さんに事情を説明したら添い寝くらいなら問題ないと言われてしまった。涼音さんは俺と緋華を見ながら「好きな子から自分以外の匂いがしたら嫌だもんね」と言って微笑んできた。確かに分からないでもないので俺は口を閉じた。緋華は雨歌の部屋に戻るかと思ったが涼音さんの手伝いをし始めた。


 俺は何をしたらいいのかが分からずにウロウロしていると海兎から勉強を教えて欲しいと言われたので教えていたら晩ご飯が出来上がったみたいだ。俺が起こしに行こうと思ったが海兎が起こしてくると言ったのでお願いした。よくよく考えればふて寝をした訳だし俺が起こしに行っても頬を膨らませて拗ねてますアピールをしてくるだけだろうしな。


「そろそろ帰りますね」

「ご飯食べないの?」

「いやお袋に言ってないし」

「優香さんになら連絡は入れてあるから食べて行きなさい」


 涼音さんが気を利かせて前もって連絡を入れていてくれたみたいだった。スマホを確認するとお袋から「パパとデートに行ってきます」と連絡が来ていた。お言葉に甘えて晩ご飯をいただくことにするか。雨歌の機嫌が気になるけど、まぁ何も問題はないよな。


 テーブルに皿を並べたりおかずを運んだりするのを手伝っていると雨歌と海兎が降りてきた。雨歌は眠たそうに目をこすっている。手伝いが終わった緋華が雨歌にべったりとくっついてから匂いを付けている姿を見て犬かなと思ってしまった。なんて思っていたら雨歌が「伊月……一緒に寝よ」と寝起きで頭が回っていないのかそんなことを言ってきた。


 緋華が物凄く俺のことを睨んでくるが絶対に何も悪くないよな? 俺も緋華に言われていたら嫉妬をしているだろうからいいか。

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