表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/100

81話 学校復帰1

自宅リビング

 いつもより少しだけ遅く起きて朝食を摂っているんだけど、何故か伊月と緋華さんがいる。確かに一緒に行くんだけでもなんでここにいんのさ。とりあえず僕はご飯を食べながら二人からなんでいるのかを聞くことにした。いつも通りでも全然いいと思いながら、話を聞く姿勢だけとった。


「実はな……今日刺される夢を見たんだ」

「なんでまた」

「映画の影響だろう」


 そう言いながら伊月が見せてきたスマホの画面には『ドロドロ三角関係~バージョン1~』とわけ分からないのが表示されていた。二人の男と一人の女の三角関係を描いた映画らしいんだけど…………評価の星が0.5しかない。感想コメントを見ても『面白くないけど、気になって全部見てしまった』や『観るだけ時間の無駄だけど何故か続きが観たくないような? あるような作品だった』などが書いてあった。


「・・・面白いの?」

「最低ランクだ」

「雨歌くん、伊月はアホだから気にしないで」

「進めてきたのはお前だろうが!?」


 僕は自分のスマホでタイトルを検索して少しだけ調べてみたが、見る気にはなれなかった。だって小さな文字で『この作品は僕たちがなんとなんとなくで作ったので見ないことをお勧めします by監督』と書かれていた為である。なんとなくで作った作品はバージョン7まであるんだからスゲーよ。しかもその一つ一つに監督の一言みたいなのがあるんだよ。


「それで何が面白いのさ」

「何が面白いんだろう」

「私にもわからないかな」

「俺も緋華も全部見たんだがな」


 二人とも全部見ている筈なのに面白さが全く分からないってのはどうかと思うなぁ。さてご飯を食べ終わったことだし着替えて学校に行こうか。食べ終えた食器類を全てシンクに置いてリビングを出る。


➖教室(1—1)➖

 母さんの車で学校の近くまで送ってもらってそこからは徒歩で何事もなく着いた。ここ最近は色々とやばかったから道中ずっと不安だったんだよね。まぁともあれ何事もなく教室に入ったのはいいけども古村くんが抱き着いて来ようとしたのは本当にびっくりした。クラスメイトも「えっ!?」という顔をしていたし、伊月が隣にいたから良かったものの。


「古村、一回に死ぬか?」

「落ち着いてくれってボクだって心配だったんだよ」


 誰のせいで入院する羽目になったと思っているんだよ本当に。少しだけトラウマになっているんだからね。君が近くにいると少し……ほんの少しだけ怖くて震えてしまうんだからね。伊月や緋華さんがいるからなんとかなっているけどいなかったらガタガタと震えているから絶対に。よく考えたらさ、殺してこようとしていた人が急に親しくなっていたら怖い。


「匡介、やめろ」

「仲良くしたいだけなのに」

「また後にしろ」


 日祟(カスイ)さんが古村くんを引きずって行ってくれたので助かったのだが伊月はしばらく周りを威圧していた。そこまでしなくてもいいとは思うけど、古村くんは人気者らしいから威圧しているのは正しいのかな?


「雨歌、そういえば席替えがあったぞ」

「・・・マジかぁ」

「付いてこい」


 僕が入院している間に席替えがあったみたい。教えられた席に着いてその隣に伊月が座る。伊月はニコニコしながら僕を見ているから「もしかして」と声に出して聞いてみた。伊月は「俺の豪運のおかげだな」と言って親指を立てていた。伊月のやつ絶対に何かしたな。


 伊月は昔から引き運だけは悪いので僕と席が隣ってことは一度しかなかった。クラスは今のところ全て同じだけど、席は2、3席離れた所だったのに……明日は槍でも降りそうだから緋華さんに気をつけるように言わないと。


「俺は何もしてないからな?」


 伊月がしていないってことは別の人が何かをしたってことね。水原先生がおそらく僕を気にして配慮してくれたんだろうからまぁいっか。やっぱり伊月の引き運ではなかったじゃんかさ、何が豪運だよ。まぁ僕としては古村くんではなくて助かったのでいいとしよう。そういえば狗谷くんと佐藤さん、あと妖狐さんと日祟さん以外とはほとんど交流がないからどうにかしないと、積極的に話しに行くのは少しだけ抵抗はあるしなぁ。


 クラスメイトとの交流はした方がいいよね。これから行事ごとも増えてくるだろうし、いつも伊月と一緒にいる訳にはいけないから勇気を出して行動しよう。・・・話題が分からないので明日にしよう。別にやっぱり怖くなったからとかではなくてね、どんなことを喋っているのかが分からないからやめておこうって話なだけだし。


「言っとくけど、1年間は俺と一緒に行動だぞ」

「それはどうかと思うんだけど?」

「腹と手の傷のことを考えろよ」


 それを言われると何も言えなくなるので反則だと思う。おそらく母さんが学校に条件を付けていたんだろうから大人しく従っておこう。伊月が「それとも緋華がいいか? ずっと一緒にいると思うぞ」と言ってきたので「伊月でお願いします」と僕は言った。伊月が言っていた「ずっと一緒」とは四六時中僕といるってことをさしているからな。それはやめてほしいからある程度自由にしてくれる伊月がいい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ