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71話 隔離された空間?で、語るのは……1

➖家庭科室➖

―伊月視点―

 先生いわく憑依するにはその肉体の所有者の受け入れが無ければいけないらしい。無理矢理に奪えることは出来るがその場合はその所有者が精神的にも死んでいないといけない。今回の古村が憑依されているのは死んでいたからできたことだと、先生は予想しているみたいだ。緋華は何かを考えているようなので何も言ってこない。


「成功率を上げる怪異はどんなのなんですか?」

「それは……言えない」


 まぁ言えないだろうな。ここで言ってもし誰かにでも聞かれていたら悪用されるかもしれないからその対策として誰にも言わないことが1番か。そもそも何故転生者なんていう者が存在するんだ? 確か前世の記憶って細胞が覚えているだけじゃなかったか。そうじゃなかったとしても多いと思うな・・・誰かの思い通りにことが運んでいるとかはないよな?


「皆さん、ごきげんよう」


 3人しかいない筈の廊下に砂孤が現れた。なんでここにいるのかと思ったが先生が呼んでいたらしい。砂孤は少し面倒くさそうにしながら「先祖様からのお呼びだしなので無視するわけにもいかず……」と先生のことを見る。意外と苦労して……えぇ先祖様って先生のことなのか!? コイツの先祖ってことは雨歌の先祖ってことにならないか、血が繋がっていないって言う話だしな。先生は長寿なのか? それなら砂孤も長寿ってことになるがどうなのか。


「私はただの人間ですよ」


 この空間って入ったりは出来るのか? 出れるかも確認してなかったなそういえば。二手に分かれて出れるかを確認しておいた方がいいな。その前に雨歌を回収だけはしておかないといけないな。二手に別れるって言って連絡手段がないからどうしたものか。


「式神を連絡手段として使いましょう」

「俺とお前が別れたらいいだろ」

「おじ様には式神を預けれないですよ」


 式神が使えるのか。先生には式神は居ないのか、先祖さまなのにか。しかも預けれないってなんだよ。何かあるってことを考えるのが自然だな。などと考えていたら「彼が消えた」と凄く焦った声で日祟が家庭科室から出てきた。それを聞いた俺は探しに行こうとするが緋華に肩を掴まれ止められた。止められたことに少しだけイラっとしてしまったので緋華に文句を言ってやろうと振り返ると、殺気みたいなのが漏れ出して俺は何も言えずに探しに行くのをやめた




➖???➖

 準備室で着替えをして戻ろうとしたら、いつの間にか別の教室に繋がってワープしていたんですが……どうしたらいいでしょうか? マジでここはどこでしょう。準備室に戻ろうにもドアが無いんだからどうしようもないので、少しだけ周りを探索しようと思い出てみるとある人と遭遇した。右手に剣を持っていて僕の顔を見るなり嫌そうな顔をしながら「最悪だ」と言ってきた。僕も最悪と思いながら古村くんに話掛ける。


「古村くん、ここは?」

「分からない。結構な時間探しては見ているが」


 嫌そうな顔をしながらでも答えてくれるので実はいい人では? とは思う。二人しかいない可能性があるから情報交換しておいた方がいいから答えてくれているのかもしれないけども僕はここに来たばかりだから何も情報が無いんだよ。古村くんが期待しているかは分からないけど、期待には応えられないかな。そんなことはおいておくとして、僕は古村くんに命が狙われているってことが重要では?


「今は警戒するなよ。ここから出るのが優先だ」

「信用していいの?」

「あぁ、ここを出るまでは協力関係だ」


 信用できないけどここにクリーチャーなるものがいるかもしれない訳だから一緒に行動していた方が良いかな。僕は戦闘能力は皆無だから古村くんに全部お願いするとして、出口を探すのに集中しよう。僕はとりあえず教室を出て廊下らしき所に出ると古村くんは僕に剣を向けてきた。裏切られたと思ったが「後ろにいるのはなんだ?」と古村くんに言われたので背後を見るがそこには誰もいない。


「何かの見間違いじゃない?」

「そんなわけないだろ」

「だって誰もいないじゃん」

「見えてないのか……それなら気にしない方がいいぞ」


 えぇ~そんなこと言われても気になって仕方がないんですが? せめてどんな容姿かを言ってくれたらいいのにさ、出来るだけ見ないようにはするか。古村くんが反応したのはここに来てからな訳だしここを出たらいなくなるってことがあるかもしれないから問題はないか。もしここに連れてきたのがその背後にいる何かだとしたら? と考えた瞬間に経験したことがない悪寒がした。


 結構ヤバイ状況になっているような気するんだけど、どうしよう。古村くんに言ってこの何かから逃げる方向でいかないと絶対にヤバイ。ただ普通に声を相談しても紙に書いても背後にいるんじゃ筒抜けだよね。流石にそれは避けないといけないからどうしたものか。最悪の場合は古村くんの持っている剣で何とかしてもらおう。出来るかは分からないけど、望みはそれしかないか。


「不澤、ここは二手に別れ……無い方がいいみたいだな」

「何が起こるかわからないもんね」

「それにソイツが何かやらかしそうだしな」

「お前は僕のことを殺そうとしてるんだよね?」

「言ったろ? 協力関係って」


 そんなことを言うってことは根は悪人って訳ではないのかな? まだまだ分からないことだらけで困るなぁ。古村くんのことも転生者ってのも分からない。伊月は何か知っているような感じが時々するけど、教えてくれないだろうし、緋華さんは何も知らないだろうから聞きようがない。今の古村くんに聞いたら答えてくれるのかな?


「僕を殺そうとする本当の理由を教えてください」

「・・・罪の意識に耐えられなくなったんだよ」

「一体なんの?」

「前世のボクはある仕事をしていて娘も一人いたんだ」


 僕は古村くんが話を歩きながら聞く。古村くんは前世の娘さんが自分と同じ夢を持っていたことや古村くん自身がその共通の夢を穢してしまったことを剣を強く握り閉めて話していた。妻と最愛の娘を無くして自暴自棄になり自殺をしたらしい。死んだと思ったら神様という者に転生の話を持ち掛けられ“願い”をいい砂孤響という男に転生した。


 そこで娘を生き返らせようとするも失敗に終わってしまって途方に暮れている時に僕の母親に出会ってしまった。“願い”で貰った能力を使って母親を実験台にして僕が産まれた。古村くん……いや砂孤響は大いに喜んだ。前世での娘を生き返させれるのと夢が叶ったことに喜んでいた筈なのに、その子の目に映る自分は醜かった。だからその現実に目を逸らしたくて僕を視界から消したくて殺そうとしているらしい。


「軽蔑したか? しかも他人に憑依している」


 古村くんの体に憑依してからの理由はゲームのシナリオ通りにしたいかららしい。僕は黙って世界なんてもうどうでもいいって顔をしている彼を殴った。僕を殺せば全部元通りみたいに言われた気がしてムカついた。僕を作ったとか母親を実験台にしただとかがムカついたわけではないと言ったら嘘になるだろうが、その出来事から逃げにしているから許せない。だから僕は、


「軽蔑されたいのであればそれだけの行動をしろよ」


 と殴られたところを抑えている彼の胸倉を掴みながら言った。

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