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70話 怪奇現象調査?3

➖家庭科室➖

 何もしないまま20分ほどが経ったのだけど誰も古村くんを探そうとはしない。他のチームも大丈夫なのかとも心配していないのかと思ったが先生達は何やら話し合っているみたいだった。緋華さんは今も僕に抱き着いていて、伊月は僕の隣で羨ましそうに緋華さんを見ていた。じいちゃんとばあちゃんはいつの間にかどこかに行ったみたいだった。少しは話したかったんだけど……仕方ないか。


「雨歌くん、気になるの?」

「まぁ気にはなります」

「そこの二人ジッとしておけよ」

「そうですよ。他のチームは何もないみたいですので」


 ショケイくん先生とリム先生がどうやって連絡を入れたかを気になるが聞いても分からないだろう。僕ら以外のチームは何も起きていないのは良かった。そういえば緋華さんってこういうこと経験したことってあるのかな? 緋華さんは冷静に「他のチームと合流した方が良いと思います。雨歌くんの命も狙われているわけですし」と先生たちに言った。ショケイくん先生は驚いたような顔をしてリム先生にここに来る前の状況説明を聞いていた。


 緋華さんに命を狙われているっていうこと言ったっけ? 伊月が緋華さんに教えたのかもしれないと思ったけど、どうやら違うみたいだね。伊月がなんで知っているんだという顔をしていたので分かった。本当になんで知っているのかが分からないけど、別にいいや。何か不都合があるとは限らないわけだから取り合えずは様子見にはなるかな。


「・・・そろそろかな」

「何がですか?」

「ん? あぁ今度は伊月の番にしようと思って」


 緋華さんは僕を伊月の方へと手渡して先生達の所に行った。伊月はとりあえず受け取っただけだったようで僕を椅子に座らせて、別の椅子を持って来て伊月も座った。僕はどうしたらいいかが分からずジッと緋華さん達の方を見ていると伊月が「ここで何もしないのがあっているとは思えないな」と独り言のように言った。


 確かに古村くんがどうなっているのかが分からない訳だし、固まって移動すればいいと思うんだけど。それが出来ない理由が少なからずあるだろうから留まっているんじゃないのかな? 一人行動をしている古村くんが戻ってきたらここから移動するとかはありそうなんだけど、まぁ別にいっか。




―伊月視点―

 俺は少しだけ緋華の行動に違和感を覚えた。確かに雨歌の命を狙われているので先生に伝えたり親に言ったりするのは正しいとは思うが……今ではないだろう。古村が別行動をとっているから危険は高くないので警戒だけをしておけばいい筈。しかも少しだけ焦っているようにも見えるんだよな。コイツ何かを知ってるだろ。雨歌を危険にさらすような奴ではないと思いたいな。


「伊月、古村くんって大丈夫だと思う?」

「大丈夫だろ。何かに襲われてなかったらの話だがな」

「怪異って襲ってくるっけ?」

「すまん、緋華と話してくる」

「わかった」


 俺は雨歌にそう言って椅子から立ち上がり緋華に近づき「二人っきりで話がした」といい廊下に連れ出す。その際、ショケイくん先生がついて来たが安全のための行動だろうから何も言わずに一緒に居てもらおうことにした。この先生には知っておいてもらった方がいいのはいいか。


 俺と緋華は家庭科室から出てすぐの廊下で話すことにした。古村がもし戻った時に雨歌と会わせないように出来るからここでいよう。緋華は少しだけ不機嫌になりながら「それで何?」と言って俺を睨んできていた。なんで睨まれているんだよ。


「雨歌のことなんだが」

「・・・何を話すの?」

「お前は雨歌の味方か? それとも……」

「雨歌くん以外は敵に回す気はいるけど」


 ってことは俺の敵になる可能性もあるってことか。雨歌の敵にならなければそれでもいいとは思うが流石に自分の家族くらいは……敵に回すなよ。まぁそれは個人の自由だからいいとして、今が敵かどうかってことが重要なのか。おそらくは今は敵ではなく、お互いに雨歌と付き合う為に協力関係と言う所なのか、婚約はしているから付き合っている。


「雨歌くんは絶対に殺させないから協力して」

「元より協力する気だ。それでお前の知っている情報を寄越せ」

「何も知らない」


 俺も雨歌を殺されるのは嫌なので協力はする気ではいる。転生者でゲームの知識もあるはずなのに何も知らないということはおかしいな。妖狐の件でもうすでに色々と知っているということは分かっているのになんで今嘘を吐いた? この先生が居ることで嘘を言わなきゃいけない状況になっているかもしれない。緋華は先生を警戒しているんだろうか。


 仕方ないので俺が知っていることを緋華と先生に共有した。先生は古村に憑依したことを知ると物凄く驚いて「そんなわけないだろう」と大きな声で言った。先生は正体を知っていると思ったんだが知らなかったんだな。緋華に関しては「やっぱり」という顔をしていて全く驚いていなかった。緋華はもしかしたらと思っていたらしい。


「まて確かに憑依する方法はあるがソイツが出来るとは限らないだろ」

「出来るんですよ」

「何故分かる?」


 緋華はある紙を出してきて俺らに見せてきた。そこには憑依するために必要なものが書いてあった。とある怪異を捕まえていないと、憑依出来る確率が下がるとも書かれていた。もしかしてここにも出現するかもしれないから古村は一人行動をしているのかもしれないな。もし本当にその怪異がいるのであれば古村よりも先に見つけないといけない。

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