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63話 転校生1

自宅リビング

 僕は制服に着替えてリビングに朝食をとりに来たけど、入った瞬間に僕以外の時間が止まった。正確にはリビングにいるみんなが固まっただけなんだけどね。笑ってくれたりしてくれた方がありがたいのですが……こっちをジッと見て固まったままでいないでくれないかな? 恥ずかしいのがもっと恥ずかしくなってくるじゃん。


 それにしてもなんでそんなに驚くんだろうか。罰ゲームで今日1日は女装しないといけないってことを聞いているんだよね? 台所で盛り付け途中で固まっている母さんを見ると少しだけ僕から視線を逸らした。昨日、母さんが説明をするって言っていたのに忘れていたのか。まぁテンションがものすごく高かったから頭から吹っ飛んでいたんだろうなぁ。何も困らないから別にいいんだけど。


「う、雨歌」

「ん? 父さんどうしたの」

「どんな格好でも子供に変わりはないからな」

「罰ゲームで今日だけだから」


 僕がそういうと父さんは安堵したように「そうか」と言ってご飯を食べ始めた。自分で言っていなかったから母さんに何か文句を言ったりはしないでおこう。僕もご飯を食べようと思い席に着いたが、父さんと母さん以外の家族からの視線が刺さりまくっているんだけど。


➖玄関前➖

「恥ずかしくなって逃げてきたのか」

「逃げるよ」

「雨歌兄さん……かわいい」

「・・・逃げても仕方ないか」


 僕はさっさと朝食を摂り、リュックを持ってリビングを出たのがその際に全員から写真を撮られまくった。玄関を出て伊月と合流したが何故か空も付いて来ており僕の背後ではぁはぁと息を吐きながら「いい匂いもする」と変態じみたことも言っていた。伊月が少し引いていたけど、気にせずに学校へと向かうことにした。


 空は僕が移動し始めたら家に戻って行ったので、僕と伊月は緋華さんと合流するまではいつも通り二人で移動する。いつもの道を歩いてはいるけど今日はやけに視線が多い気がするんだけど気のせいではないよね? まぁ何も害はないわけだしあまり気にしないでもいいかな。ただ時々気持ち悪い視線があるのはうっとうしいけど。


「雨歌くん、おはよう」

「うぉ!!」

「危なっ」


 緋華さんが後ろから抱き着いて来て僕はバランスを崩してそのまま二人で倒れていかなかった。伊月が支えてくれたのでなんとか倒れずに済んだ。伊月は「緋華、お前重いから退け」と緋華さんに対して言うがそれを無視しながら抱き着いたままだった。緋華さんが抱き着いたままなので僕は伊月に支えられている状態でいた。どうしたものか。


「お前らはイチャつき過ぎだ」


 兄さんが僕らに追いついたみたいで緋華さんを引きはがした。別にイチャついていた訳ではないんだけどって言ったら何か言い返してくるだろうし黙っておこう。兄さんは「俺は行くからな。ちゃんと周りを見てイチャつけ」と言って歩き始めていた。僕と伊月は兄さんの背中を見送るが緋華さんだけは再度僕に抱き着いて髪の匂いを嗅いでいた。


「・・・二人とも行くぞ」

「緋華さん危ないですから離れてください」

「大丈夫」

「緋華、俺は少し後で行く」


 伊月は先ほど来た道を逆に戻って行こうとするが緋華さんに止められていた。僕が首を傾げていると緋華さんが「雨歌くん少しだけ伊月と話してくるから待っていて」と言われたので頷いておく。少しだけ遠ざかるのを見ながらついて行きたいと思うがバレた後が怖いので大人しく待っておくことにしておこう。スマホでもいじっておけば時間は潰せるかな?


「あの……少しいいですか?」


 スマホを取り出したところで誰か知らない女性が僕に話しかけてきたが無視することにした。女性は無視されたことに腹を立てたのか僕の肩を掴み「無視しないでくださいよ」と言いながら掴んでる肩に力を込めてきた。結構力が強いと思いつつ僕はスマホを見るが女性が「君は砂孤(さこ)雨歌くんじゃないのにあの二人と一緒に居るですか?」と言われ、手に持っていたスマホを落としてしまった。


「な、なんで……それを?」

「転生者だからですが」


 初めてちゃんと女性をちゃんと見たが僕らが通っている学校の制服を着ていた。リボンが青色なので同級生だということは分かるが顔を見たことが全くない。そんなことよりもなんでその名前を知っているかを聞かないといけないけども二度と呼ばれるはずのなかった姓で呼ばれてかなり動揺しているので何を言ったらいいかがわかない。


 落ち着いて色々と冷静になって考えをまとめよう。まず相手は転生者でおそらく僕のことを何かしらの手で知っている。僕と学年は一緒だけど、会ったことはないのは確実だろう。「じゃないのに」と言っていたのは僕が罰ゲームで女子生徒の制服を着ているから分からずに言った言葉だろう。なんて考えていたら音も気配も何もなく女性の頭に何かの雑誌を丸めた物が当たった。


「おい、転校生。不澤に迷惑を掛けるな」

「この子が?」

「自己紹介はまだなのか? コイツは不澤雨歌だぞ」

「君が……へぇ」

「お前は学校で色々としないといけないから来い」


 ショケイくん先生に首元を掴まれて転校生は連れ去られてしまった。あの女性よりも先生が何者かが気になってしまった。なんで名前を知っていたかはまた会った時にでも聞けばいっか。


➖教室(1-1)➖

 僕ら三人はあの後何もなく学校に着き、玄関で緋華さんと別れて教室に入ったがそこで待ち受けていたのはこの格好についての質問責めだった。伊月がフォローしてくれていたのでなんとかなりはしたがそれでも対人が疲れてしまった。


「お前ら、もうすぐチャイムが鳴るから座れ」


 ショケイくん先生が入ってきてクラスメイトにそう言った後、すぐにチャイムが鳴りHRが始まる。ショケイくん先生は「予定よりも少しだけ早いが転校生を紹介する」と言ってドアの方を見る。僕もつられて見るが誰も入ってこない。教室内がざわざわと少しだけ騒がしくなったと思ったらドアを蹴破って派手に登場してきた。


「皆さん、よろしくお願いします!!」


 大きな声で仁王立ちをしながら茶髪をサイドポニーテールをしている彼女は後ろにいた水原先生に首元を掴まれてどこかに連れられて行った。ショケイくん先生も呆れながら見送っていた。


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