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58話 お家デート1

➖自宅(部屋)➖

 昨晩は安桜(あさくら)さん親子が帰った後、緋華さんと伊月を落ち着かせてそのまま寝かせた。僕と部屋を別々にしたはずなのに今朝起きたら両隣に二人が寝ていたので二人をベッドから引き摺り下ろしてやった。油断していたら勝手に布団の中に入って寝てるからどうしたものか。引き摺り下ろしたっていうのに起きないし……なんなのこの二人は。


「二人とも起きてくださいよ」

「・・・」

「雨歌くんからのキスがないと起きません」


 緋華さんは完全に起きてるよねこれ。伊月は起きてるかは分からないから後でお腹を踏めば起きるだろうから放置でいっか。緋華さんにはキスの代わりにデコピンをしたら「なんで雨歌くんのデコピンは痛いの!?」と言いながら起きてきた。デコを押さえながら起き上がってきた緋華さんを無視して僕はベッドから降りて伊月のお腹を左足で踏む。伊月からは「うぐっ」という声が聞こえてきたが目を覚まさなかったのでさらに強く踏むが次は何も反応をしなくなった。コイツさては起きてるな?


「伊月……起きているよね?」

「」

「雨歌くん、コレは無視しておいていいと思うけど」

「確かに無視してもいいかもしれないですね」


 言葉に賛成すると嬉しいのか尻尾をブンブンと振りながら目を瞑った緋華さんがいた。それを見た僕はこの人も無視してリビング降りてもいいのでは? と思う二人を無視してリビングに行こうとするも両腕を掴まれた。緋華さんは両腕を掴むなら抱き着いてくるだろうから、一人で掴んでるわけではないなこれは。僕は足を止めて後ろを振り返ると右腕を掴んでいる緋華さんと左腕を掴んでいる伊月が目に入った。何がしたいのかを聞きたいんだけども。


「何をしているんですか」

「お前が俺を置いてリビングに行こうとするから」

「ご褒美。んっ」

「二人とも何言っているのさ」


 伊月は僕が乱暴に起こしたのに起きようとしてこなかったのが悪いと思うんだけど。それと緋華さん賛成しただけでご褒美をもらおうとするのはどうかと思いますよ。リビングに行こうにも二人が離さないと行けないからどうにかしないと行けないんだけどもどうしたらいいんだろうか。二人が求めることをして離してもらうとかは出来そうな気がするけど、それをしたら負けを認めたような気がするので嫌だ。


 このままで居たら兄さんか梨奈姉さんが部屋に呼びにくるだろうからそれまでには部屋を出ておきたい。二人を引きずっていくのは簡単だけど、ドアから出る時に詰まるからそれだけは避けたいし朝から疲れるようなことはしたくないなので自主的に離してくれたらいいんだけどね。そういえば今日は何をするか決めてなかったなぁ。緋華さんと二人で出掛けようっと。


「緋華さん、今日デートしませんか?」

「する」

「それなら離してください。ついでに伊月も剥がしてください」

「ok」


 緋華さんは速攻で右腕を離して、伊月が掴んでいた左腕を解放してくれた。最初からこうしておけばよかったと思いながら二人と一緒にリビングに向かう。伊月が少しだけ抵抗してきたが緋華さんと二人で無理矢理部屋から出してそのままリビングへと入った。


自宅リビング

 リビングに降りたら誰もいなかった。置き手紙があったから読もうと思ったが大きく「出かけてくるね。ご飯は作ってあげてね」と書いてあるだけだった。さて朝ご飯を作るとして冷蔵庫の中に何も……ないだと。母さん、何もないのなら言っておいてくれたらよかったのにと思いながら何を作るかを考える。伊月は朝はあまり食べないからあっさりとしたものを作るとして、緋華さんは食べない派だと言ってたから何も簡単に飲み物でも作るかな。


「雨歌、これ涼音さんからのでは?」

「ナニコレ……封筒か」


 僕は伊月から渡された封筒を開けると母さんの字で「冷蔵庫の中に何もないから二人と一緒に買い物してきてね♡」と書いてある紙と1万円が入っていた。買い物をして来させる気満々だったってことなんだろう。買い物にいくとして、まずは僕ら以外にいないかを確認しておかなきゃいけないかな。梨奈姉さんと兄さんは学校にでも行っているのかな? 空は部屋で寝ていると思うからご飯を作っておいておくとして、海兎は午後から部活があるって言っていたからお弁当を作ってあげておくかな。夕夏姉さんは……出掛けてるのかな。


「買い物は二人で行ってこい。俺が他の連中がいるかを確認して連絡を送ってやるから」

「雨歌くん、さっさと行こう」

「伊月は来なくていいの?」

「新婚気分を味わってこい」


 新婚ではないって言いたかったけども気分なだけだし何も言わなくてもいいと思ったけど、荷物持ちが欲しいんだけどなぁ。まぁ緋華さんと僕で分担すればいい持って帰ればいいか。近くにスーパーあるし自転車とかではなくて歩きでも行けるから歩いて行こう。さて着替えてから行こうかな。


「緋華さん、着替えてから行きましょう」

「寝巻のままだもんね」

「ありますねよ?」


 着替えがあるかを確認して持って来ているみたいなのでお互いに着替えてから家を出てスーパーに向かう。


➖スーパー➖

 着替えが終わり家の近くのスーパーに来ていた。向かう途中、伊月から連絡があり家に誰も居なかったので3人の分の材料を買えばいいとして、朝と昼のご飯を作るのは確定しているけど緋華さんとのデートはどうしたものか。そういえば普段からどこかに行こうって言う話をしていなかったから何も分からないんだよなぁ。


「今日、どこか行きますか?」

「う~ん、お家デートをしたい」

「それでいいですか」

「うん、1回もしたことなかったから」


 確かにお家デートはしたことが……あれ? そもそもデート自体したことってなくて二人で掛けたことはあるけど、デートは1度もないよね。それをデートと勘違いしているだけだろうから何も言わないでおこうかな。にしてもお家デートか何か出来ることがないか調べておかないといけないかな? 家にゲームってあったっけか。


「前一緒に行った水族館も楽しかったよねぇ」

「行きましたっけ?」

「・・・私の家族と雨歌くんの家族で行ったでしょ」


 確かに行ったけど、それって僕と緋華さんが小学生の時でしたよね? 後、伊月の家族も居ましたしみんなで回ってたから二人っきりで居たことはないわけですよね。楽しかったので別に文句があるわけではないですので安心してください。


 それはおいておくとして先にご飯を作ることにしましょう。まずは何を作るかを決めないといけないので買い物をしながら決めようと思っていたけども何を作るかを決めれないんだよね。どうしたのもかと考えてなんとか決めて帰路についた。


「雨歌くんって転生者なの?」

「どうしたんですか。急に」

「伊月と話しているのを聞いて気になったから」

「違いますから。転生者なら緋華さんと婚約は絶対にしないですよ」


 言ってから気付いたが失言をしてしまった。緋華さんから相当ヤバイ呼吸音が聞こえてきたのでそっちの方を見るのが怖いので見ないようにしようとしたが前に回られて顔を掴まれた。「雨歌くん、流石にそれはダメ」と緋華さんに言われてしまった。僕もそれは分かっていたので謝ろうと思い口を開こうとするが止められた。


「転生者じゃないってことは私が分かっているから」

「なら質問をしないでくださいよ」

「ごめんね。それでも一応確認しておかないといけないから」

「僕の方こそごめんなさい」


 お互いに謝りこの話はなかった事にした。それで終わりで良かったんだけども緋華さんが小声で(何――やり直――からも――たら)と何を言っているかがちゃんと聞こえていないので僕は無視しておこうかな。面倒ごとは出来るだけ避けておきたいかな? 緋華さんに聴こえたことを言うと何をされるかが分からないのもあるから絶対にコレだけはなかったことにする。

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