57話 面倒ごと1
➖自宅(部屋)➖
目が覚めると僕は自分のベッドで寝ていた。体を起こしながらいつの間に僕は寝ていたのかすらも覚えていないんだけど……何をしていたんだっけ? 伊月とデートに出掛けて、喫茶店でご飯を食べてその後に安桜さん親子と一緒に居たんだ。いやなんでデートなのに一緒に居たの? 僕は。・・・日祟さんのことをちゃんと知っておかないといけないと思ったから一緒に行動したんだった。
「お! やっと起きたか」
「伊……怪我してるじゃん」
「別に問題ねえよ」
「本当に?」
「心配せんでいい」
部屋に入ってきた伊月は右頬を怪我していた。伊月は心配しなくていいと言っているが心配だ。僕が寝ていた時に何かあったのだろう。それを隠しておきたいってのは分かるけど心配はさせて欲しいと思うのはダメなのかな? 伊月は僕の所まで来て頭を撫で始めた。撫でている際に「お前は転生者じゃねぇもんな」と言ってきた。そういえば古村くんも来ていたからその時に言われたんだろうなぁ。否定しても証拠はないからなぁどうしたものか。面倒だし伊月に任せよう。
「それに関しては伊月が信じる人を信じればいいよ」
「お前面倒になったろ」
「そんなことはないよ」
「おい目を逸らすな。正直に答えろ」
「リビングに先行ってるから」
僕は伊月に詰め寄られたのでさっさとベッドの近くから逃げようと思って、そのままリビングに逃げ込もうとするも簡単に捕まってしまった。僕を捕まえた伊月の顔には「俺から逃げれるとでも?」と書いてあった。えぇ逃げれないとかどこの魔王様ですか? 伊月は魔王ではないので逃げれるわけだけど、どうしようか。無理に逃げるのはやめた方が良いなぁ。
「伊月、雨歌くんは起き————とぉうぉ」
「痛ぁ!?」
「僕も巻き添え!?」
緋華さんが部屋に入ってきて伊月を見るなり速攻で背中に飛び蹴りをくらわせたけど僕も巻き添えをくらって一緒に後ろへ倒れてしまった。後ろにベッドがあったから怪我をしないので良かったんだけども流石に危ないから注意しないといけないかな。とりあえず倒れたままで緋華さんに注意をしたが「えぇ~伊月が悪いのに?」と言ってきたが、なんで伊月が悪いのかが全く分からない。
伊月はベッドから起き上がり緋華さんに対して「アホかお前は、俺はともかく雨歌が怪我したら面倒なことになるだろ」と言われハッとしたままで固まった。いや面倒なことになるわけないじゃんと思うながら伊月を見ると僕の視線に気づいた伊月は「お前の姉兄妹がしつこく世話をやいてくるぞ」と言ってきた。世話をやいてこようとしてくるのは確かにそうなんだよな。
「緋華の方が面倒になる」
「あ~確かに」
「雨歌くん、なんで私のことをそんな目で見るの」
伊月から聞いた言葉を僕は緋華さんのことをジト目で見ていた。緋華さんは段々と恥ずかしくなっていったのか「うぅぅ」と言い始めて小さくなっていった。それを見た僕は冷静になったのか、二人は一体何をしに来たのかをまだ聞いていないことを思い出した。まぁ多分だけどご飯が出来たってことで呼びに来たんだろうな。僕はリビングに向かおうと思い二人に「下に降りようか」と言い二人と一緒に降りた。
➖自宅➖
僕は二人と一緒にリビングに入ってテーブルの椅子座っている人達を見て驚いてしまった。伊月と緋華さんを見ると二人して目を逸らした。母さんに話を聞いて分かった。残桜さんと日祟さんが来ていて僕を待っていたらしく、伊月が起こしに行ったがなかなか戻ってこないので緋華さんが後から呼びに行ったようだった。なるほど二人にして目的を忘れてしまったと……流石にそれはダメでしょ。僕も何も聞いてなかったから悪いけどもね。伊月と緋華さんと一緒に二人の目の前に座る。
「どうしたんですか?」
「娘がどうしても聞きたいことがあるらしいから来させてもらった」
「お前はなんでオレに大丈夫って言ったんだ?」
口パクで伝えたやつね。別に特別な理由がないけど、単に大丈夫って思ったから口パクで伝えただけなんだけどなぁ。僕はそれを日祟さんに伝えたら何故か伊月が驚いた反応をみせてきた。伊月は驚き過ぎて顔を近づけてきたが顔面を掴み押し戻した。その際緋華さんから何か呪文が聞こえてきたが無視しながら話を続けようとするも母さんが「雨歌ちゃん……もしかしてモテるの?」と言って場が凍り付いた。
「母さん、僕はモテないから」
「そうなのね」
「「aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa」」
「おい、不澤。この二人大丈夫なのか」
「無視ですよ。あとで僕が面倒なことになるだけだから」
はぁ~本当は面倒なことになるのは避けたいんだけども今回は伊月と緋華さんが怪物にならないように後でケアをしておかないといけないなぁ。母さんからの一言で場が凍り付いたから二人にはお帰りいただくことにした。まだ日祟さんは話したそうにしていたがまた今度聞くことにした。僕は玄関まで二人を見送りに来たのだがここでもまた爆弾が投下された。今度は日祟さんから「そういえば匡介が津堂に怪我をさせたみたいだぞ。一応注意はしておいたんだが……」と言われた。
確か匡介って古村くんのことだったよね? 怪我をさせたのは古村くんで、日祟さんは注意してくれたんだね。へぇ~緋華さんには催眠をかけようとして伊月には怪我をさせたんだなぁ、僕の大切な人にね。流石にお灸を据えないといけないかな。どうしようか……手足を砕いてやろうかな?
「古村くんの住所って知っていますか?」
「教えないぞ。今のお前は匡介の前に居る時のオレと同じで危ないからな」
「残念です」
日祟さんが教えてくれないのなら諦めて学校でしないといけないのか。話をするだけにしておこうかな面倒なことになるだから




