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47話 涙目新米教師?1

➖教室(1-1)➖

 僕は後ろにいる伊月の膝の上で大人しくほっぺをムニムニとされていたら狗谷くんと佐藤さんがやってきた。狗谷くんは「お前ら、よく人目を気にせずにイチャイチャできるな」と言ってきたが君たちも結構周りを気にせずにイチャついてると思うけど、何も言わないでおこう。二人からすればその距離が当たり前なんだろうし、僕と伊月も本来はこの距離感だからツッコまれたら何も言い返せない。


「トモくんそれはブーメラ———やっぱりなんでもない」

「そうか?」


 佐藤さんは恥ずかしそうにしながら言うのをやめた。狗谷くんは何が言いたかったのか全くわからないみたいで首を傾げていた。それはさておき、伊月とこういう風にしているのは昔からだったからあまり気にしていなかったけど他から見ればイチャついているように見えるのか……恥ずぅ。顔赤くないよね? 大丈夫だよね。体温が上がっているのはわかるけど、顔が赤いかは分からない。


「体調悪いのか?」

「大丈夫……この状況は恥ずかしいだけだから」

「そういうことか。まぁ慣れろ」


 簡単に言ってくれるな。伊月は慣れてるだろうから恥ずかしくないだろうけどさ、僕はこういうことは伊月や緋華さん以外とはしたことないから未経験だし慣れるってことは難しいんだよ。・・・あれ? 今気づいたけど背中が熱いような気がするのは伊月の体温が上がっているからなのかなと思い振り返ってみようとするも伊月に頬を抑えられているので振り返ることも出来ない。さては照れているなこやつ……ってのはキャラではないかな。


 そんなことはどうでもいいけど、狗谷くんと佐藤さんの顔色が段々と青くなっていくのは何故なんだろう。伊月に抑えられているが無理矢理ではあるけど二人が見ているであろう後ろの方を見るとそこに立っていたのは伊月を見下ろしている緋華さんがいた。いつの間に居たのかは知らないけど、二人が青ざめるような雰囲気が緋華さんから出ているのは分かった。伊月はまだ気が付いてない様子だけどすぐにわかるだろうなぁ。


「何をやっているのかな?」

「何って雨歌とスキンシッ—————なんでいる」

「これ見えない?」

「体育か。ささと更衣室へ行け」


 緋華さんかと伊月の雰囲気がピリついているように周りは感じているのか、クラスメイトや他生徒もどうなるのかを見守っている状態である。僕は伊月に拘束されている為、身動きが取れないし何もすることもないのでなんとなくで伊月の机の中を漁る。何か変わったものでもあればいいと思ったが何もなかったのでつまらなかった。優等生かと思えるくらいの完璧に授業の準備をしてあったのでイタズラでバラバラにしてやった。


「あぁ? お前だって同じだろ」

「私は違う。その差を見せつけてあげてもいい」


 何かあったのかな? まあ別に僕に何かできることはないだろうから放置しておくか。みんなが僕に何かを期待しているような視線を感じるがそれを無視して我関せずの状態を維持していると古村くんが僕たちの所まで来て「やめたらどうですか?」と言ってきた。おぉ、流石はイケメンってのは今は関係ないか。まぁよくもこの二人を止めようと思ったね。二人から物凄く睨まれて少し下がったけど、格好いいなぁ。


「そろそろ戻ってもらってもいいですか?」

「・・・何?」

「緋華、クラスの奴らに迷惑だとよ」

「先輩の私がいたら気まずいか」

「ボクは言いたいのはそういうのではないですが」


 緋華さんは伊月にデコピンをくらわせて僕の頭を少しだけ撫でてから教室を出たと思ったら戻ってきて僕へ緋華さんは「雨歌くん。ソイツ、私に催眠をかけようとしたから気を付けてね」と言って走って行った。古村くんの方を見ると「は?」と言いそうな表情で緋華さんが出て行ったドアを見ていた。伊月の心配を一切していないのは緋華さんらしいけども、この教室の空気はどうすればいいんだろうか。


「雨歌、チャイムが鳴るから自分の席に戻れ」

「分かったけど、どうなると思う?」

「まぁうまくやるだろうな。邪魔が入らなければ」


 伊月は古村くんが自分自身でどうにかすると思っているのかな? 古村くんはドアの方を見ながら動いていないんだけど、大丈夫なのかと思ってしまう。緋華さんが迷惑かけた訳ですし、軽く謝っておこうかな。古村くんに声を掛けようと思ったら目が合ったがその目は僕に対する敵意で一杯だった。周りのことなんて気にしせずただ僕への怒りを向けていた。うん、これは知っている感情だ。


 チャイムが鳴り古村くんは自分の席へと戻って行った。僕も教科担当の先生が入ってくる前に席に戻って先ほどのことを考える。古村くんは“願い”で他者への催眠を掛けるようにしてもらったってのは流石に予測はつくけどそれ以外は全くだなぁ。そもそも緋華さんがなんで効かなかったのかが分からないし、あそこで僕への敵意を出すのはおかしい。出来るだけ一人行動をしないようにしておかないといけなくなった。肩の怪我がもうすぐ治るってのにまたこんなことになるなんて。


 今回は怪我をするかがまだ分からないから何とも出来ないけどね。伊月と緋華さんにちゃんと話しておくべきだから話しておく、ついでに緋華さんになんで言ったのかを聞いておこう。タイミングを見計らわずに言う人ではない筈だったけど、それを言った。アレってもしかして僕への注意ではなく、伊月に対してのメッセージだったり……それはないか。お昼休みになったら聞けばいいわけだからそれまでは待とう。


「すいません先生、急に腹痛が来たのでトイレに行っても?」

「元気そうに見えるけど」

「行ってもいいですか?」

「ひっ! どうじょ」


 伊月が腹痛だなんて珍しいと思ってみていたら先生を怖がらせてあげないでよ。この人、新米教師らしいからね? 優しくしてあげよう。なんて思っていたら伊月が出る際に僕に何かを渡してきた。確認するとノートの切れ端なのか分からないけど適当に破ってあった。開くと「あまり警戒心を剥き出しにするな」と書かれていた。いや、あんな敵意マシマシな人に警戒しないでいるのは無理があるのでは?


 おそらく伊月に何か考えがあるんだろうから言う通りにしておこうかな。それで怪我したのなら財布に大ダメージを与えてやる。・・・その前に先生のケアを後でしておかないとこれからの授業に支障が出てきそうだな。涙目で声震えてるし、古村くん以外は先生を可哀そうに見ているからなぁ。うん、フォロー入れておかなきゃ。可哀そうすぎるな本当。

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