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44話 嫉妬1

➖自宅(自室)➖

 晩ご飯を食べた後に部屋で僕と緋華さん、伊月の三人でゆっくりしているが何故かベッドに三人で寝転がっている。ベッドに寝転がるのはいいけど三人は流石に狭すぎるからせめて僕を真ん中にしないでくれるとありがたいんだけども無理だよね。大人しく二人に挟まれておると夕夏姉さんが「お風呂入っておいで」と言ってきたから誰から入るかを話し合おうと思い起き上がろうとするも両肩を押さえつけられる。寝転がって話すものいいけど、この二人少し面倒になってきたな。


「・・・もう二人で入って来たらどうなんですか」

「いやだ」

「気持ち悪いことを言うのはやめろ」

「じゃあさっさときめようか」


 ダラダラと喋って決めても入る時間が遅くなるだけなのでさっさと決めたいところだけども伊月が結構長くお風呂に入るから上がるのが早い順の方がいいかもしれないかな。緋華さんが確か10分くらいで上がるって言ってたし順番は緋華さん、僕、伊月でいいかな? 二人に聞いてみるが即答でOKしてきた。お互いの後じゃなければ別に誰の後でもいいとのこと。


 話し合いの意味がなかったのでは? と思いながら僕は起き上がりお風呂に向かう緋華さんを見送った。伊月が「さっさと色々するぞ」と言って僕の後ろ首を掴んで勉強机に連れて行かれた。伊月は自分の鞄からパソコンを取り出して電源を付け、オカルト研究部の問題をまとめているのファイルを開きに僕にまとめるのを手伝わされた。緋華さんが部屋に戻ってくるまで二人で集中しながらまとめれるもの全部をまとめた。


「上がってきたけど、大丈夫?」

「なんとか」

「雨歌、お疲れ。風呂に入って来いよ」

「うん」


 僕は着替えとタオルを持ってお風呂場に行く。部屋を出る際に二人を見るが何かを話していた。その姿は凄く仲がいいように見えるが……絶対に言い合いをしているだけなのでドアを閉めてお風呂場に向かった。


―伊月視点―

 雨歌が風呂に入りに行った後、俺と緋華はベッドの上に座りながら喋っていた。二人だけで喋る時の話題の多くは雨歌のことについてだが今回はオカルト研究部と理事長のことに関して話していた。緋華は「狗谷くんだっけ? 彼と理事長は転生者の可能性があるかも」と言ってきたからそれについて話さないといけなくなった。


「雨歌に危害を加える可能性は?」

「今はなんとも」

「なら放置でいこう」

「あと主人公は動いてないのが気になるかな」


 本来ならば俺らではなく主人公である古村が色々とする予定だった筈なのに動いてないのは確かに気になるが今気にしても仕方がないだろう。とは言え何もしていない訳ではなさそうなんだよなあの男は。警戒をしておくだけはしておくか。何もないといんだがな。


「よく一人で作れたねコレ」

「生徒会のをヒントにして作っただけだ。簡単だろ?」

「雨歌くんに嫌われろ」


 なんてことを言いやがる。雨歌に嫌われたらショックで三日は寝込む自信しかないぞ。良いのか? 俺が寝込むんでいる間、お前は雨歌と二人なんだぞ。別にコイツからしたらラッキーじゃねえかよ。そんなことはどうでもいい。今はコイツを無視してコレの最終確認をしないとな。ん? なんで理事長と狗谷が転生者と思ったんだコイツ。「それは転生者だから」と言われて何も聞けないかもしれないがおかしいような気がするんだが……


「あ! 雨歌の動画早く送れ」

「それは後に決まってんだろ、アホ」

「はーやーくー」


 コイツ時々アホになるのをやめてくれないか。雨歌の目の前では絶対にしないようにしてやがるから面倒なんだよな。そうか、今の状態を撮って雨歌に送ればいいんじゃねえか。ただコイツが撮っていることに気が付かないことが大前提だから難しいんだよな。あ~動画を餌にコイツを釣ればいいじゃん。そうと決まれば行動に移さないとな。スマホを取り出して緋華に動画を送ると、「今送ってきた?」と言うので頷いた。緋華は速攻でスマホを開き寝転がって動画を見ている。それを俺は堂々と動画に撮る。


 気付かれる心配なんてのはない。雨歌の動画や写真を見ている時はそれにしか目が行かないが近づいたり何かしようとしている奴に対しては敏感で即蹴りを入れてくる。俺は何かをしようとなんてしていないのでコイツの感知範囲外である。ただ緋華のだらしない顔や声を動画に収めているだけだからバレなければ問題はない。まあバレれば蹴りを入れられるのは確定しているけどな。


 にしても緋華の奴、無防備な恰好で居やがるな……俺のことを異性として見ているのは分かるが恋愛対象ではないので何も気にしないってのはちょっと異常ではないか? 俺としても生物的に異性って思っているだけだし、手を出したいってのは思わないからお互い様か。洗脳出来る転生者もいるから教室でもこんな感じで無防備だと雨歌が心配するだろうから様子を見に行くか。何かあって雨歌が悲しむのだけは出来るだけ避けたいからな。


「うへへぇ」


 何故俺だけの時は若干溶けるんだよ。雨歌の時も溶けてあげればいいのになと思いながら動画を撮るのはやめ雨歌に送る。そろそろ風呂から出てくる頃だろうし、戻ってくる前に確認をするだろう。雨歌のことだからリビングにスマホを置いてから風呂に入るんだろうから戻ってきた時が楽しみだな。


 これってもしかしてヤバイやつなのでは? 緋華は俺の前でしかこういう姿は見せないってのは雨歌からしたら嫉妬案件だろコレ。なんで気が付かなかったんだよ俺は。気付くのが早ければ俺のことで嫉妬してもらえたかもしれないのに。嫉妬を向けられるのも悪くないのではないか?

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