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34話 イチャ……!? 1

➖玄関前➖

 昨日は家に入るなり夕夏姉さんにリビングへと連れて行かれて色々と言われた。父さんからは婚約のことに関して母さんからは女装のことを言われた。話が終わり解放されたと思ったら今度は姉さんズ(妹も含む)に捕まり着せ替え人形にされ、兄さんと海兎からは「似合ってるぞ」と笑いながら言われた。出かけたことよりも疲れた。お風呂に入り、課題をしていないことを思い出してウトウトしながらした。


 終わった後は速攻でベッドに入り眠りについた。朝は特に何もなくて家を出れた。母さんからこっそりと指輪を貰ったので出るときに左の薬指に付けたけど、良かったのかな? 没収ってされなかったよね確か。ちゃんと校則を覚えていないから知らないんだよね。どこに校則って書いてあったけ?


「最近は起きれるようになったな」

「あ! 伊月いい所に」

「どうした?」

「コレって付けても大丈夫だったけ」


 僕を迎えに来てくれた伊月に婚約指輪を見せながら聞くが何も返事が返ってこなかった。なんでここで固まっているのさ。何も固まるようなことはしていないし、伊月が昨日からおかしい。何か体に悪いものでも食べたのかな。僕はイタズラをしたくなって、固まっている伊月の耳に息を吹きかけた。そしたら後ろにジャンプして僕に対して「何をいきなりしてんじゃ」と言ってきた。僕は「えぇ~伊月が僕の質問に答えてくれないから悪い」と言った。


 何かを考えながら伊月は「校則ではなかった筈だぞ」と言いながら僕に近づいて頬を引っ張ってくる。本当に痛いのでやめて欲しいけどやめてくれない。僕はただイタズラをして伊月が悪いって言っただけなのに酷い。考えていることが読まれているのか、もっと力強く引っ張られた。


「・・・何をやってんだ、お前ら」

「ひいはん」

「イチャつくのは結構だが程々にな」


 この状況をイチャついていると思った兄さんは僕を助けてくれずに先に学校へと向かった。伊月は「反省しているなら離すが?」と言ってきたので僕は強く頷いた。頷くのが強すぎて引っ張られている頬を余計痛くしてしまった。伊月から「アホなのか……バカだったな」と言われた。だってさ痛いから早く離して欲しかったんだよ。この人のこういう所嫌いだわぁ。


「またされたいのか?」

「やめて」

「緋華にも会いに行くか」


 あれ? 伊月テンションが高いような気がするんだけど、なんで。そんな緋華さんに会いたいと思うような人ではなかったよね? 何が一体伊月を変えてしまったのか。僕には分からないけど、楽しそうならそれでいいと思ってしまうなぁ。なんで伊月と緋華さんは僕との婚約を受け入れられるのか。まぁ僕も受け入れているから人のことは言えないか。


「雨歌」

「どうし———ぅん!?」

「いや、つ———いっ!」


 この野郎……キスしてきやがった。登校中でしかも結構人がいるし学校の生徒もいるんだけどぉ? とりあえず顔を叩いたから問題はないとは思うけどさ、緋華さんに見られたら殺されるよ。伊月は全く反省をしていない様子で「いやぁ悪かった」と言った。僕はもう1度叩いてやろうかと思ったけど、緋華さんが伊月の背後に立って居るのが分かったので何もしないことにした。


 緋華さんは伊月の頭を掴みそのまま待ち上げる。伊月は頭を掴まれた瞬間にヤバッという顔になったが逃げれるはずもなく持ち上げられた。これに関しては伊月の自業自得なので僕は助けたりはしない。伊月ってガツガツくる系の人だったのか意外ではあるけど、なんで急になの。


「痛てぇだろ、この馬鹿力め」

「私だってまだ全然できてないのに」

「俺は遠慮はしないぞ。場所や時間帯なんて気にしないからな」

「ぐぬぬ」


 緋華さんはある程度伊月を痛めつけたのに満足したのか、離してそのまま二人で話し始めた。伊月がドヤって緋華さんが悔しがっているんだけど勝ち負けとかあるのそれに。なんで悔しがっているかは話を聞いているから分かるけどくだらないんだけど。長くなるのかな先に行ってもいいのかなこれは。色々言われたくないし終わるのを待つかな。


「俺はもう我慢しないからな」

「我慢しなさいよ」

「けっ、お前はチキンか」


 ぼーっとしていたら何かがヤバイ雰囲気になってきているんだけど。緋華さんが僕の方を見てゆっくりと近づいてきているのは何故なんでしょうか? 目がヤバイって、光を灯してくれませんか!? 逃げれないから落ち着かせないといけないんだけどどうしたら正解なの。緋華さん、「すぐ終わるから目を瞑っていればいいだけだからね」じゃないですよ、今から僕はどうなるんですか。キスされるんですよね。おそらくですが!!


 伊月は「覚悟を決めてさっさとした方がいいぞ」って言ってくるし、僕はアンタらみたいな肉食ではないの分かる? 別に受け入れてすればいいじゃん。そしてこの二人にもしてもらえば僕とだけじゃなくて済むわけだし。緋華さんと伊月に言ったら即答で「「絶対にいや」」と言われて僕が固まっている時に緋華さんにキスをされた。僕はその場に手をついて「なんで僕にだけするんだよ」と言った。


「そりゃお前との婚約だしコイツは別だ」

「同じく。そもそも仲良く出来る訳ないよ」


 意外と仲いいじゃんかアンタら。何気に息がピッタリだったりさ、考え方が似てるし。それで仲良く出来ないって言ってるのはなんでなの。周りの人は仲良くしているように見えないのか? この二人が。って誰にも聞いたことがないから分からないか。・・・もういいや、学校に行こう。伊月が緋華さん側に行ったら僕にはもう何も出来ないから。それにこの二人を長い時間相手するのはしんどい。


 僕は立ち上がり二人を無視して学校に向かう。二人は先に行こうとしている僕に小走りで追いつき両隣を歩く。二人とも僕に話しかけてくれるので僕もそれに答えたり話を振ったりして学校に着く。こういうなら別に何も問題はないんだけどさ、僕の頭上でバチバチと火花を飛ばさないでください。正門をくぐる生徒や立って挨拶をしている教師たちが僕たちの方を見るんですよ。ただでさえ目立つ二人の真ん中にいるんだから。


「津堂、お前流石にあれだぞ」

「ショケイくん先生なんですか」

「そこの二人の仲に入るのはどうかと思うぞ」

「勘違いしないでください。俺と雨歌は」


 おっといやな予感がしたから緋華さんの左側へ寄ろう。伊月を止めてくれると信じて移動しようとすると腕を緋華さんに掴まれて伊月の方へと軽く投げられてそのまま捕まりキスをされる。伊月は「こういう仲になったんですよ」とショケイくん先生に対して言った。教師勢は固まり、男子生徒達は「イケメン強え」といい女子生徒達は「キャーキャー」と言っている。僕は顔を手で覆い隠してその場に立ち尽くす。


「雨歌くん、こっち」

「ちょ、まっ———ぅん!?」


 顔を覆っていた手を緋華さんに取られて本日四度目のキスをされます。緋華さんが満足してから離れると今度は伊月が近づいてくるので思いっきり腹を殴る。伊月はその場に倒れ込み、緋華さんは「うわぁ」と言う。僕は緋華さんの方に向き、力一杯のデコピンをする。緋華さんと伊月は涙目になりながら僕を見るので僕は二人に対して「暴走し過ぎ頭を冷やせじゃないと一生キス禁止」と言ってから正門をくぐり教室に向かう。


 僕が二人を置いて歩き出した時にショケイくん先生が「・・・アレは不澤が可哀そうだったぞ。反省しとけ」と二人に言っていた。もっと言ってあげてくださいよ、その二人僕が言っても全然聞いてくれないことの方が多いんですよと思いながら下駄箱まで来たけど、視線が鬱陶しい。生徒からは嫉妬の視線で教師からは同情の視線なので凄く居心地が悪い。なので僕が周りに対して「何か用でもありますのでしょうか?」と言うとみんな視線を逸らす。


 今でこれならこの先が怖すぎるんだけど、大丈夫なのかな……主に僕が。今日どうして過ごそうか、伊月と緋華さんが頭を冷やすまでは距離を置いた方が良さそうだけど、違うことで暴走されるのは大分いやなんだなぁ。仕方ないか……罰として距離を置こう。


・・・キスし過ぎなんだよ!! 二人ともキス魔だったのか?

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