25話 オカルト研究部の問題4
➖教室(1-1)➖
チャイムが鳴り伊月が自分の席に戻りHRが始まる。HRでは昨日と違ってちゃんと6限まである事と僕が怪我をしていることを話していた。怪我をした理由は父さん達と話し合って他生徒には話さないと決めたらしい。教師勢は知っていると水原先生にこっそりと教わった。困っていることがあれば助けてくれるみたいなので遠慮なく助けてもらおう。そのあとは特に何もなくショケイくん先生と水原先生が教室から出て行って授業が始まった。
授業中は左肩を動かさないように気を付けながらオカルト研究部のことについて考えていた。僕が出した案は理事長に話に行くというものだったがそれは伊月に全部ぶん投げたものだったから僕の案を却下された。
「雨歌そういえば後遺症とは?」
「傷は残るみたいだけど、それ以外はないかな」
考え事をしていたのでいつもより早く1限目の授業が終わり速攻伊月が僕の席まで来て話かけてきた。伊月が速攻で来た理由は古村くんを近づかせないためなのと妖狐さんを警戒した方がいいと知らせる為だった。いや妖狐さんに関しては別に心配はいらないのではと思うけど、何かあったんだろうな。そのことは後で聞くとして今はこの教室に漂っている変な空気をどうにかしないといけないんだけど……よく分からないけど、僕が座っている列の一番後ろから出てるんだよね。
確か名前は藍村さんだったような気がする。伊月に聞いたら分かるんけど、クラスメイトの大半を覚えていないだろうからな意味がないだろうね。僕も全く覚えていないから伊月に対して何も言えないんだよね。にしても女生徒数名で集まって何を話しているんだろ?
「気になるか?」
「こっちを見ながら色々と喋っていたらね」
「確か……藍村だったか」
「覚えていたんだ」
「記憶力はいいからな」
確かに伊月は記憶力はいいし勉強はできるのは知ってるけどさ、そのドヤ顔やめろムカつくから。僕に対しての挑発だとして今は何もできないから余計ムカつく。左肩を怪我していなかったら攻撃をしようとしていてそれを簡単に避けて僕をさらに煽るのが伊月だ。
「藍村には……あまり近づかない方がいいぞ」
何かあったのかな? と思ったけどそういうわけでもなさそう。伊月が単に関わりたくないタイプってだけなのか。藍村さんは委員長なんだし、別に近づいても良くない? 伊月の顔を見ると本当に嫌そうな顔をしていた。僕が考えていることが読まれていることはわかっていたけど、そんなに嫌なのか。
「そんなに嫌なの」
「藍村は……俺が苦手とする部類の人間だな」
苦手とする部類が多いような気がするけど、何も言わない方がいいかな。藍村さんのことは一旦おいておくとして今回の件は理事長に会いに行くよりも兄さんの所に話する方向で進めるのがいいだろう。何かを知っているような雰囲気だったし、兄さんを通しても会えるかが分からないからね。本当になんで繋がりがあるの? 生徒会だからってだけではないよね絶対に。
「お前……まさか」
「どうしたの?」
「理事長と生徒会会長は親子だぞ」
だから理事長と面識があったのか。娘が惚れている男を相手に色々と喋れたりするのか? 少なくとも警戒されると思うけど兄さんだし、問題がないような気がするな。あの人は優秀だから理事長は自分の家に取り入れようともしかしてしているのか? 可能性として十分あり得るけどオカルト研究部を巻き込む理由にはなっていないような気がするんだけど。
伊月は「・・・確かに部長にも問題があるかもな」って言ったから何かは分かったんだろう。
兄さんは「部長に問題があるからだ」と言った。共通点は部長さんになっているけど、元……いや幽霊部員って言った方が正しいみたいなのでそっちでいいとしてその人が言っていることが気にはなるけど、それは妖狐さんに任せておくとしよう。兄さんが神明さんに頼んでいたことが気になってしまった。くだらないことだとは思うんだけどね。
「今回はあまり役には立たないだろうな」
「僕の案なら理事長と話してもらうのは伊月もなんだから」
「マジか!?」
最初は伊月だけお願いをしようと思ったんだけど、変更して伊月、兄さん、妖狐さんの三人と部長さんで話をしてもらう。まずは二人の説得が必要なので失敗は許されないから説得をしてくれる人がいる。妖狐さんは伊月にしてもらうとして、兄さんは誰がいいかが分からないな。僕でもいいだろうけど、失敗する可能性の方が高い気がするからここは緋華さんにお願いすべきかな?
どちらかか両方とも失敗してしまった場合は諦めるしかない。妖狐さんは協力してもらっているのでこれ以上は申し訳ないからあまり頼りたくはない。狗谷くんには出来るだけの情報を聞き出して行こう。これは僕一人でした方がいいのかなぁ。もしこの作戦に対して伊月が乗ることにしたのでなら僕が1番何もしないからこれは僕がやろう。
「伊月……少しだけ耳貸して」
「悪いな取り外しが出来ないんだ」
「・・・ハサミを持ってこようか?」
「すいませんしたぁぁ」
そんなやりとりをしたあとに伊月が耳を貸してくれたので僕は考えた作戦を話した。伊月から「いいとは思うけど、碧さんの説得はお前の方がいいんじゃね?」と言われたがそれは緋華さんにやってもらいたいと言ったら「分かった。ならそれで行こう」と言ってくれた。少しだけ安心した。
–伊月視点–
チャイムが鳴り俺は席に着いてから先ほどの休憩時間を振り返る。雨歌が珍しく深く考えていると思ったらオカルト研究部の件だったとは。最初は何を考えているのかを全く分からなかったが、途中で独り言で「部長さん」と言っていたのが聞こえたのでオカルト研究部と分かった。昔からちょくちょく頭が良いようなことをするからびっくりする。
そういえば緋華が言っていたことで雨歌は「父親と母親に洗脳みたいなことをされているから、本来の才能を使えていないの」と喋っていやがったな。当時はそんなわけないだろうと流していたので今まで忘れていたが確かに緋華が言っていた通りだったな。変に暗くなる理由はそれからきていたと言われれば納得がいくが何故それを緋華が知っているのかが疑問ではあるな。
・・・妖狐が昨日言ったことが頭の中を埋め尽くすのでこれに対して考えるのはやめた




