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幼馴染の 『女の子同士だから大丈夫!』 が一番大丈夫じゃない!  作者: 輝夜
【第6章】 日常侵食編 ~復讐の駒と覚醒の賢者~

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第113話:戦場への誓い


「――その役目、俺たちにやらせてください」


僕の静かな、しかし確信に満ちた声が張り詰めた会議室に響き渡った。

円卓を囲んでいた大人たちの視線が、一斉に僕に突き刺さる。

ギルドマスターがその熊のような巨体を椅子に軋ませ、低い声で言った。

「……アリア。何を言っているか分かっているのか」

その声には怒りよりも、戸惑いの色が濃く滲んでいた。


僕は怯まなかった。

陽菜とリリィも僕の後ろに静かに立ち上がる。三対の真剣な瞳が、大人たちを見据えた。

「分かっています。だからこそ言っているんです。これは俺たちの因縁でもある。俺たちが決着をつけるべき問題だ」


僕の言葉に霧島校長が、銀縁の眼鏡の位置を直しながら冷ややかに言った。

「感情論で戦争はできないわ、アリア特待生。相手はプロの武装集団。あなたたち子供だけで乗り込ませるわけにはいかない」

「その通りだ!」

ギルドマスターも声を荒げる。

「お前たちを死なせるわけにはいかんのだ! 分からんか!」

その声は叱責というよりは、悲痛な叫びに近かった。


大人たちの反対。それは僕たちを想うが故の当然の反応だった。

だが僕たちもまた、引くわけにはいかなかった。


「……危険なのは分かっています」

口を開いたのは陽菜だった。

「でも私たちにしかできないこともあるはずです」

彼女は一歩前に出ると、その手のひらに温かい光を灯した。

「私の『陽光の盾』は銃弾を防ぎ仲間を癒すことができます。正面からの強襲よりもずっと安全に、道を切り開けるはずです」


「……それに」

今度はリリィが静かに続けた。

「奴らのアジトは複雑な構造をしている。警備網も鉄壁だ。だが影がある限り私の前では無意味に等しい」

彼女の足元の影が一瞬だけ不自然に揺らめいた。

「私が誰よりも早く、誰にも気づかれずに中枢への道を、示してやろう」


陽菜の絶対的な防御力。

リリィの唯一無二の潜入能力。

そして僕の全てを貫く突破力。

それは大軍による強襲よりも遥かに、静かで確実な作戦成功への鍵だった。


「…………」

ギルドマスターも霧島校長も、言葉に詰まった。

僕たちの力がこの作戦において極めて有効であることは、彼ら自身が誰よりも理解していたからだ。

だがそれでも頷くことはできない。

子供たちを最も危険な場所へと送り出す。その決断はあまりにも重すぎた。


「危険すぎる……! やはり反対だ!」

「ですがこのままでは膠着状態に!」


会議室は賛成と反対の意見がぶつかり合い、議論は完全に平行線を辿り始めた。

僕たちはただ固い決意の表情で、大人たちの結論を待つことしかできない。

誰もが譲れない想いを抱えたまま、時間だけが刻一刻と過ぎていく。

決戦の時は迫っている。

僕たちの運命は今この部屋の、重い空気の中に委ねられていた。


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