表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記Ⅴ ダーク・エルフ  作者: 小宮登志子
第3章 非合法活動
35/68

ダーク・エルフの魔法

 屋敷に戻ると、すぐにクラウディアをわたしの部屋のベッドに寝かせ、地下にいるダーク・エルフに知らせた。リーダーのガイウスは血相を変え、数人の部下を従えて階段を駆け上がり、使用人に目撃されるのも構わずに、ダッシュでわたしの部屋に駆け込んだ。

「大丈夫か、クラウディア!」

 クラウディアはベッドから体を起こし、

「ええ、なんとか……」

「いいから、おまえはじっとして、寝ていろ! 誰か、手当てを!!」

 すると、部下の一人がクラウディアに近寄り、傷口に手をかざし、何やらブツブツとつぶやいた。傷口がみるみるふさがっていく。治癒魔法だろう。だったら、最初からプチドラが魔法で治療すればよかったのではないか。わたしはプチドラを抱き上げ、しげしげと見つめた。

 プチドラはその意図を察したのか、

「治癒魔法は専門外だからね。間違うと逆効果になったりするから、まずいんだ」

 なるほど、魔法にも専門分野が分かれているらしい。

 なお、この部分におけるダーク・エルフ同士の会話は、その場では「◇$●%▽§□」など意味不明、後からプチドラに翻訳してもらったものだ。


 治療が終わると、緊張から解き放たれて疲れが一気にふき出したのか、クラウディアは、すやすやと眠り始めた。

 ガイウスはホッとした顔で、わたしの方に向き直り、

「大切な仲間を救ってくれたんだね。なんと礼を言っていいか……」

「礼は言ってもらわなくても構わないけど、あなたたち、一体、どんな活動をしているの? 警備兵に追われるくらいだから、相当危なそうなことは分かるけど……」

「悪いが、具体的なことは言えない。他のことならともかく、秘密事項なのでね」

「まあ、いいわ。誰にでも秘密の一つや二つ、いや、もっと……でも、それはそれとして、クラウディアは体力が回復するまで、2、3日、ここで休んでいけばいいわよ」

「ありがたい。実は、地下にはまともなベッドがなかったのだ」

 礼を言われるほどのことではないだろう。わたし的には、クラウディアがわたしの部屋にいる間、あわよくばその秘密とやらを聞き出せるかもしれないと、密かに期待感を抱いていたりもする。

 ただ、そのことよりも、緊急の課題として、

「あなたたちが地下から上がってきた時に、大勢の使用人に姿を見られてるけど、どうするの?」

「問題ない。我々が責任を持って解決するから」


 次の日になると、御者を含めた使用人の、この事件に関する記憶は、きれいさっぱりなくなっていた。リーダーのガイウスによれば、魔法で記憶を完全に(より強力な魔法でも再生不可能なくらいに)消し去ったとのこと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ