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【本編完結】監視対象のお嬢様にうっかり恋をしたら、高嶺の花すぎた――けど、あきらめたくないので、テッペン目指そうと思います。  作者: 糀野アオ@『落ち毒』発売中
第6章-3 みんなからの祝福、いただきます。~ジイさん編~

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6話 おばあ様の昔話を聞きに行こう

本日(2023/05/16)、二話目になります。


桜子視点です。

 その日の夜、結局帰りが遅くなってしまい、桜子は母親を捕まえることはできなかったので、翌日の朝食の席で話を聞くことになった。


「ええー、なにそれ?」というのが、母親の感想だ。


「お母さん、何か知らないの?」


「うーん、あたしもそれほど長いこと一緒に住んでいたわけじゃないから、昔の話までは聞いてないわよ。でも、お見合いじゃなくて、恋愛結婚だったのは確かよ。もっともお父さんの方が猛アタックしたらしいけど」


「それで、おばあ様が陥落? 実は他に好きな人がいたのに、ということはないの?」


「だから、そこまで詳しい話は、ねえ……」


「誰か知ってる人はいないの?」


「もしかして、お母さんの友達なら知っているかも」


「話を聞くことはできないかな? 連絡先とかわかる?」


「学生時代からずっと一緒にお花を習っていた友達なんだけど、名前、なんだったっけ……。昔の年賀状が残っているから、ちょっと待ってて」


 母親は席を立って茶だんすの引き出しを開ける。

 年賀状の束を持って戻ってくると、それをぺらぺらと一枚ずつ見ていった。


「ああ、この人だわ。旦那さんが引退して、今は葉山に住んでるの。これよ」


 母親に渡された年賀状の差出人を見ると、『加賀今日子』となっていた。




 終業式を終えて家に帰ってから、桜子は電話をかけてみた。お手伝いさんらしき人が応対する。


「突然のお電話失礼します。わたし、藍田静の孫で藍田桜子と申しますが、奥様とお話させていただけますか?」


「少々お待ちください」と、保留音が流れてくる。


「もしもし」と、思ったより若い声が聞こえてきた。


 桜子がもう一度名乗ると、快活な明るい声が返ってきた。


「あらあら、静さんのお孫さんって、先日王太子妃候補に挙がっていたお嬢さんでしょう?」


「はい。その節はお騒がせいたしました。実は祖母のことで聞きたいことがありまして、お電話ではなんですから、お会いできればと思ってお電話したんですが」


「わたしはたいていヒマな隠居暮らしなんだけど、ほら、年末でしょう? あさってから海外に行ってしまうのよ。明日か、もしくは年明けになってしまうのだけど、急用なのかしら?」


「明日、ご都合よろしいんですか?」


「あら、来られるの? 葉山よ? 学校は?」


「こちらも明日から冬休みに入りますから、大変都合がいいんですけれど。ご旅行の前でお邪魔でなければですけれど」


「こちらはかまわないわ。そうね、2時くらいでいかがかしら?」


「はい、大丈夫です。では、明日、伺わせていただきます」


 桜子は電話を切って、それから圭介に電話した。今日は家庭教師が入っているので、家にいるだろう。


『桜子?』


「うん、あたし。明日、デートで遊園地って言ってたんだけど、また今度でもいいかな?」


『急用でも入ったのか?』


「うん。おばあ様のお友達と会えることになって、話を聞きに行くの。その人、あさってから海外だって言うし、早い方がいいかと思って。圭介も一緒に行く?」


『おれも行っていいのか?』


「先方には伝えてないけど、どっちかっていうと、その方がよくない? 二人の婚約に関することなわけだし、圭介のおじい様のことも知っているかもしれないじゃない?」


『相手方が大丈夫なら、おれも興味あるけど』


「じゃあ、決まり。明日のデートは葉山まで日帰り旅行」


『葉山? 結構遠いんだな。車出してもらおうか?』


「悪いよ。こっちの用事で行くんだし」


『いや、ほら、おまえ目立つから、わざわざ変装していかなくちゃいけないかなと』


「あ、そうか。二人でじっと電車なんかに乗ってたら、目立つかな」


『車の空き状況次第ってのもあるから、後で連絡するよ。ダメだったら、電車で』


「了解。じゃあ、またあとでね。勉強、頑張って」


『おう』


 桜子は電話を切って、「よしっ」と気合を入れた。


 明日のデートの服を選ばなくてはならない。

 ふんふん、と鼻歌を歌いながらクローゼットをのぞき込んだ。

次回は葉山でデート(?)回です。

二話同時アップ、お楽しみに!


続きが気になると思っていただけたら、ぜひブックマークで。

感想、評価★★★★★などいただけるとうれしいです↓

今後の執筆の励みにさせてくださいm(__)m

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