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【本編完結】監視対象のお嬢様にうっかり恋をしたら、高嶺の花すぎた――けど、あきらめたくないので、テッペン目指そうと思います。  作者: 糀野アオ@『落ち毒』発売中
第5章-2 王太子が相手でも譲りません。~計画編~

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4話 サヨナラのあいさつ

本日(2023/01/17)、二話目になります。


前話からの続きの場面です。

 ホテルの大広間――。


 王太子は拍手に迎えられて、開かれた扉からさっそうと入っていく。


 圭介はその後ろからゆっくりとついていった。


 フォーマルなスーツの男性やイブニングドレスを着た女性が入り乱れる中、制服を着た圭介は場違いだった。


「圭介!」


 人ごみの中から桜子が飛び出してくるのが見えた。


 白いドレスはなんだかウェディングドレスのようだ。

 首に飾ったネックレスが光に反射して、ただキラキラとまぶしい。


「どうしたの? 何かあったの?」


 王太子は思ったより近くに立っていた。

 桜子に告げる言葉が聞こえるように陣取っている。


 内緒話すら許さない、と言われている気分だった。


「桜子、ごめん」


「ごめんって、何が?」と、桜子はキョトンとしている。


 圭介は自分で思っているより平静を保っているらしい。


「セレン殿下に幸せにしてもらって。おれにはもうできないから。妃那と婚約することにしたんだ」


「え……」


 桜子は言葉の意味がわからないと言ったように目を見開いた。


「おまえの笑顔をずっと見て生きて行かれたら、幸せだって思ってたのに。そんな顔させて、ごめんな」


「圭介、ウソでしょう……? 冗談よね?」


 桜子の大きな瞳に涙が浮かぶのを見つめながら、圭介は首を振った。


「これでお別れ。さよならを言いに来たんだ」


「ヤダ……。いやよ、そんなの認められるわけないじゃない!」


 涙声で叫ぶ桜子の脇から、薫子が「ちょっと、ダーリン!」と叫びながら飛び出してくる。


 パーティなんて興味ないと言っていた薫子が、珍しく来ている。

 小柄でスレンダーな身体に青いドレスは、いつもより大人っぽく見えた。


「頭おかしくなっちゃったんじゃないの!? 桜ちゃんに何をわけのわからないこと言ってるの!?

 ああ! もしかして、一つ屋根の下で王太子と何かあったとか、疑ったりしたんでしょー。

 それで信じられなくなっちゃったとか?

 言っておくけど、桜ちゃんはダーリンのことしか見てないんだからね!」


「知ってる。信じてくれたのに、裏切ったのはおれ。ごめんな。何度でも謝る。気のすむように殴ってもらってもいい」


「そんなことできるわけないじゃない……!」


「桜子、おまえの幸せを祈ってる。どんなことがあっても、おまえらしい笑顔を浮かべていられるように」


「そんなの無理。圭介を失ったら、あたしはもう笑ったりなんてできない! そんなこともわからないの!?」


「大丈夫。おれがいなくなっても、おまえの手の中にはたくさんの幸せが残るから。みんなが幸せにしてくれるから、心配しなくていいよ」


 桜子は言葉も出ないのか、涙をポロポロ落としてただかぶりを振っている。

 それ以上、圭介は見ていられなかった。


 王太子が桜子の肩をやさしく抱きよせた。

 桜子はその手を振り払ったりしなかった。


「さあ、桜子。お化粧を直してこようか。きれいになったら、みんなに婚約の報告をするよ」


 圭介はそれを見届けて、唖然(あぜん)とした顔で突っ立っている薫子を見た。


「薫子、おまえがいてくれてよかった。桜子のことを頼むな」


「ダーリンなんて、大っ嫌い!」


 薫子の憎まれ口を最後に、圭介は大広間を足早に出た。

シリアス展開が続いていますが、どうか彬が妃那の計画を聞く日だったことをお忘れなく!

次回は電話の向こうにいた妃那と彬の話になります。

二話同時アップ、お楽しみに!


続きが気になると思っていただけたら、ぜひブックマークで。

感想、評価★★★★★などいただけるとうれしいです↓

今後の執筆の励みにさせてくださいm(__)m

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