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マネー、マネー、マネー

作者: イトウ モリ


あばばばば。


 クレジットカードの不正使用発覚で幕を開けた私の2025年。


 その後も物価高騰の影響で収入より支出が上回る月が多発し、やむなく貯金を切り崩す事態にまで発展した。


 この一年は、ずいぶんと金に振り回される年だった。


 収支を確認するために何年ぶりかの家計簿もどきを再開したり、積立の額を変えたり、支出の決済スタイルを変えてみたり、いろいろやってみた。


 もちろん確定申告は毎年やっている。

 戻せるものは戻している。


 外食の頻度を減らし、保存食レシピのレパートリーもかなり増やした。


 残業のおかげで帰宅ルートで立ち寄るスーパーはいつも値引きシールのパラダイスだ。

 肉と魚はもう定価で買ってはいない。


 なのに。


 それでも金は足りない。


 打てる手は打ったはずだった。

 それでも金は足りない。


 さらなる策が必要だった。


 収入が増えないのなら、せめて節税対策かと思い、NISAやiDeCoやふるさと納税、その他諸々ざっともう一度学び直してみた。


 しかし残念ながら私は高額所得者ではない。ごくごく一般的な所得層に属するド庶民なのだ。


 いくら節税に励んだところで、高額納税者ではないモブ庶民にとって、節税対策は大きな恩恵に預かれるような仕組みではない。


 そして昨今の金利の上昇を考えると、どうしても投資に積極的にはなれない。


 さらに言わせてもらえば、そもそもの目的はというと、今すぐに使える金を増やしたいのだ。


 税金をケチりたいわけじゃない。

 金さえ手に入ればいいのだ。


 老後の金なんかどうでもいい。

 長生きさえしなければ必要ないのだから。


 だから。

 今すぐに金が欲しい。

 今すぐに使える金が欲しい。


 こんなことを書いているとホワイトなバイトのお誘いメッセージが来ちゃうかもしれない。



 私、安い女じゃなくってよ。

 ゼロリスクハイリターンじゃないと働いてあげなくてよ! をーっほっほっほ!




 まあそんな冗談はさておき、できればバイトをしなくても、もう数万円程度手取りが増えると非常にありがたいのだけれども、なかなかうまくいかない。


 栄一でも諭吉でも太子でもいいから来てほしい。

 各一名ずつでもいい。来れるならもっと来てもいい。

 みーんなまとめてお相手してあ・げ・る♡


 あいうぉんちゅー、あいにーじゅー。

 おぅいぇす、おーいえー。





 悔しいけれど、国や官僚たちを相手取れるほどの賢い頭は持ってない。

 よって私ごときが彼らを出し抜いて得するなんて、無理な話なのである。


 今から死ぬ気で勉強したとしても、足元にも及ばないだろう。もともとの頭の作りも違うだろうし。


 税金を取り巻くルールは複雑で難解で、その上少しずつ変更や改定が起きている。


 もちろん『国』にとって都合が良いように。



 一朝一夕の知識で得をもぎ取れるほど甘くはない。平凡な庶民はひたすら学び続けるしかない。


 たとえただの家畜から、少しだけ賢い家畜になるだけなのだとしても。




 今回、少しだけ金のことを学び直して思った。


 あまり深く考えることなく会社員という身分を選択して生きてるけれど、社会保険も福利厚生も、本当に庶民にとってはありがたいものだ。


 あんまり守られてる実感はないけれど、会社員はすごく会社に守られている。


 若い頃は分からなかったけれど、最近ひしひしと法人の包容力に包みこまれる良さが分かるようになった。


 抱かれてみて初めて分かる良さとでも言うのだろうか。


 おーいぇす、おぅいぇー。



 そんなことを言うようになった自分は、もう攻めではなく守りに入るような年寄りなんだなあって思うけれど、歳は取るもんだからしょうがない。


 抱くよりも抱かれたいお年頃なのだろう。



 そして社会保険料とか税金って本当に複雑だ。

 学ぶ気が失せてしまう。勉強大嫌い。勉強が好きな人って頭おかしいと思う。

 税理士さんってすごいや。尊敬するよ。



 でもまあ、もう少しくらい賢くなってみたいので、簿記のテキストでも買ってみようかと思いブックオフに行ってみた。


 そして立ち読みして分かった。


 私が欲しい知識は簿記ではなくFPの方だった。そもそもチョイスすら間違ってて話にならない。


 ちなみに私の業界にもFPがある。

 全然別物だけどね。


 よく考えたら昔、保険の勉強するためにFP3級のテキスト買った記憶がある。その本どうしたんだろ。売ったのかな? まあいいや。年始のウルトラセールでなるべく直近のものを買い直すことにしよう。




 それにしたって金って大事だ。

 本当の本当に、金は大事だ。

 るーるーるるるー。


 だから金についてよーく考えてみる。



『価値がある』とみんなが共通認識することで成立しているツール。

 それが金というものなのだと思う。


 金という存在があるから、人と人は繋がることができている。

 でも、金によって壊れてしまう関係もある。


 金にきれいも汚いもない。


 その金を手にする人間の心に、きれいかきれいじゃないかがあるだけだと思う。


 そしてきれいだった人の心を、醜く汚してしまうのも、やはり金なのだと思う。



 金が無いと、人の心は荒む。


 欲しいものが買えないと、なんだか自分の中にある優しさ的なものの元気がなくなっていく気がする。


 プリンアラモードが食べたいって思っても、金が無いから3個パックの安プリンで我慢するかって妥協する。

 でもそんなことばかり続けていると、なんだか人に優しくできる余裕がなくなっていく気がする。


 3個パックのお買い得プリンすら買わないでいると、なんだか怒りっぽくなってしまう気がする。


 でもプリンアラモードのカップに20%引きシールが貼ってあって、それを買って帰った日は冷蔵庫を開けるたびに家族が笑顔になる気がする。


 実際、出費としては、たぶん20%引きのプリンアラモードは、やっぱりまだ3個パックのプリンよりは高いかもしれない。


 でも定価で買うよりお得だった。


 そんなことで、得だとか損だとかで一喜一憂したりする。


 そして当然、プリンアラモードは私が食べる前になくなっているのだけれども。


 でもそんな一喜一憂が、幸せってやつなのかな、なんて思ったりもする。



 ところで、年収が800万から1000万(日本円換算)を超えると、それ以上幸福度は上昇しないという調査があるのをご存知だろうか。


 もとの論文は15年くらい前のものなので、今の物価に合わせると多少のずれはあるとは思う。


 当時、この論文を知ったときは『絶対に嘘だー、1000万が2000万になったら幸せ2倍に決まってんじゃーん』と思いながら目を通していた。



 世帯年収なのか独身者の年収なのかまで覚えてないが、金が増えても幸せが増えるわけではないという結論は出ている。


 日本も後追いで調査を実施していて、ほぼ同様の結果が出ているらしい。


 私の知り合いにも、潤沢に資金があって恵まれた境遇にある人なのに、なんだかとっても生きるのが大変そうな人がいる。


 もっと上手に生きればいいのに。


 なーんて、他人に対しては簡単に言える。(言わないけど)


 じゃあ自分が上手に生きてるかと聞かれたら、やっぱり無様にあがいているとしか言いようがない。


 人の芝生をどうこう言う前に、自分の芝生の手入れをしろ、である。



 金、金、金……。

 金ってなんなんだろう。

 いくら持ってれば幸せなんだろう。



 改めて考えても、明確な答えは出せない。


 でも私が思うたしかなことは、金に振り回されているようじゃ、幸せにはなれないということだ。


 金はツールだ。

 手段であり、道具に過ぎない。


 金に使われるような生き方をしていたら、きっと幸せにはなれないと思う。


 少なくとも、私はそう思う。



 だから来年は、金に振り回されずに生きたいなと思うし、趣味に没頭するこの場所でも、金のこととは無縁のまま、余計なことは考えずに黙々と好きなものを投稿していきたいなと思っている。






 さあて、年末ジャンボを買いに行こうかな。



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