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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第4章:姫様、お手を
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49.クラスメイトからの誘い

いつもより少しだけ静かなお昼ご飯を終えて教室に戻ると数人の女子が私のところへやって来ました。

入学当初はともかく最近では珍しいですね。


「あの姫様。今日とか明日って放課後空いてたりしませんか?」

「放課後、ですか」

「あ、忙しかったら来週とかでも良いの」

「そうそう。最近評判のカフェがあるから一緒に行けないかなって思っただけでさ」


私がどうしたのかなと考えていたら慌てて説明をするふたり。

そうでした。

姫様なんて呼ばれているせいで、色々と過敏に反応されてしまうんですよね。

そのせいでクラスにまだ女子友達が居ない現状なんです。


「えっと、評判のカフェですか。私も気になるので行ってみたいです」

「「ほっ」」

「放課後の予定ですけど、今日は無理ですけど明日なら大丈夫ですよ」

「ホント!?」

「なら明日HR終わったら速攻で、って明日掃除じゃん!」


この世の終わりみたいにガックリしてしまったけど、そんなに気にしなくて大丈夫なのに。


「それくらいなら待ちますよ?」

「良いの!?うっわ姫様優しすぎ。まじ姫様じゃん」


いや意味が分からないのですが。


「ともかく明日はよろしくお願いします」

「うん、こちらこそ」

「明日が待ち遠しいわ~」


ふたりはテンション高めに他の女子グループに飛んでいくと、そこでも爆発的な盛り上りをしていました。

いいなぁとか聞こえて来るんですけど、別にそんな羨むものでもないと思うんですけど。


「ということで今日の放課後はクラスの人達と遊びに行くことになりました」


翌日の昼休みに裏庭でみんなと合流した私は昨日決まったことを伝えた。

今日は昨日と違って村基くん達も勢揃いです。


「良かったね。前にクラスで浮いてしまってるって言ってたし」

「きっかけがあれば、仲良くなるのは、意外とすぐですから」


うーむ、魚沼さんがそれを言うと重みがありますね。

聞けば魚沼さんは今ではすっかりクラスの人気者だそうですから。


「ま、表面上の友達はすぐ出来てすぐ離れる」


村基くんがぽつりと何やら意味深な発言をしてますがどういう意味でしょう。


「あれですね。繁栄はパリピを呼び逆境がライバルを量産するってことです」

「それ、なんか違います」

「どっちにしろ、忙しないですね」


今度は阿部くんのよく分からない解説に青葉さん達がコメントを付け加えていきました。

ノリ突っ込みっていうんでしょうか。

こういうテンポの良い会話は聞いてて面白いです。


「ま、難しく考えなくても俺達はお互いを裏切らない。

それだけ分かってたら良いんじゃないか?」

「まあね。それを胸張って言えるなら心配ないさ」


その言葉に力強く頷く私達。

兵藤くんはいつもながら豪快なものの考え方を披露して、でもそれが的を射ていることも多いから侮れません。


「それで、もし予定が空いてたら皆さんも一緒に行きますか?」

「残念だけど俺は用事あり」

「俺達も今日は部活だ」

「ですね」


どうやらみんな用事があるみたいです。

まあ今日の今日ですから仕方ないですね。

そして放課後。


「じゃあな」


短い挨拶を残して村基くんは帰って行きました。

いつもながら流れるようなその動きは見ていて清々しい程です。


「姫様。何を見てるんですか?」

「いえ、何でもないです」


今日一緒に行くうちの一人、小森が尋ねて来ましたがその時には既に村基くんの姿はありません。

もしかしたらほとんどのクラスメイトが彼が教室を出ていった事に気付いて居ないのかも。

村人Aだから影が薄い?

村人にそんな設定あったでしょうか。

ともかく。掃除を終らせた大林さんと3人で今人気のカフェへと向かうのでした。



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