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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第10章:季節外れの萌芽
142/208

142.×研修所〇研究所

ひとまず俺の話はそれくらいで、残りの時間は今日から行われる研修についての話題へと切り替わった。


「今向かってるのってどこかの研修センターなんですよね。

そこで一体どんなことをするんですか?」

「基本的には1日目は座学が中心で、2日目、3日目は実習や応用課題をこなしていくことになる。

ただ具体的な内容やテーマについては毎年違うそうだし生徒会も知らされていないんだ。

ま、行ってみてからのお楽しみだな」

「去年は何だったんですか?」

「都市開発シミュレーションだ」


何かと思えば経営学、経済学更には帝王学じみた内容の研修だったそうだ。

それを応用して、東京25区の区長として街を開発したり、とある企業の社長として会社を切り盛りしたりするゲームを行っていたそうだ。

更には自分一人ではなく、チームで協力したり、はたまたライバルとしてぶつかり合ったり駆け引きをしたり、学校ではなかなか教えられない内容を楽しみながら学べるようになっているという。

聞けば聞くほど面白そうだな。


去年の武勇伝を聴きながら程なくしてバスは監視員付きの厳重なゲートを潜り、白い外壁に包まれた建物の前に止まった。

バスの窓から見える複数の監視カメラが俺達のバスを見つめている。


「ゲートもそうだけど、このセキュリティの厳しさは研修所というよりも研究施設っぽいな」

「その見立ては間違ってないぞ。

なにせここは『電子電脳研究所』だからな」


つまりVRやARを始めとした情報技術の最先端研究施設ってことか。

機密情報の塊みたいな場所だし、むしろ良くそんなところで研修をすることになったな。

と思ってたらバスのドアが開いて誰かが入って来た。

そしてそのまま運転席のマイクを手に取ると話し出した。


「英伝学園の皆さん。こんにちは。

私は電子電脳研究所の副所長を務める向井むかい 千晶ちあきです。どうぞよろしく。

さて、入所するにあたり皆さんには幾つか誓約をしていただく必要があります」

「誓約?」

「はい。誓約頂けない場合は入所が認められず、このままバスに乗って帰宅して頂くことになります」


ふむ。まぁさっきも言った通り機密情報の塊みたいな場所だからな。

仕方ないと言えば仕方ないか。


「誓約の内容ですが大きく3つです。

1つ。本研修中に知った情報は一切口外しないこと。この研修中というのはここに来る途中にあった研究所のゲートを潜って入った時から明後日の出る時までを指します。

なのでゲートを潜った後に見た景色、建物、研修の内容や私を含めた職員の名前や容姿についても口外は禁止です。

2つ。バスを降りる前に皆さんが所有する全ての電子機器ならびに財布などの貴重品を預からせて頂きます。

こちらは私どもの方で厳重に管理しお帰りの際に返却致します。

緊急で外部と連絡を取る必要がある際は事務室に備え付けの電話を使ってください。

また皆様の保護者には何かあれば研究所の方に連絡をして頂くようにお伝えしてありますのでご安心ください。

入所時にも空港の保安検査場にもある金属探知機のゲートを潜って頂きます。

3つ。許可されていない施設には立ち入らない。

と言っても、立ち入り禁止区画は基本的にこの後お配りする通行証では扉が開きませんので特に意識する必要はないかもしれませんね。

今から紙とペンを回しますので誓約して頂ける方はそちらにご署名ください」


財布まで預けるっていうのはちょっと心配になるけど、それ以外はまあ特におかしな話ではないし、特に問題なく全員が署名を終えた。

続いて配られた小型のジュラルミンケースに貴重品類を仕舞った俺達はようやくバスを降りて所内へと入ることが出来た。



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