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英雄が通う学園に、村人Aが征く  作者: たてみん
第9章:芸術の秋。色づく秋。
121/208

121.演目が決まったようです

翌朝学校に行ってみれば、教室の中は芸術祭の演目の話でどこも盛り上がっていました。


「D組の演目が分かったぞ!

やっぱり王道のロミジュリにするらしい」

「くそっ、先手を取られたか。ロミジュリなら決闘シーンもあったんだけどな」


ロミジュリ。つまりロミオとジュリエットですね。

学生がやる演劇のお題としては定番と言っても良いでしょう。

下手に奇をてらったものをやって、内容が伝わらずにグダグダになってしまっても困りますからね。

そういう意味でも私達のクラスでやる演目もオーソドックスなものが良いのですが。


「残りの定番と言えばやっぱりシンデレラか?」

「ああ、だけど王子役がなぁ」

「だよなぁ。どう見ても王子って感じじゃないし」


そう言ってクラスメイトの何人かが窓際の席に視線を送りました。

視線の先には一会くん達が居る訳ですが。


「ん?」


首をかしげる一会くんは、確かに王子様は似合わない気がします。

どちらかというとシンデレラに魔法をかける魔法使いの役の方が似合うでしょう。

あ、でもそれは阿部くんの方が適任かも。

他にシンデレラに登場するキャラと言えば意地悪な継母と義姉ですけど、一会くんが他人に意地悪してる姿が想像できません。

もし仮にするのだとしても、それはきっと直接的な意地悪ではなくて気が付いたらいつの間にか人生行き止まりで何でそうなったのか全然分からない完全犯罪ならあり得そうです。

もしくは最後の最後でこんなこともあろうかとと大どんでん返しを用意しているのが似合います。

だから王子役は一会くん以外でほぼ決定です。


「あの、姫様。王子役はその、誰が良いとかありますか?」

「誰でもやりたい人がやればいいと思いますよ」


どこか心配げに聞いてきたクラスメイトにそんな気にしなくていいのになと思いながら返しました。

前にも言った通り私一人の為の演劇では無いのですから。

結局その日の午後には王子役を誰がやるかは決定したそうです。

どうやら昼休みの私達が裏庭に行っている間に話し合って決めたみたいです。

ただ不思議な事に何故か私には誰になったのか教えてもらえませんでした。

一会くん達は教えてもらったそうですが、箝口令が敷かれているそうです。


「これだけは言っても良いと言われたんだが、俺は村人Aの役で決定だそうだ」


そう私に告げてきた一会くんもどういうことなのかはイマイチわかって無さそうでした。

更には台本も男女で別なら劇の練習も男子と女子とで別々にやるという徹底した秘密っぷりです。

まあ、シンデレラと言えば最初に登場するのは継母たちと私の3人で、つまり全員女子です。

魔法使いはどうやら男子が担当するそうですけど、そこは難しい立ち回りも無いので適当に代役を立てて練習しました。

あと強いて気になる点を挙げるとすれば、なぜかお城でのダンスパーティーのシーンになると皆張り切ってます。

むしろ演劇の練習とは別に社交ダンスの練習を昼休みや放課後に行う程です。

って、クラスの女子のほとんどが参加してるんですけど、もしかして全員出るんですか?

ステージの上はそれなりに広いとは言っても当日は大道具もありますし、全員が出ると躍る程のスペースが確保できるか怪しいと思いますよ?

頑張ってるところに水を差す必要もないでしょうけど。

私に至っては、ダンスって夢の中で何度も踊ってるので不思議と身体が覚えてるみたいです。


「わあ、姫様ダンス上手!!」

「ほんとさすが姫様ね~」

「ぐふふっ、このダンスが見れない男子は可哀そうだね」

「ちょ、ばか。そう言う事言わないの」

「あ、ごめんごめん」

「それより姫様。私にダンス教えてください!」

「あ~ずるい、それなら私も~」


そうして私のダンスを見た女子から何故か手解きを頼まれることになったりして、結局劇の練習よりもダンスばかりしていることになる私達なのでした。



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