騎士の命名
大変長らくお待たせしました。
第四話です。
レイラさんに手を引かれて、薄暗い森の中を歩いていく。
めっちゃ自然にレイラさんに手を握られてるし、籠手を外しているので、レイラさんの手の感触や体温が直に伝わってくる。
今まで手を繋ぐのは疎か、女性とまともに話した事もほぼ無い俺は、最早緊張を顔に出さないようにするだけで精一杯だ。
時折レイラさんからのチラチラと見るような視線を感じつつ歩き続けていると、急に開けた場所が視界に入る。
そこだけ木が無くなってしまったのかと錯覚するほどに、不自然に出来た空間だ。
切り株すらも残っていない。
だが、何故ここだけ木が生えていないのか、という疑問は湧かない。
開けた土地の中心には、木造の大きな建物が一件建ってあった。
「ここが私の家だよ、まあ家というよりは別荘って感じかな」
「別荘……って事は他にも家があるんですか?」
「まあね、この家は一人でゆっくりしたい時に使ってるんだ」
……もしかしなくても、この人お金持ちなのでは?
「さあ、上がって、今お風呂を沸かしてくるから」
「あ、ありがとうございます、お邪魔します……」
レイラさんが開けてくれたドアから、家の中に入る。
内側の壁も木材で出来ていた。
前世の記憶で言うならば、ログハウスが近い感じだろうか。
というか一人暮らしだと使わないスペースが出るんじゃないか、と思う程に中が広い。
友達を呼んでルームパーティーとか出来そうなレベルだ。
内装を見ていると、レイラさんが戻ってくる。
が、レイラさんは下着しか身に付けていなかった。
「れ、れれ、レイラさん!?」
「ん? どうしたんだ?」
レイラさんが身に付けているのは、胸を支える為のブラと、大事な部分を守るパンツのみであり、鍛えられた肉体を惜しげもなく晒している。
童貞オブザ童貞の俺には流石に刺激が強すぎた。
というか今さっきまで鎧に包まれててわからなかったけど、めっちゃたゆんたゆんである。
何がとは言わないけど。
見てはいけないのはわかってるんだけど、どうしてもついチラチラと見てしまう。
これが童貞の悲しき性である。
「い、いや、そんな無防備な格好……!」
「今ここには君しかいないし、別に問題ないだろう? というか、それを言うなら君だって、かなり無防備な格好をしているじゃないか」
そうでした。
今の俺の格好は黒のビキニのような布が、胸と腰周りを隠しているだけである。
ていうかそれを再認識したらめっちゃ恥ずかしくなってきた。
めっちゃ胸とか腰とかガン見されてるのは気のせいだと思いたい。
ちなみにどうでもいいけどペッタンコだ、何がとは言わないけど。
「ところで……君は名前を覚えてないそうだけど、呼ばれる名前がないと中々不便だと思うんだ。だから、もしこう呼んで欲しい名前とかあれば教えてくれると嬉しいな」
た、確かに、名前が無い今の状況だと色々不便になるのは明らかだ。
名前、名前……うーん。
「あの……いい名前を思いつかないので、レイラさんに決めてもらってもいいですか?」
「私は構わないけど……君は本当にそれでいいのかい?」
「はい、レイラさんが思いついた名前なら、とってもいいものになるんじゃないかなって思ってますので」
「……そ、そうか、では考えさせてもらおう」
……あ、めっちゃ自然にハードルを上げてしまった。
俺としてはなんとなくだけど、レイラさんなら変な名前にはならなさそうって思っただけなんだけど……
「うーん……」
考え始めてから一分程で、レイラさんが声を上げた。
「よし、今日から君の名前はシロだ」
「シロ……ですか?」
「ああ、シロ、色の白ってどんな色にも染まれるだろ? だから無限の可能性を秘めてそうだなって思って」
無限の可能性……俺の厨二心を擽るいい響きだ!
「……もしかして、あまり気に入らなかったか?」
「ううん、とても素敵な名前だと思います! ありがとうございますレイラさん!」
「そうか、それはよかった。あいにく名前とかをを考える事があまりなくてね……気に入ってもらえて私も嬉しいよ」
「はい! この名前は大事にします!」
こうして、俺の『シロ』としての異世界生活が今、幕を上げた!
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