表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/168

第17話 置き去りの子沢山とゴブリンお兄さん

 「フウマ達は森賢猪(フォレストボア)の頭に麻痺毒の糸を飛ばせ!ハクマ達は足元に糸を飛ばしてくれ」


 俺達が足止めに糸を飛ばすと、再びユッケが味噌汁ご飯を薙ぎ飛ばす。それから風球(ウィンドボール)を放つ。森賢猪は糸をうっとおしそうにするだけだっ。魔法は勢いで弾いた。


 「がはっ」


 「っ!?」


 そのままの勢いでユッケと味噌汁ご飯を轢いて駆け抜ける。俺ら蜘蛛は糸を飛ばした後、木の上に避難していたため助かった。


 駆け抜けた森賢猪だったが、足元に受けた糸で滑って転んだ。ユッケはその隙に味噌汁ご飯を拾ってミントの元に駆け抜けた。すでにキョテントを設置したミントは木の陰から覗いていた。


 「お、置きました」


 「でかしたっ!」


 「よくやったわ!」


 3人が次々とキョテントに入っていく中、俺ら蜘蛛の衆はというと、木の上からひたすら森賢猪に糸を張り付けていた。キョテントに行こうにも、間に森賢猪がいたため逃げられずにいた。


 「置いていかれた…これがカレーの心境か…」


 森賢猪はそれどころではなく、糸で立ち上がることさえ出来ていなかった。


 「ブモッ!?ブモォ!」


 「ブモォオ…」


 「ブモッブモッ…!?」


 突進は止めることができない森賢猪だが、止まっているものなら拘束することは可能だ。中蜘蛛(ミドルスパイダー)である俺達が登っても樹が折れないとこを見るとこの森の樹は丈夫なのだろう。


 「畳み掛けるぞ!フウマ達は大人の森賢猪に牙を突き立てて麻痺毒を流せ!ハクマ達は子供を狙え!」


 樹なら飛び降りてターザンの勢いで森賢猪に飛び乗り爪と牙を突き立てた。暴れていようとも微弱な麻痺毒によって動きが鈍く、すぐに大人しくなった。


 「よし、止めを…?ん?」


 止めを刺そうとすると背中の卵が割れた。それにはフウマ達でさえも驚き、手が止まってしまう。背中の卵からモゾモゾと出てきた蜘蛛は殻を食べると、背中から降りて森賢猪をぺしぺしと叩いていた。


 少し和んで止めを刺し森賢猪を解体すると、生まれた子供達に名前をつけなければならない。先程の戦闘でもしかしたらレベルが上がっているかもしれないが、気にしない。


 「どうした?あぁ、その子らにも名前をつけてってことね」


 まずは自分が育てた子に名前をつける。


 「んーっと、君は赤魔(セキマ)でそっちは青魔(ショウマ)ね」


 コクマの子は魅黒(ミグロ)、ハクマの子は魅白(ミジロ)。フウマ達の子はそれぞれ海風(カイフウ)海水(カイスイ)海炎(カイエン)海土(カイドウ)にし、ミドウの子達は風無(カザム)水無(スイム)炎無(エンム)土無(ドーム)にした。もはや名前が覚えきれないので、子蜘蛛の最初の6匹以外は部隊ネーム(愛称)で呼ぶことにした。


《現勢力》

俺:八雲Lv17

子蜘蛛:フウマLv17、スイマLv17、エンマLv17、ドーマLv17、コクマLv15、ハクマLv15

子蜘蛛(魔法部隊):セキマLv6、ショウマLv6

孫蜘蛛(近接部隊):ミカゼLv15、ミスイLv15、ミエンLv15、ミドウLv15、ミグロLv6、ミジロLv6、カイフウLv6、カイスイLv6、カイエンLv6、カイドウLv6

曾孫蜘蛛(偵察部隊):フウムLv6、スイムLv6、エンムLv6、ドームLv6


 進化できるようになった6匹のうち半数に進化してもらう。その間、腹ごしらえをする。食べるのは先程仕留めた森賢猪だ。でかいだけに大味だろうと思いながら食べてみれば案外いける。ただし臭みが強かったため、それほど多くは欲しいとは思わなかった。


 もう半分も進化させて今後のことを考える。どう考えても数の増えすぎによってPHから討伐隊を組まれそうだ。なにより名前を考えるのが苦しくなってきた。こんな時はルカさんに相談だな。


 進化が終わったので、キョテントに入る。そこはカレーを置き去りにした広場だった。


 「あら、おかえりなさい」


 「お、やっと来たか。心配したぞ」


 「お、おかえり…です」


 「ただいま、森賢猪倒してきたぞ」


 「は?…はぁ!?」


 入口で止まれば後続が続かないのでユッケの元に集まると、魔法陣から次々と蜘蛛が現れる。それを呆然と見つめるお三方に首を傾げつつ、ステータスを更新する。自分と6匹以外は自動更新にした。どういう比率で振り分けるのかだけを決めておいた。




《主人公のステータス》

名前:八雲(ヤクモ)

種族:中蜘蛛(ミドルスパイダー)

性別:男

称号:【ヴェルダンの縄張り主】【格上殺し(ジャイアントキリング)】【森賢熊(フォレストベア)討伐者】【エリアボスソロ討伐者】【蜘蛛主】

配下:中蜘蛛(ミドルスパイダー)10匹,小蜘蛛(リトルミニスパイダー)12匹

Lv:17(+2)

HP:250/250 MP:400/400(+5×10)

筋力:22(+2)  魔力:41

耐久:23(+2)  魔抗:30

速度:40(+4)  気力:25(+3)

器用:40(+2)  幸運:14(+2)

生存ポイント 所持:2480P 貯蓄:3073P

ステータスポイント:0(+20-20)JP

スキルポイント:70(+10)SP

固有スキル

【糸生成Lv27(+1)】【糸術Lv27(+1)】【糸渡りLv21(+1)】【糸細工Lv4】【毒術Lv2(+1)】

スキル

【繁殖Lv2】【夜目Lv14】【隠蔽Lv15(+1)】【気配感知Lv13(+1)】【魔力操作Lv24(+1)】【識別Lv8(+1)】【風魔法Lv3】【魔力感知Lv11(+1)】【思考回路Lv1】【投擲Lv4】【解体Lv6(+1)】【魔力上昇Lv2】【爪術Lv4(+1)】



《子蜘蛛のステータス》

名前:風魔(フウマ)水魔(スイマ)炎魔(エンマ)土魔(ドーマ)

種族:中蜘蛛(ミドルスパイダー)

主君:八雲

Lv:17(+2)

HP:300/300(+10×10)  MP:500/500

筋力:20  魔力:43(+5)

耐久:22  魔抗:32(+5)

速度:24  気力:22

器用:30  幸運:12

ステータスポイント:0JP(+20-20)

スキルポイント:60SP(+10)

固有スキル

【糸生成Lv17(+1)】【糸術Lv13(+1)】【糸渡りLv15(+1)】【糸細工Lv1】【毒術Lv2(+1)】

スキル

【繁殖Lv1】【採取Lv5】【夜目Lv8】【隠蔽Lv10(+1)】【気配感知Lv10(+1)】【魔力操作Lv13(+1)】【魔力感知Lv5(+1)】【思考回路Lv1】【風魔法Lv1,水魔法Lv1,火魔法Lv1,土魔法Lv1】【裁縫Lv4,調合Lv1,鍛冶Lv1,細工Lv1】【解体Lv6】【魔力上昇Lv2】【爪術Lv5(+1)】



《子蜘蛛のステータス》

名前:黒魔(コクマ),白魔(ハクマ)

種族:中蜘蛛(ミドルスパイダー)

主君:八雲

Lv:15(+2)

HP:260/260(+5×10)  MP:330/330(+5×10)

筋力:21(+5)  魔力:38(+10)

耐久:25(+5)  魔抗:33(+10)

速度:33(+3)  気力:19(+2)

器用:30(+3)  幸運:12(+2)

ステータスポイント:0JP(+50-50)

スキルポイント:40SP(+10+30-30)

固有スキル

【糸生成Lv11(+2)】【糸術Lv9(+2)】【糸渡りLv9(+2)】【糸細工Lv1】【毒術Lv1】new

スキル

【繁殖Lv1】【採掘Lv4】【夜目Lv7(+2)】【隠蔽Lv6(+1)】【気配感知Lv5(+2)】【魔力操作Lv8(+2)】【魔力感知Lv8(+2)】【思考回路Lv1】【闇魔法Lv1,光魔法Lv1】【解体Lv4】【魔力上昇Lv3(+1)】【速度上昇Lv3(+1)】【爪術Lv5(+2)】


 ステータスを振り分け終えるとユッケから声がかかった。


 「おい」


 「ん?どした?」


 「森賢猪を倒したって本当か?」


 「あぁ、あの後、糸で転んだところを仕留めたんだ。レベルも上がったし、数も増えたぞ」


 「本当にお前んとこの集団はおかしいな…」


 「おかしくないから、可愛いだろ?」


 「可愛いかは別としてこのあとどうする?」


 「行くまでに時間がかかるから、俺の拠点から行こうぜ。そのあとは解散して個人行動ってことにしよう」


 「そうだな」


 「それであれは何してるの?」


 「あれは…何してんだろうな。今のところは無視しようかと思ってる」


 あれというのは広場のはしっこでカレーを囲んだ状態でゴブリン達が体育座りで項垂れてるという状況だ。きっと置いてかれた事に気付いて帰ってくるまでの間、落ち込んでいたのだろう。


 今はこちらをちらちら見てきてる辺り、元気なのだろう。ただし一部のゴブリンが寝息をたてて寝ている。そんな彼らに絡んだところで面倒な事になるだろう。


 「じゃあ俺が味噌汁ご飯を担いで精霊樹の根元に連れていくから、その間にあれをどうにかしてくれ」


 「えーっ…あれを?」


 嫌そうにしたユッケのことは置いといて、味噌汁ご飯を背中に乗せる。


 「じゃあ頼んだぞ」


 「行ってくるわん」


 俺が味噌汁ご飯を乗せて魔法陣に入ると続けて蜘蛛衆が着いてくる。久しぶりに第一拠点に来たが、精霊樹の周りの巣はなんら変化はしていなかった。巣に無数の鳥系の魔物が張り付いてること以外は。


 「だろうと思った」


 「や、八雲…?こ、れは一体?」


 「あぁ、これは俺がやったことなので気にしないでください。ちょっと大きく作りすぎちゃっただけなんで」


 「気にするわよ!」


 「ちょっと獲物が張り付いてるんで処理しますね。フウマ達はこのまま着いてきてね。魔法部隊、近接部隊、偵察部隊は巣に張り付いた獲物を駆逐してきて」


 フウマ達は俺の周囲を警戒し、他は蜘蛛の巣のように散らばっていき、各個撃破していく。それを眺めつつ精霊樹を降っていく。


 降りていく途中にも張り付いて暴れた鳥達がいたが、糸に絡まって動けなくなっていた。鳥以外にも虫やら猿やらいたが、あれは後で仕留めよう。


 精霊樹の根元には魔物はいなかったが、人の姿があった。それも半透明で浮いている存在だった。緑色の髪は長く地につきそうで、エメラルドグリーンの瞳をした綺麗な女性だった。


 『あら?貴方はもしや、精霊樹様に糸を張り巡らせた方かしら?』


 そこに存在するだけで威圧される。そんな人から話しかけられたが、どうも俺のことを言っているようなので頷いておいた。もしかしたら殺されるほどの罰をしたかもしれんが、正直仕方がないとさえ思っている。


 『やっぱりそうだったのね!あの糸には魔力が流れていたから、魔物の蜘蛛さんと思ってはいたのだけれど、ちゃんと理性のある蜘蛛さんだったのね!』


 「は、はぁ」


 『畏まらなくていいのよ、貴方のおかげで精霊樹様にまとわりつく虫の魔物や精霊樹様の実を摘まみ食いしようとする鳥の魔物を捕らえてくれたのよ。悪いようにはしないわっ!』


 「は、はぁ」


 『だから貴方には私からプレゼントをあげるわ!これさえあれば、この先に住む精霊樹様の崇拝者達から悪いようにはされないわ!』


 「あ、ありがとうござい…ます?」


 『いいのよ!私が気に入ったんだから。もう少し周りの植物に日が当たるようにしてくれたら満点だったわ!それでも十分貢献してくれた貴方はいい子だわ。よしよししてあげるわよ』


 綺麗な女性が俺に手を翳すと身体が緑色に光った。それからなぜか撫でられた後、まるで煙のように消えていった。


 「なんだったんだろう…」


 「さぁ…?」


 味噌汁ご飯を適当なところに降ろした。味噌汁ご飯は精霊樹から少し離れたところにキョテントを張って帰っていった。俺はというと巣をもう少し拡張しようかと思っている。


 みるからに鳥系の魔物が引っ掛かりすぎて糸が減っていた。フウマ達を引き連れて巣に戻る。巣には仕留めた鳥系の魔物をまとめて置かれていた。


 遠くの方ではまだ白い糸の上に黒い斑点があったので、まだ片付いていない。そちらにも部隊を送り、空へと注意を向ける。空には俺らを狙いを定めて睨み付けている者がいる。それに糸を飛ばして牽制をすると大体は逃げていく。


 だが諦めずに空中に留まり、狙いを定めて滑空してくる者もいる。そんな奴等は捕まえて食べるだけだ。俺達は徘徊型や造網型の両方の特性を持つ蜘蛛だ。天敵だろうとなんだろうと襲ってきたら倒すだけだ。


 「クワァーーッ!」


 一匹の蜘蛛に目掛けて加速してくる。狙われた蜘蛛は俺らの家族だ。見捨てるわけがない。一斉に糸や魔法を放って倒す。よくもまぁ、この数を相手にしようとするな。


 「クワァクワァクワァ」


 「うるせぇ」


 糸が絡まって暴れる鳥の魔物に止めを刺して解体する。そんなことをひたすら続けたらレベルも上がる。その頃には15レベルを越えたものしかいなかった。止まない強襲を過ごして帰宅した。


 広場にはすでにいじけたカレー達もおらず、自分の拠点に転移した。拠点ではいつも通りルカさんが出迎えてくれた。


 「おかえりなさいませ、八雲様」


 「ただいま、ルカさん」


子沢山って大変だな。

関係ないけど、子蜘蛛のこと書きすぎて夢で子供ができる夢見ました。嫁?いなかったよ?

ネトゲーではクリックしてるだけでレベルが30を越えることができるゲームがあります。

楽しいかはその人によるとだけ言っておきましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 風無 が カザムともフウムとも書かれていてどっちか分からない
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ