表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン内閣府発足

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/389

孤児院の姉妹達

前回のあらすじ

ワドはルクルからの外回り依頼を、リゼとリッツの3人で回っています。

モンアードとの交渉はかなり上手くいきました。

 モンアード君との交渉は無事に終わったよ。


 高級品のルクル特製お酒各種は、概ね好評だった。

 モンアード君が試飲している時に【伝心】(    )してみたら、来客の歓待で僕との結びつきをアピールするのに使うみたいだ。

 僕らは既に話し合いを終えて、宿への帰路についている。帰りがけにエリーゼと反省会を行っていた。


「ワールドン様!今日のわたくしは、大臣として相応しく振る舞えてましたか?」

「うん。ちゃんと出来てたよ」

「わたくし全力で一生懸命頑張りましたわ!」


 ルクルとの秘密特訓の成果が出たのか、エリーゼは国の代表として本当に頑張っていたと思う。

 ふと気になった件を聞いてみた。


「平民女性の勧誘の話をしなかったのはどうして?」

「貴族の殿方に、平民女性についての話題をふっても意味が無いと思いましたわ!」

「確かにそうだね。それでどうするの?」


 エリーゼはビッとある建物を指差した。

 確かあの建物は役場だったような記憶……そういえば役場ってまだ入った事無かったな。僕は興味津々で質問した。


「あれって役場だよね?僕、入った事ないんだ!(ワクワク)」

「既にリッツを先行させてますわ!」

「だからモンアード君の屋敷に来なかったのかぁ。ちなみに役場で何するの?」


 エリーゼの話を聞いた所、役場は結婚相談所のような機能まであるらしい。僕が期待していたような魔獣退治の依頼などは無いとの事。

 救援要請を役場で受け付けて、領主判断で出兵する流れだそうだ。あとは傭兵団のクランに直接話を持っていくとかになるってさ。

 説明を受けながら役場に入った。


 僕は物珍しくて、キョロキョロと辺りを見回す。どうやら依頼が張り出されていたりはしないようだ。依頼などは受付の奥の方で、綺麗に整理整頓されているみたい。受付では行列待ちにならないように、整理番号の札が配られる。札の番号が呼ばれるまでは、長椅子に座って待つらしいよ。

 長椅子に座っていたリッツに話しかけた。


「リッツ、お疲れ様」

「ワールドン様、エリーゼお姉ちゃん。結婚相談の依頼は幾つかあったけど、国の移動となると難しいかもだって」


 まぁーそうだよね。港町モンアードは善政が敷かれているし、出ていきたいって女性はいないかな。親兄弟とも離れる訳だし。

 手続きを終えたエリーゼがズバッと言い放つ。


「依頼を出したのですわ!では次に行きますわ!」


 それからエリーゼに先導されて孤児院を訪問したよ。港町モンアードでは孤児を養子にとる事が推奨されているらしく、女の子は赤子くらいしか居なかった。仕方ないのでモンアードでは諦めて、ブールボン王都へ移動する事にしたよ。


「それでは御前失礼致しますわ!」


 エリーゼは睡眠薬で早めに寝たようで、夕方だけどこれから出発する。明日の夜遅くにつく予定の、丸一日とちょっとの空旅だね。


─────────────────────


 秋の景色を堪能しつつ、スピードを出し過ぎないように調整する。

 山脈を通っても緑の気配は無かった。


(そういや猫魔族の国に行ってるんだっけ?)


 猫魔族の国は、ブールボンの後に行く予定なので、もしかしたら会えるかもと考えていた。

 遠目にブールボン王都が見えてきたけど、陽が沈んで辺りはもう真っ暗で、王宮の灯りだけが目印だったよ。ついでに雨も降ってきた。

 ずぶ濡れ姫と呼ばれるほどに毎日水浸しの日々だけど、別に好んで水浸しになっている訳じゃないからね?

 僕は少しだけスピードをあげた。


「ワールドン様、お風呂の用意は出来ております」


 事前に連絡はしていたんで、ルマンド君が出迎えてくれたよ。雨が降ったからお風呂の用意をして、早めに待っていてくれたみたい。

 空輸邸を広場に置いて、メタモルフォーゼ&着衣する。従者の案内に従って、リゼとリッツもお風呂に移動したよ。


 一緒にお風呂に入ったんだけど、リゼがずっと僕をチラ見していた。流石に光ガードは無粋なので、今回は泡ガードにしといたよ!やっぱりお風呂の三大ガードの泡・湯気・光は鉄板だよね。湯気や光は青い光線レイで消えちゃうけど、石鹸の泡は消えにくいのだ!


(ふふん、僕も学習したのさ!ドヤァ)


 あと、3人で浸かったお湯は金色になっちゃった。

 疲労回復に良いらしいから、ちょっと採ってルマンド君にプレゼントしようとしたら、リゼに止められたよ。なんでだろ?


 明けての早朝からエリーゼは全力行動だった。


「ワールドン様!お兄様と交渉してきますわ!こちらで朗報をお待ちになって下さいませ!」


 ドドドドドドドド……!


 屋敷の廊下が大変な事になっている。見なかった事にしよっと。

 僕とリッツは朝御飯をゆっくり食べていて、その時にリッツから爆弾発言を聞いた。


「あたし、リゼお姉ちゃんに宣戦布告したよ!」

「え!?リゼに?なんでどうして?」

「これは女の戦いだから、お姉ちゃん相手でも負けられないの!」


 リゼとリッツじゃ戦闘力に違いがありすぎて勝負にならないよ?僕が何度もやめるように諭しても、リッツは「絶対に戦うのはやめないよ!」と聞いてくれないんだ。


 ……ドドドドドド!


「ワールドン様!お兄様の説得完了ですわ!さあ、次は町に行きますわ!」


 バンと扉を開いて、エリーゼが唐突に今日の予定を宣告した。どうでもいいけどさ……ノックしようよ?いや、どうでも良くないね。


「エリーゼ、ドアはノッ……」

「ワールドン様!()()()()()!」

「はい」


 エリーゼの圧に押されて、すぐにドナドナされたよ。牛じゃなくてドラゴンだけれども。

 なので、馬車に乗って大通りまで移動した。

 それから徒歩で大通りを歩いていると、見知った顔を見かけたよ。


「やあ!サブロワ君、久しぶりだね」

「ワールドン様!国を興されたんですね!神託を僕も聞きました!」

「今日はロアンヌちゃんは一緒じゃないの?」


 サブロワ君は僕らを見かけるなり駆け寄ってきて挨拶してくれた。丁寧なお辞儀での挨拶が良かったのか、隣のエリーゼも満足げだよ。


「今日は僕1人で、孤児院に差し入れに行く所です」

「まあ!ちょうど良かったですわ!そこの礼儀がわかっている少年。案内しなさいな!」


 エリーゼが案内するように圧をかけている。

 サブロワ君はもう一度丁寧なお辞儀をして了承してくれたよ。


「はい。喜んでワールドン様を案内させて頂きます。案内できて……とても光栄です!」

「まあ!……少年、貴方のお名前を聞きたいわ!」

「サブロワと言います」

「サブロワ……覚えましたわ!」


 エリーゼはめちゃご機嫌だった。自分から平民の名前を覚えようとするなんて、初めてじゃないかな?

 【伝心】(    )で読むと、平民の僕に対する接し方には不満があったみたいだけど、サブロワ君は僕への敬意が見て取れるから合格点みたい。


 サブロワ君に案内されて孤児院へやってきた。

 エリーゼがワールドン王国への移住希望の女性がいないか打診している。衣食住は保証すると力説していた。

 その甲斐あって姉妹が移住を希望したよ。

 名前はシーナとメル。15歳になると孤児院を出なければならないらしく、姉のシーナは15歳なのでそろそろ出ないといけないとの事。


「私達、碌な仕事出来ないけど、大丈夫?」

「大丈夫ですわ!簡単な仕事もありますわ!自分に向いてる仕事を探して良いのですわ!」

「妹と離れ離れにならない?」

「お約束しますわ!」


 一緒に暮らせると回答が得られて、姉妹は明らかに安堵の表情を見せた。姉は文字通りに胸を撫で下ろしている。そのやり取りを見ていると、背後から声を掛けられた。


「姉妹で一緒に居られるなら、私達も行きたい……」


 別の姉妹も希望してきたよ。

 名前はアンとマーデル。年齢は14歳と13歳だから孤児院をすぐに出る必要は無いけど、養子で別々に引き取られる可能性があるらしい。2人は一緒に居たいとの事だ。

 それにしてもアンは14歳とは思えないほどに発育が良いね。所謂ロリ巨乳ってやつだ。この娘は絶対にモテるだろうなぁ。


「勿論歓迎しますわ!ワールドン様は慈悲深い御方ですわ!姉妹で暮らせる住居を与えて貰えますわ!」

「「「ありがとう」」」


 4人も来てくれる事になった。初回の勧誘としては上々の出来なのでは?と思う。

 エリーゼが結果を出せた事は、自分の事のように嬉しかった。


 その後はサブロワ君が王都を案内してくれたよ。

 リッツは、サブロワ君にやたらとお姉さんぶっていたね。いつもは年上に囲まれているから、その反動なのかも?

 リッツが和気藹藹としていたのは、ロアンヌちゃんが現れるまでだった。ロアンヌちゃんは相も変わらず本音駄々漏れ娘だったよ。


ーーーロアンヌちゃん遭遇VTRーーー

「ワールドン様!国王様になったの?」

「うん。まぁね」

「わーい!じゃあ、いっぱい私の宿でお金使ってね!今日は孤児院の女の子多いね!」


「僕の国に移住してくれる娘達だよ」

「わあ~!ルクルのお嫁さん候補多いなぁ。私も婿に狙ってたのにぃ!玉の輿だもんね。皆狙うよ?アンは巨乳だし、ルクルはアッサリ落ちちゃうなー」

「え?そうなの?」


「だって私が誘った時、腕に胸を押し当てたら満更でも無さそうだったよ?絶対におっぱい大好きだよ!」

「~~~~~っ!それほんと!?」

(ヤバいヤバいヤバい大量にライバル増えてる!リゼお姉ちゃんと相談しなきゃ……)

ーーーロアンヌちゃん遭遇ENDーーー


 その時、リッツに電流走る……って感じだったね。

 何をそんなに焦っているんだろう?

 それにしてもリゼと戦闘するのに相談もするのか?

 【伝心】(    )で覗いても「ヤバいよヤバいよ」しか読み取れなくて、なんかめちゃ焦っている事だけは分かった。

 僕らはその夜、ロアンヌちゃんの宿でお世話になったよ。晩御飯を以前も食べたのでリクエストしたら、おばあちゃんは笑顔で応じてくれた。



(……この料理、やっぱり美味しいや)



その家庭料理の美味しさは……おばあちゃんの愛情だと思います。


次回は「緑の猫魔族」です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元毛玉作品集
新着順最近投稿されたものから順に表示されます。
総合評価順人気の高い順に表示されます。
ドラ探シリーズ「ドラゴンの人生探求」の関連作品をまとめたものです。
本日の樽生ラインナップ樽酒 麦生の短編集です。
セブンスカイズ
代表作。全25話。
なろう執筆はじめました!なろう初心者作家向けのエッセイです。
― 新着の感想 ―
ワドに対して押せ押せ(?)のエリーゼ。 これも成長かなあ。 ルクルのお嫁さん候補多いなぁ  > わ、ワールドン王国は男性が多いのにみんながルクル狙いにいったらエラい事になってしまいそう。 ルクルのハ…
(お久しゅうございますw) ワドの知らない水面下でルクル争奪戦が始まってるんですねw それに気づかないワドの、最後の一言、 (この料理、やっぱり美味しいや) に、何も気づかないワドの鈍感さとか無垢…
 お邪魔しています。  港町モンアードは、とてもいいところなんですね。特に、孤児院の子達を養子にすることが推奨されているって、凄いですね。  ロアンヌちゃん、久しぶり!やっぱり下心が駄々洩れですね。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ