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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン王国の基盤作成

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お城建設開始

前回のあらすじ

ロワイトを観光案内しました。

そして、ロワイトが看破したルクルの構想よりも、更に数段先を見据えて動いていた事をワドが大暴露しちゃいました。

「本日は本当に有意義でした。家族水入らずで温泉を堪能しようと思います」


 そう言ったロワイトは深く頭を下げた。内心ではルクルをどうにかして取り込もうって考えで一杯だ。


 それに、エリーゼとの婚姻を諦めていないみたい。

 媚薬とか既成事実とか不穏なワードがたくさん浮かんでいるんだけど?

 ま、エリーゼはルクルを苦手としていたし、現実的では無いね。ラブコメの波動は感じないよ?それに、あんまりにもしつこいようならルマンド君に止めてもらおうっと。


 それよりも僕の暴露には、エリーゼもアルも驚いていた。つまりルクルだけで進めていた水面下の政策って事だ。これは後々面倒な事になりそうだなぁ。しくじってしまったかも知れない。


 僕は別の宿を取って、温泉を堪能していた。


 リッツが従者として付いてくれていたよ。香油を塗ってくれている。でも、なんでゴム手袋?


「ねえ、リッツ……なんで手袋してんの?」

「あ!これはマナ酔い対策なの!」


 どうやら、直接肌に触れるのは負担が大きい様だ。


 あれ?マイティはいつも素手だったけど?それに着付けとかでも直接肌に触れていたな。

 ……ってかゴム手袋は滑りが微妙だよ。


「マイティは素手だったけどさ、大丈夫だったの?」

「既に人から上位存在に進化してるって!」


(な、なんだってー)


 僕のせいでいつの間にかマイティが人を辞めていたらしい。すんごい申し訳ない気分でいっぱいだよ。

 お風呂の後は、リッツに話し相手を務めて貰った。


 元々ポロッサ村の周辺に生育していた山芋にも、僕の水を使って量産体制が出来ていて、山葵や牛蒡も試しているとこだってさ。

 確かルクルも主食の量産体制が確立したら、野菜にも着手すると言っていたな。


(予定より早いのは順調って事かな?)


 夜が明けて、リッツには睡眠を取らせる為に下がらせたよ。僕は朝風呂に向かった。貸し切りかな?と思ったら先客がいたよ。


「ワド!?びっくりしたの。声かけてくれれば良かったのに……」

「かけようとしたけど……なんか上の空だったから」


 どうやら1人になりたくて、こっちの宿の温泉へ朝風呂しにきたみたい。

 それにしても、リゼの顔は真っ赤だった。疑問に感じていたのでちょっと【伝心】(    )してみたよ。


ーーーリゼ回想VTRーーー

(あの子からお父様が、私達とルクルの婚姻を考えてる事が懸念と連絡あったけど、お父様は本気なの?)

「父上、おはようございます」

「お父様、おはようございます」

「2人共おはよう。ところでエリーゼ」


(お父様が私に声をかけるなんて珍しい)


「はい。何でしょうか?お父様」

「お前は主人格とは別のエリーゼだな?」


(そういえば、私が自我を持ってからは初対面ね)


「はい。私の事は是非リゼとお呼び下さい」

「ルクル殿とお前を結婚させたい。主人格の方は嫌そうだったが、お前はどうか?」


(え!?リゼとルクルが結婚?どうしましょう!?……お父様は本気みたいなの)


「あの……お父様、ルクルはまだ幼いですし」

「なんだ。お前の方は脈アリだったのか。どっちも無いなら、媚薬で無理にでも既成事実を作ろうかと思ったが、これなら話が早い」

「え!?姉上、ルクルの事を好いていたのですか?」


(まずい……動揺してしまったの……ルクルは好きだけれど、私の一番はやっぱりワドなの)


「……他の方に嫁ぐ政略結婚よりは、ルクルの方が良いですの。信頼できる人ですし……でも、年齢的にも早すぎると思いますの」

「そうかそうか、ではお前のペースで落としてみろ」


(困ったの。私はワドが一番なのに……)

ーーーリゼ回想ENDーーー


 ロワイトに婚姻話を聞かされたみたい。驚いたのは、リゼが全く嫌がって無かった事だよ。


(あれ?ラブコメの波動を感じる?)


 でも、リゼは僕の事がやっぱり好きみたい。僕も友達としては好きだけどさ、恋愛とか性欲の対象として見られるのは困るよ。

 ん~、ルマンド君にロワイトの暴走を相談かなぁ。エリーゼは嫌がっているし、なし崩し的な結婚は可哀想だからね。

 そんな事を考えていたら、リゼから提案があった。


「ワド……体が温まる御香と香油使う?」

「うん!あれポカポカして気持ちいいんだ」


 リゼは恥ずかしそうに、少し視線をそらした。


「朝食のデザートを作ってみたの。食べてくれる?」

「わーい!なんだろ?サツマイモ料理?」

「ふふふっ……出てからのお楽しみ」


 リゼは何か吹っ切れたのか自然に笑っている。マイティに香油マッサージをしてもらうと、以前よりも更に気持ちよくなっていた。


 そのあとロワイト達の宿へ移動し、朝食を摂ったよ。僕だけにリゼのデザートが用意されていて、なんか申し訳ない気持ちだったな。

 デザートはパンケーキ。異世界と遜色ない味だったよ。それに食べると、ポカポカを通り越して体が熱いくらい。なんだか僕はじっとしてられなくて、ハイテンションで捲し立てた。


「ロワイト殿!僕は王都建設の仕事があるんだ!滞在するなら子供達と!ゆっくりしていってね!」


 それだけ告げると返事も聞かずに、僕は居住スペースの方にドラゴン形態で向かった。飛んでいる間に、じっとしてられない感覚は鎮まっていたな。なんだったんだろう?

 一時的なものだったのだろうと気を取り直し、眼下で見つけたボンに大声で話しかける。


「おーい、ボン!今日の運ぶ資材や整地する場所ってある?」

「ワールドン様ー!今日は旦那の所で用件聞いてきてくだせぇ!あっしは寝湯の設備開発してやすんで!」

「あいよ!了解!」


 僕はそのまま飛んでフウカナット村まで移動した。

 酒蔵の手前のスペースでメタモルフォーゼ&早着替えをする。すぐにクラッツが駆け寄ってきた。


「ワールドン様、今日はどないしはったんですか?」

「ルクルに用件があるんだ。案内よろ」

「ほな、こちらへ」


 向かった先にはルクルとカルカンに加えて、ヴェスト達ロイクブーケ移住組と、ダフ村のヘーゼルとホールンがいた。


「やあ!皆は何してんの?」

「んー?稲作の改善の話と、実験用の酒の活用方法の相談だよー」


 ルクルの話によると、農業用トラクターのコンバインを作ろうとしているみたいだ。ヤソマーやクポタのようなコンバインを理想系として、それの前段階の物を作ろうとしているとの事。

 本体重量については、僕のマナ鉱石を使ってマナ力場で軽量化を図るらしい。諸々の回転部分は緑のマナ鉱石で補助を確保しつつ、駆動させるメイン動力として、燃料を使う事を議論していた。

 そして燃料には、実験用のアルコールを利用する事を今まさに協議中だ。


「実験用でも、失敗作でもいいから飲みたいのにゃ」

「カルカン君、諸々のアルコール利用法を確立してからだよー。これから大量生産していく為に必要な投資なのさー」

「将来はいっぱい飲めるのにゃ?」


 カルカンはお酒を飲めないのが心残りみたいだ。ルクルは黒い笑顔で応じる。


「勿論そうだよー!大量生産できるようになったら、旨いお酒を浴びるように飲めるよー。だから、マナ回路の設計よろしくねー」

「任せるのにゃ!」


 カルカンを上手く釣り上げて、ヘーゼルとホールンを含めてマナ回路を詰めている。ヘーゼルはマナ回路技術者。ホールンは鍛冶師だ。

 マナ耕具を作るのに大活躍中らしい。それとロイクブーケ移住組のオールレーは耕具作成担当&ご意見番だ。耕具各種を使った感想を、カルカン達にフィードバックしているってさ。


 ルクルは他のアルコール活用法に話題を移していて、カルカン相手と違い、喋り方が真面目になった。


「まずは衛生面の改善が急務だ。多くは消毒液として確保したい。それから味がまともなのは、調理用や調味料原料に回す。これはヴェストに任せる」

「旦那!任せてくれ!」


 ヴェストがニカッと笑い請け負った。


「それから繊維の扱いに長けてるビノーには化学繊維の開発を依頼したい。それと御婦人方をまとめて化粧品も開発して欲しい」

「だ、旦那。化学繊維というのは?」


 ビノーが不安そうに聞き返し、ルクルが、バイオエタノールと酢酸から作る化学繊維について解説している。ビノーはロイクブーケ村でも、繊維に詳しい第一人者だとさ。


「大丈夫。ビノーなら必ずできる。失敗を恐れずに挑戦してくれ。実験用の原料はたくさんあるから」

「おいらに期待してくれてる旦那に、必ず応えてみせます!」


 何だかんだで皆が求めている言葉をかけて、やる気を引き出していた。

 声をかけ終えたルクルはスッと僕の方へ振り返り、笑みを深める。


(な、なんだかとても嫌な予感)


「ワドにはお城建設用の建材を運んで貰うよー。それから外壁を最高品質のマナ鉱石に変えるのをスタートでよろしくー」

「そのくらいならお安い御用さ!」


 一安心したら、追加要望がきた。


「それからーお前の竜鱗を大量に欲しいんだけどー、分けてくれるー?」

「はいー?ちょっと何言ってるか分かんない!」

「また生えてくるんでしょー?ほらちょっとだけ分けてよー」


 この黒い笑顔……絶対に碌な事に使われなさげだ。

 また生えてくるって言ってもさ、凄く痛いし?それに抜けている間はちょっと間抜けじゃん?

 ルクルは「さぁさぁ」と、やたらグイグイくる。余程さっき報告した事にお怒りモードっぽい。


 実は、さっきロワイト達に娯楽計画を暴露した事を報告したんだ。その時は流されて、暫くはアルコール活用法の真面目な話をしていた。

 だから許されたと思っていたんだ。

 けど、後からジックリねっとり追求する気マンマンだったみたい!ヤバいよ!


 僕は逃げ出した。


 大量の建材をボンの所に届けてから、王都外壁に直接触れて進化を促していく。3日間も夜も休まずせっせと働いたよ。


(ふぅ~これでルクルが忘れてくれてるといいな!)


 ボン主導でお城の建設が開始された。

 そしてルクルのお怒りモードは続いていた。



(ぐぬぬ、ルクルは怒り持続タイプだったよ……)



ルクルは怒り持続タイプです。

さっさと竜鱗を渡せば被害は少なかったのに……。


次回は「温泉街リニューアル」です。

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 お邪魔しています。  ワド君の体ってとっても凄いんですね。前から、凄いというエピソードがって分かっていたつもりでしたが、水に浸かれば聖水になるし、体に触れば進化しちゃうんですね。いやあ、改めて驚きで…
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