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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン王国の基盤作成

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心眼の所持者

前回のあらすじ

エリーゼ達の父親が訪ねてきました。

エリーゼと一緒に温泉に入って貰っている間に、ルクルとカルカンが駆けつけます。

カルカンだけがロワイトの力の謎に気づきました。

 豪快に笑い始めたロワイトを、全員が凝視した。


 特にエリーゼやアル、従者3人組は信じられないものでも見ているかのようだ。笑いを止めたロワイトは丁寧な言葉遣いでカルカンに謝罪する。


「失礼しました。猫魔族の貴方はカルカン殿ですかな?」

「はい、カルカンと申しますにゃ」

「流石はかの高名な英雄の子ですね。非礼をお詫びし、仕掛けは解除します」


 軽やかに一礼すると、何かスッキリする香りが舞う。気が付くと、ロワイトがいた場所には声を発する魔術具が置いてある。実際のロワイトはエリーゼの後ろに立っていたよ。

 今度はマナが感知できる。

 ロワイトの認識をずらす事にも驚いたが、僕も見破れなかったのをカルカンが見破った事に驚いた。


(マナ心眼?)


 僕が疑問に思っていたら、ルクルが質問したよ。


「申し訳ありません。私はこの世界の常識に疎いのですが、マナ心眼とはどのような代物でしょうか?差し支えなければご教示頂けますと幸甚に御座います」

「勿論構わないとも。それとルクル殿、言葉は少し崩して構わないよ」


 ロワイトがマナ心眼について語った。マナの本質を正確に見抜く眼をそう呼ぶらしい。

 四大神とごく一部の眷属の力で、稀に現世の種族でも持つ者がいる。

 だが1億人に1人くらい希少だとさ。この世界だと11~12人しかいない異能という事になる。


 それが無いと見切れないという事だ。ルマンド君の絶対的な自信はこれに裏付けされたものなのかな?

 なんか怖い。

 だけどルクルが出した答えは、僕が考えていたのと違う方向だった。


「なるほど。という事は魔術具か、又は薬でマナ心眼を擬似的に再現できる方法がある、と言う事ですね。それに擬似マナ心眼の対策も、ホリター公爵家は幾つか有しているのですね」

「ほう!こいつは驚いた。確かにルマンドが絶賛する訳だ。エリーゼの婿にして継いで欲しいくらいだ」

「ご、御冗談を……」


 なんでそんな結論になったのかに、興味あったので【伝心】(    )で聞いてみた。


『ねぇルクル、どしてそんな推論になったん?』

『いま説明すんの?長くなるよ』

『だって、気になるし……』


 そしたらルクルは人払いをした。この場に残ったのは、僕、ルクル、カルカン、エリーゼ、アル、ロワイトの6人だ。

 人払いが終わりルクルが会話を切り出した。


「我が国の君主が種明かしを求めているので、この場の者にだけ私の推論を話しても良いでしょうか?」

「勿論だとも、私もルクル殿がどのように推察して、その結論に至ったのか非常に興味がある」

「ありがとうございます」


 ルクルの解説をまとめるとこんな感じ。


 大神か、ごく一部の眷属神しか見破れないのなら、強力すぎる力である。

 ましてやマナ心眼持ちの希少性からすると、ブールボン王国が世界の覇権を取っていてもおかしく無い。

 対策手段が無ければ、驚異的な暗殺能力を有する。世界地図でみた各国のバランスだと対抗手段があると判断した。

 また、それ程に希少な異能は、国家機密として伏せるだろう。所持者の総数把握は困難になる。だが、マナ心眼を使わなければ、ホリター公爵家に対抗するのは困難である。各国は擬似マナ心眼を確立したと予想される。

 その上で、ロワイト前大公は本物のマナ心眼の希少性や世界での割合を、正しく理解していた。それは、マナ心眼と擬似マナ心眼を、区別出来ているという事でもある。


(なるほどわからん。とりま、訳知り顔で頷いておこうっと)


 擬似マナ心眼に対する手段を有していて、それで本物のマナ心眼持ちを区別したと推察される。幾つか有しているとしたのは、各国での擬似手段が異なる可能性が高く、それら毎に対抗策が変わるのでは無いかと考えたとの事。

 恐らく1つの対抗策は明らかにして、それ以外は破られていない事をホリター公爵家は装ったとルクルは見解を示した。

 対抗策の成果無しなら焦っていないと不自然だし、必要以上に警戒させて世界が手を組むのは得策で無いからだそうだ。


(へーへー、ルクルはそう捉えたのか、これ合ってるのかな?)


 ロワイトがまた勧誘しだしたよ。

 しつこいな。ルクルはブールボンにはあげないよ?


「凄いですねルクル殿。この短いやりとりだけで9割は当てられてしまいました。是非、我が家に婿入りしませんか?」

「婿入りはお断り致します。……9割?あぁ成程」

「……本当に凄い智者ですね。どれだけ上方修正しても追いつきません」


 婿入りの話題にはエリーゼが若干不快感を感じていたっぽい。

 ま、本人の目の前でする話題じゃ無いよなぁ。

 それからロワイトを観光案内する事になったんだけど、ルクルにガイドを指名するって聞かなくってさ。仕方なく僕が主要メンバー全員運ぶ事になったよ。

 何故かメコソンも護衛役として連れてくみたい。


(なんでだろ?)


 ちなみに倉庫は、快適空間に作り直されていて、【空輸邸】と名付けられていた。強化ガラスの窓も取り付けられている。高所恐怖症への配慮でカーテンも完備さ。約1200平米の四階建ての居住スペースだ。

 ぶっちゃけ今の国民総人口(145名)なら全員収容可能だよ。

 ロワイト含めて空輸邸に乗り込んでいる最中に、アルから全員宛の【伝心】(    )のサインが来た。と言っても隠し事が苦手なカルカン&エリーゼは除外だ。


『結局のところ、父がマナ認識阻害を使っていた理由が分かりません。慎重に行動した方が良いでしょう』

『理由は明確でしょー』

『そだよ。理由は伝心で読み取れてるから、問題ないよ?』


 アルの懸念に対して、ルクルと僕は即答で問題ないと返した。アルは少し動揺したみたいでキョドっている。


(そんなんじゃロワイトにバレちゃうよ。……ってかバレてるよ)


『ワールドン様とルクルで既に伝心の共有済みでしたか……』

『いや、してないけどわかるよー』

『そんな事より、アルはもうちょい自然に振る舞ってよね。この秘密相談がロワイトにバレてるよ!』


(あ、アルの体がビクってなった)


 もうロワイトは秘密相談の内容まで予測し始めている。アルも隠し事向いて無いんじゃ?


『あちゃー、ロワイトにほぼバレたよ』

『すみません、私が足を引っ張る形になってしまって……ですが先ほどの理由を教えて下さい!』

『そりゃー、側近へのテストだよ。主に俺が標的だったみたいだねー』


(ルクル凄いな。伝心も使わずにロワイトの意図を看破してるよ)


 ロワイトの意図は、僕が見破れないほどの脅威に対して、周囲がどう考えて動くかをみる為だった。

 見破れないだけで、僕ならロワイトを倒すのは造作もないしね。ま、無差別攻撃になるからやらないけどさ。

 ルマンド君が自分以上とか余計な情報を与えたせいで、ルクルに興味を持ったみたい。ルクルが予想したように、主にルクルがどう判断し行動するかを見たいって好奇心が勝っていたんだ。

 思わぬカルカンの能力でマナ誤認は露見した訳だけれど、その後のルクル推察には、ロワイトも完全に度肝を抜かれていた。

 少ない情報から正解を手繰り寄せる手腕に、心からの感嘆を感じていたようだね。


(ま、僕も驚いたけどさ)


 二人共、【伝心】(    )を使っても無いのに9割という単語のやりとりだけで分かり合うのは、もはやエスパーなのでは?とまで思った。

 本物のマナ心眼さえ対策可能な事を汲み取ったルクルも、なるほどの一言でそれが汲み取られた事を悟ったロワイトも、どっちも異常だね。


『って感じだと思うよー。合格点はもらえたみたいだし問題ないよー、合ってるよね?ワド』

『うん。これ程の智者なら愚行は起こさないと安心したみたい』

『智者ってガラじゃ無いんだけどねー』

『うん、僕もそう思う』


 正直に答えたらルクルからジト目で見られた。アルは終始無言だった。色んな感情が心の中を渦巻いているみたい。表層の思念で何も考えられないぐらいに余裕ないね。

 それにこれは……ルクルへの嫉妬か。ロワイトに認められるってのは、ホリター公爵家では特別な事みたいだね。

 カルカンはロワイトと談笑を続けている。カルカンのお父さんは有名人らしくって、その話題で盛り上がっているな。


「私の父を戦場で見たのですかにゃ?」

「そうだとも。メイジーとザグエリの動きを牽制する意味もあって戦場に潜んでいた。父君は先ほどのカルカン殿と同様に看破されたよ」

「父と同じと言われたのは嬉しいにゃ!」


 カルカンはお父さんの話題でご機嫌だ。

 はしゃぐシラフのカルカンは珍しいかも知れないな。……そういや魚でもはしゃぐなぁ。

 楽しげな会話はまだ続いている。


「父君ほど美しい戦い方をする人は他に知らないな。私は自国に戻った際に、英雄の書籍を作らせたくらいだよ。息子や娘にも猫魔族の英雄の話を何回もしたさ……彼は本物だった」

「ブールボンに父の英雄譚が多く残ってるのはロワイト様のおかげだったのですにゃ?感謝しますにゃ!」


 カルカンの会話を聞いていたらダフ村に到着だよ。

 そういや、僕のマナを看破したのもマナ心眼だったんだなと、ふと気付いた。僕は内包するマナの99.9%を常に隠蔽している。それを一目見て看破したのはカルカンだけだったのを思い出した。


(実は凄い能力なのかも?)


 着陸して、皆が空輸邸から出てくる。僕も光ガードを発動させて人形態にメタモルフォーゼだ。

 ダフ村の鉱山や地下鉱区を案内するのだけれど、上機嫌なカルカンが案内したいと申し出た。


「ロワイト様!ダフ村の案内はお任せ下さいにゃ!」

「そうだな、カルカン殿にお願いします。ルクル殿もご同行をお願いできますか?」

「はい、勿論です」


 僕も最近は来ていなかったから、視察したかったんだ。最近は濡れ濡れ……もとい、ずぶ濡れ姫だったしさ。



「待ってよ!僕も行くから!」



カルカンと、その父親はマナ心眼所持者。

戦闘での異常な強さは、この能力によるものです。

ちなみに、妹のトスィーテは持っていません。


次回は「観光案内」です。

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 ロワイトさん、凄い!  ルクル、凄い!  カルカン、凄い!  ロワイトとルクルの〝腹の探り合い〟というか、互いの智力を認め合う感じが、とても良いですね(^^)/  あと、自分の中で、カルカンの株は…
 お邪魔しています。  ロワイトも凄い人とは思いましたが、カルカンはもっとできる人だったんですね。ワド君は、今一意味がつかめていないようですが、落ち着いて話を聞けてるだけでも上出来だったと思いますよ…
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