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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
失った物と新たな贈り物

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泥棒騎士

前回のあらすじ

住処に帰ってきたら、荒らされてコレクションが無くなっていました。

そして倉庫の付近で銃声が聞こえてきました。

 パパパパーン!


 更に銃声が聞こえた。倉庫付近で間違いなく、銃撃戦が行われているようだ。素早く近付いて状況を確認すると、カルカンとザグエリ騎士団とが戦っていた。


「カルカン!どうなってる?これは一体?」

「ワールドン様!先に手を出して来たのはあいつらにゃ!用事を問われたから、ワールドン様の住処に向かうって伝えたにゃ!」

「伝えた後は?」


 カルカンは、銃弾を回避しながら答えた。


「この有様にゃ!あいつらイキナリ撃って来たにゃ!ボンが怪我したにゃ!」

「なんだって!?エリーゼや他の従者は?」

「無事にゃ!マイティ達は倉庫の中にいるにゃ!ジャックは敵の別動隊を押えにいったにゃ!」


 従者の1人が撃たれて怪我をした。その事実で敵の危険性を悟る。このままではアルはともかく、丸腰のルクルは非常に危険だ。


「カルカン!ここは任せていいよね?」

「任されたにゃ!既に12人は無力化したにゃ。残弾数的に後60人はイケルにゃ!」

「頼もしいね。任せ……」



 パーーン!



 銃声が至近距離で聞こえた。撃たれたのは……僕か?ひしゃげた銃弾が足下に落ちる。

 少し頭にきたよ。

 だけど事情を聞くためにブレスは使えないし、咆哮も威力が高過ぎて殺してしまう。僕は相手に右手を向け、殺さないように適度なマナ力場を叩き込む。



 ベシャ!



 あ、あれ?手加減を間違えてしまい、見るも無惨な平べったい肉塊ができた。はじけ飛んだ血飛沫の音が耳に残り、辺りが血に染まる。やり過ぎた事に軽くパニックになった。


「事情を聞きたいですにゃ!手加減できないワールドン様は手を出したらダメにゃ!」

「ご、ごめん……ここ任せた。ルクル達を守りに行くよ」

「早くいくにゃ!」


 パパパパーン!


 カルカンが20人目の無力化をしていた。この暗闇の中で、的確に継戦能力を奪う。しかも、誰も殺して無かった。普段はただの酒飲みおっさんなのに、こういう時は別人のような働きをしている。心の中で感謝を告げてその場を離れた。


(ありがとう。エリーゼとマイティを頼む)


 僕は大慌てで、ルクルとアルに合流。だけどルクルの肩口からは、血が流れていた。


「大丈夫?ルクル?自分で治せる?」

「ぐっ、体が痺れて……うまく傷口に手が届かない」

「分かった」


 僕は一瞬だけルクルに触れた。痺れさえ取れれば、ルクルは自分で治せるだろう。だが予想に反して、傷口は完全に治ってしまった。


「ご、ごめん……こんなつもりじゃ……」

「いいよーたすかったー」

「ワールドン様、何があったのですか?」

「カルカンが戦ってた。イキナリ攻撃されたって」


 僕は状況説明をしながら、ルクル達を守りつつ合流する為に急ぐ。倉庫の前まで来たら、倉庫から出てくる2人の影があった。


「カルカン、敵襲ですの?状況を教えて欲しいの」

「こいつらワールドン様の敵にゃ!さっきもワールドン様に銃弾を当ててたにゃ!今、無力化中にゃ!」

「そう……わかったの」


 それだけ言葉を交わすと、リゼの姿がかき消えた。闇夜に紛れ、高速で移動している。マイティも追走していた。


 パパパパーン!パパパパーン!


 より一層、銃声が激しさを増す。僕は、動きたいのに動けない焦燥感と共に、必死に待った。

 銃声が止み、暫くするとリゼが戻ってきた。


「リゼ!マイティは!?」

「無事よ。向こうでジャックと一緒に敵を拘束してるの」

「こ、殺してないよね?」

「まぁね。あの子だったら、今頃その辺が血の海よ?」

「た、確かに……」


 敵の総数は150人だった。

 逃げ出すものも、リゼが全て制圧したようだ。

 まぁ……あの超人エリーゼと身体能力は同じだしなぁ。銃も使ったなら無双もするか。


 撃破内訳。

─────────────────────

 カルカン:74人。

 ジャック:11人。

 エリーゼ:53人。

 マイティ:2人。

 同士討ち:9人。

 僕:1人。(死亡)

─────────────────────


(うう……僕、役に立ってない……)


 リゼに聞いたら「弾が勿体なかったから、なるべく敵同士で打ち合って貰ったの」と言っていたよ。

 射線をコントロールして、同士討ちを誘発したとの事。しかも殺してはいない。


(こっちのリゼも、充分に過剰戦力だよね?)


 カルカンの使用していた弾は、三半規管を狂わせ、感覚を超鋭敏にするものだ。銃には僕のマナ鉱石が使われているから、当たったら数時間は失明する。弾の効果も、従来の3倍まで引き上げられている。

 痛みが耐えられない激痛になり、平衡感覚を失って立っていられず、数時間に渡り目が見えない。1発で継戦能力を奪うのに、適していた。


(カルカン、お酒さえ無ければ君は凄いよ)


 それから尋問した結果、彼らは僕が居なくなったと見て、お宝やマナ鉱石を盗るように、国から命令されたとの事。命惜しさにペラペラ喋る騎士がいてくれたお陰で、自白剤や催眠薬、脅迫を使わずに済んだのは良かった。

 僕のコレクションはどうなったか聞いてみたけど、王宮に納品した後の行方は知らないとの事だった。


(マナ鉱石は別にいいけどさ、僕の私物は返して欲しいよね……)


 僕が盗られた事に気落ちしている間、ルクルとリゼが、2人で今回の事を話していた。


「今回の件、どうしようかー?」

「ルクル、大事にはしない方がいいのね?」


 ルクルの問いに、リゼが大事にしない方針の確認をしている。


「うん、流石に皆殺しにして口封じする訳にもいかないし、今回の件は穏便に伏せておきたいかなー」

「だったらリゼに任せて欲しいの」


 リゼの目には、まだ怒りが見て取れる。なんとなく危険を感じた僕は、慌てて割り込んだ。


「ちょおーっとストップ!リゼ、薬品も暴力での恫喝も、あと買収もダメだからね?」

「買収もですの?」

「ルマンド君に迷惑かけたらダメだよ?」

「ん、わかったの。薬品も暴力も金銭も使わずに、彼ら自身が秘密を守るようにする」


 良かった。リゼはわかってくれた。


(……ってどうやって秘密を守らせるの!?)


「ど、どうやって秘密を守らせるの?」

「秘密を守らせるには、お互いに秘密を共有すればいいの。ワド、安心して?」

「大丈夫なんだよね?」


 リゼは力強く頷いた。それからマイティに目配せをする。2人は、準備があると捕虜の元へ向かったよ。

 拘束に時間がかかったから、空が白み始めている。

 ルクルや従者達が朝食の準備をしていた所に、リゼとマイティが帰ってきた。


「ワド、待たせてごめんね?秘密の共有と説得完了ですの」

「せ、説得!?」


(なんか、エリーゼみたいな事を言っているよ!?)


 ま、本人に代わりはないんだけどさ。僕は説得の内容が気になって、【伝心】(    )を使った。


ーーーリゼの秘密共有強要VTRーーー

「俺達をどないするつもりや!?」

「こんな事してタダで済むおもてんのか?」

「うふふ……大丈夫。秘密を共有しましょ?」

「お願いねマイティ」

「はい、お嬢様」


〜〜〜捕虜全員、裸にむかれる〜〜〜

「くっ……屈辱や……」

「嫌!イヤやーーー!恥ずかしい!」

「せめて女騎士は勘弁してくれへんか?」

「大丈夫よ。貴方達は全員秘密を共有するの。安心して?ね?」

「あ、悪魔や……目の前おるんは悪魔や……」


〜〜〜転写の魔術具で撮影中!〜〜〜

「マイティ、もうちょい左ね。そうそこね」

「や、やめてくれぇー!堪忍や!」

「お嬢様、これなら入ってる感じになるのでは?」

「あら?いい感じね。これで貴方達は男同士の秘密が出来たの。良かったの。ね?」

「ワ、ワイには今度結婚する婚約者がおるん。こんなん見せられたら破局してまう!」

「俺もお前と出来てるなんて、噂になるだけで嫌や!彼女もおらんのに!」


〜〜〜転写の魔術具で撮影継続!〜〜〜

「お願いや!こんな格好イヤや!ウチお嫁にいかれへんくなる!」

「あら?煽情的で魅力的ですの。殿方におモテになるわきっと」

「私、何も言わへん言わへんから堪忍して」

「秘密を共有しないとダメよ、マイティどう?良く撮れましたの?」

「はい。大切な所までくっきり撮れました」


〜〜〜転写の魔術具の撮影終了!〜〜〜

「皆さん、お疲れ様ですの。秘密をバラ撒かれたく無かったら……わかってますの?」

「「「秘密は絶対守ります!」」」

「そう?いい子達ね。頑張って」

ーーーリゼの秘密共有強要ENDーーー



(ぼ、僕、ドン引きなんですけど?)


 リゼとマイティは転写の魔術具で、騎士達のホモォな証拠写真(捏造)や、女騎士の卑猥な写真をこれでもかと撮っていた。それを秘密の共有として、バラしたらバラし返すって暗黙の脅しだ。暴力の脅しよりも、ヘタしたらタチが悪そうだ。何人かの女騎士はガチ泣きしていた。


(リゼもやっぱりエリーゼだったよ!)


 僕に敵対するやつらには、とことん容赦が無いね。

 それにしても、なんで転写の魔術具を用意していたんだろう?

 カルカンが「マナ石が勿体ないから記念日に撮影するくらい」って言っていたのに。

 そういや、カルカンは僕の【土下座】現場を、証拠として撮っていたなぁ。



 普通では無い転写の魔術具の使われ方に、僕は何か悪寒を感じていた。



次のエピソードで転写の魔術具の説明いれます。


次回は「転写の魔術具」です。

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カルカン強い!? 意外! エリーゼより首級が多いよ! しかし穏便に伏せる意味はあるのかなあ? ワールドン、ザグエリ襲来! とかにはなかない?
猫ちゃん、見直した!凄いじゃないか! 勇者の子の名は伊達ではなかったか。 何するんだろうと思ったら、そしてまさかのエロ写真ww
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