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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン外交

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民族衣装の提案

前回のあらすじ

新年祭の催し物で演劇を行うワド達。

そのシンデレラ公演はかなりカオスな内容になったようです。

 公演は大成功に終わった。


 だけど、アンからはガチ切れされたよ。やっていいドッキリとそうじゃないドッキリがあるってさ。

 僕とガトーも被害者だから気持ちがよく分かるな。

 目玉であるガラスの靴の下りも丸々カットだよ。

 で、契約書はよく読みましょうってアナウンスで〆た。


(いやぁ、我ながら酷いシンデレラだねぇ)


 各国首脳からは大絶賛。


「脅されて嫌々来たのですが、存外楽しめました」

「楽しめたようでなによりだよ、ボチョール殿」

「ドレスの破裂はこの目にしかと焼き付けました!」

「ボネロ殿、その記憶は抹消してよね」


 ボネロはその場でクルクルと回りながら、僕を褒め称えていた。

 各国の首脳達も「忙しい中でも来て良かった」と言っているから、息抜きにはなったみたい。


 二日と三日は首脳会談も開催。

 国交樹立と貿易に関するお話がメインで、エリーゼではなくてルクルが前面に出て対応していたよ。

 キッカケは脅しだったとしても、来てもらったからには有意義な訪問にして貰いたいんだと。


(なんだよ、せっかくのお正月なんだからゆっくりすればいいのにね?)


 大人しくしていろと言われて、仕方なくガトーとラザとゆっくりしていたよ。ラザがお気に入りのぜんざいとお汁粉がヘビロテだよ。

 流石にちょっと飽きてきたかも?


「たまにはアンコ以外にしようよ?」

『う~?じゃあ、おまんじゅう~』

「それもアンコだにゃん」

『う~?じゃあ、おはぎとぼたもち~』


 ダメだ。この子、アンコ脳だよ。一日6食アンコ。

 それからも餡子三昧が続いていたけど、各国首脳が帰路につくという事で、見送りに駅へと向かう。


「リコーちゃん、ミレール殿。また女子会しようね」

「うむ、たまには家臣の目を気にせず愚痴をいうのも悪くないな」

「ミレール殿のぶっちゃけ話は洒落にならないですよ……私はちょっと冷えました」

「ぶっちゃけ話がやヴぁいのには同意!でも、冷えたのはリコーちゃんが全裸だったからでしょ?」

「私もそう思うぞ」

「ふふっ、次は二人も脱ごうね?」


 リコーちゃんの露出癖は困るからやんわりとお断り。あと、ボンを国にお持ち帰りしようとしたから、そっちは全力でお断り。


(ボンは建設の要なんだから絶対にあげないよ!)


「ルクル殿!大変有意義だった!」

「訪問して良かったと心から思う。……ありがとう」

「おい!ビール造りの体験教室の約束忘れるなよ?」

「ありがとうございますー。またお越し下さいねー」


 ボネロ、ボチョールは感謝を述べていたし、ホバーバイクの輸出が思いのほか喜ばれている。

 コン君はビールに興味津々で、カイナ諸島でも造りたいんだと。

 あと、トールはまだ数日滞在するみたいで、ここには居ない。なんだか正式に謝罪がなんたらかんたらとかで、良く分かんないからルクルとエリーゼにお任せだよ!

 僕ってば賢い!(ドヤァ)


「また来てね!僕、歓迎するから!」


 皆を見送って僕は大満足。何か仕事を積まれる前にラザの所に戻ろうとしたら、ルクルに捕まった。お任せしたはずのトールとの会談がブーメランで戻ってきたよ。

 んで早速、会談の場が設けられた。


「ワールドン様、ラコア将軍の件は誠に申し訳なく」


 何度も聞き飽きた謝罪が述べられる。僕としては大事にする気も無いので、さらっと流して欲しいかな?

 一通りやり取りを続けていたら「何か欲しいもの」の話になった。僕は思いつかなくてトールをじっと見ていたら、ふいに天啓を得たよ。


「トール殿の衣装はとても変わってるよね?」

「これは我が国の民族衣装でして……」

「ふむふむ、ではお詫びの品としてさ、衣服の材料と衣装デザイナーを寄越してよ。僕の国の民族衣装を作るのに協力してくれる?」

「おいー、ワドー?何勝手に決めてるんー?」


 ルクルが何か喚いているけど無視無視。口を挟まれたく無かったら、僕を呼ばなければいいのだ!

 それで衣装デザイナーを派遣してくれる事になった。

 バイオポリエステルが完成しても、新しい衣服をうまく開発出来ていなかったから渡りに船だよ。

 今回の視察団は衣類に詳しい人が居たから、そのまま残ってくれる事になった。

 要望を僕の趣味全開で語ったんだ!(ドヤァ)


 野菜的な宇宙人の戦闘用スーツのあれとか、学ランとかセーラー服とかあれなのとか、海賊や忍者や死神とか、特撮やニチアサ女子も要望出した。


(ま、出すだけならタダだし?夢を語るのはいいよね?)


 あと、お仕事の制服も必要だよね?

 僕は飲食店のメイド服とバーのバニー服をオーダーした。病院のナース服も忘れない。

 んで、余計な事するなとルクルから後日怒られた。

 国民投票で選ぶらしいけど、僕の衣装案はリゼと相談してコッソリ勧める事にするよ(ニヤリ)


 トールの一団が帰った後は、何故か大量に仕事を積まれたよ。

 飛空艇の開発、野球場などの巨大施設。それから稼働橋も建設を急ピッチで勧めるようにと。

 あまりに鬼畜すぎて、衣装の開発現場に行く暇が無いんだよ!

 当然、僕は文句を言いに行った。


「ルクル!急ぎの仕事が多すぎない?僕、衣装の開発にも関わりたいんだけど!?」

「んー?ラザのおかげで地形を改善できたからねー。新設された川の為にインフラ拡充は急務だよー」

「飛空艇と橋は分かる。野球場は何なの!?」

「えー、だって俺が野球みたいしー?」


 まさかの私欲だった。それなら納期を緩和できないかを交渉していたら、ラザの豪邸を仕上げる仕事まで積まれたよ。ぐぬぬ。

 それからはめちゃ気合いですわ!してガトーと一緒にブラック労働を頑張った。ガトーの文句が妙に少ないのが気になったけど、どうせトスィーテちゃんへの謝罪でも考えていたんでしょ、多分。


 そろそろ宝瓶節という時期になって、仕事の目途が見えてきたから、僕は誰にも内緒でフウカナット村にコッソリとやってきたんだ。

 大体さ、僕の国の民族衣装なのに、僕をハブして開発するなんてどうかしていると思うの。って事でコッソリ視察。

 見に行きたいと言うと誰かに止められるからね。


(そんなに警戒しなくてもやらかさないのに!)


 僕はお昼過ぎの時間帯に、発光量マナを抑制しつつ村へとホバー忍び足で近づいた。よっし!誰にも見つからずに化学繊維の工場まで辿り着いたぞ!

 そーーっと、中の様子を伺う。


「なんとか開発はエリーゼ様の誕生節に間に合いそうやな」

「せやな。ところでバンナ村ん話……聞いたか?」

「あぁ、聞いたで。ほんまやるせないわ……」


 ふむふむ。衣装はエリーゼの誕生節までに間に合わせようとしていたみたい。


(ルクルからリゼへのプレゼントかな?)


 にしてもバンナ村の話題が多いなぁ。

 そういやビットも近々2歳になるんだよね。


(懐かしい、会いに行きたいってお願いしてみよ)


 僕は王都に戻って濡れ濡れの仕事を再開していた。

 夜になってルクル、リゼ、カルカンが僕の部屋にやってきたから、1日お休みの交渉をしてみる。


(リゼ、カルカン頼むよ!援護射撃してね!)


「ねぇルクル。僕、1日だけお休みが欲しいなぁ」

「んー?何か理由あるのー?」

「えっとね、リベラさんを覚えてる?そろそろさ、ビットが2歳になるからバンナ村に遊びに行きたいなーと思って……」

「「~~~っ!」」


(あれ?なんだかルクルとリゼの様子が変だぞ?二人とも妙に呼吸が浅いような?)


 そこにカルカンが普段通りの感じで返してきたよ。


「リベラ氏懐かしいにゃー。ビットはもう2歳なのは早いにゃ。でも、バンナ村の件は残念だったにゃ」

「カルカン君!」

「カルカン、一旦リゼと外に出ますの」


 ルクルが強い口調でカルカンを叱責し、リゼがカルカンを外に連れて行った。一体なんなの?

 ルクルは普段通りのおどけた口調で仕切り直した。


「まずは仕事をキッチリ終わらせないとなー。遊びに行くのを検討するのはそれからだよー」

「だったらココ伯爵達の旅行行く前にこの仕事やっておきたかったよ。こんなに仕事あるとビットの誕生節のお祝いに間に合わないよ!」


(僕、こんなに頑張ってるのに、1日のお休みもダメなの?)


 ルクルはやましい事があるのか思考を和ホラーガードし続けていた。視線は天井辺りを固定していて、こっちを向いてもくれないよ。


(僕、コッソリ行っちゃおうかな?)


「ワド、コッソリ行くのはダメだからなー」

「なんで分かったの!?まさか伝心?」

「いや、表情で何となく分かるよー親友だろー」


 表情でバレるらしい。明日からポーカーフェイスを特訓だね。

 でも、親友っていうのなら、僕が初めて名前をつけたビットに会いたいって気持ちも分かってくれるよね?

 僕は必死に懇願を続けてみた。真剣に一生懸命に。


「……そうだなー。バンナ村に遊びに行くんじゃなくて、ワールドン王国に招待するのはどうかなー?」

「お!ルクル!それ名案だよ!」

「じゃあ、こっちで招待しておくー」


 良かった。ちゃんとお願いしたら聞いてくれたよ。

 なんだか最近はいじわるされているんじゃ無いかって不安だったんだ。

 どうにも僕だけが知らない事が多いみたいだし。

 それからもブラック労働とラザのお世話に勤しむ日々が続いての月末。

 ついにストローが帰ってきたんだ。

 早速会いに行こうとしたらガトーに止められたよ。


「ねぇ、なんでストローに会っちゃいけないの?」

「う……む、それはだにゃん……」

「ねぇ、どうして伝心ブロックしてるの?」

「ぐぬ……そうだ!このアンコもうまいぞにゃん!」

『う~?アンバターさいこ~』


 なんだかはぐらかされている。

 そこに勇者パーティーが到着。ラザのお食事ウーバーのクエスト中らしい。


「最近見なかったけど、どうしてたの?」

「ストローさんの護衛任務についてましたねぇ」


 ノワール君が教えてくれた。他の勇者はなんだか様子が変だね?


「ミカドって糞野郎はマジでムカツクぜ!ワールドン様、どうやら俺たちの誤解だったようだ。すまん」

「……あれは不愉快だった」

「見せしめの為に、あんな風にバンナ村の村人を殺すのは許せないわ!」



(……え?今なんて?)

レオ達、勇者パーティーからポロリと漏れた情報。

いよいよ真実を知る事となります。


次回は「バンナ村の虐殺事件」です。

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