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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン革命の黎明期

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149/389

1万2000年ぶりの再会

前回のあらすじ

どうやら銀の住処と思われる所を掘り当てたワド達。

エリーゼを先頭に奥深くへと爆走していきます。

 ドドドドドドドドド……!

 ゴゴゴゴゴゴゴ……!


 巨大な地下空洞を爆速で進む。

 見渡す限りの銀の最高品質マナ鉱石があるので、そろそろ近いのは間違いなかった。


 ドドドドドドドドドドド……!

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!


 それに銀の近くだと、更に深い所で地殻変動が起こっているから、地鳴り的な音がするんだ。奇妙な冒険みたいな環境音をBGMにしながら、僕らは突き進んでいたよ。

 そうして久しぶりに銀を見つけることができた。


『あ~!金だ~!遅いよ~おかえり~お腹すいた~』


 相変わらずの巨躯である銀が、僕に甘えてきた。

 銀は全長300mちょいあるから、人サイズになった今みると、ほぼ壁だね。断崖絶壁な感じだよ。


『あれ~?緑もいる~。金も緑もなんか縮んだ~?』

『久しぶりだね。僕は今、ワールドンって名前だよ』

『吾輩はガトーという名前だにゃん。そしてこれは、変化という素晴らしい魔術具のおかげの姿だにゃん』


 銀はおっとりしていて細かい事を気にしないから、僕らの姿も名前も一人称も、あんまり気にしていないみたいだった。


『そんな事より~金~。お腹すいたよ~約束は~?』

『約束ってなんだにゃん?』

『ボドゲの時に話したじゃん。銀との約束をすっぽかしちゃったって』

『だっけ?でも銀は約束すっぽかされたつもりもなさそうだぞにゃん?いつの約束なんだにゃん?』


 僕は顎に人差し指を当てながら、銀との約束の事を思い出していた。さっきからエリーゼの激写音がうるさいなぁ。


『えとね、僕とガトーと、あと赤と黒とであった時の前だよ。食べ物を取ってくるって約束して一緒に住んでた住処を出てそのまますっぽかしたんだ』

『え?それって1万2000年以上前って事か?さすがにちょっと引くにゃん……』

『金~。お腹すいた~ごはんまだ~』


(え?そんなに経ってたっけ?)


 確か、銀からごはん食べたいと言われて、外に食材を探しに出たんだ。銀が食べて満足するサイズの食材が見当たらなくて、その間もずっと銀からの催促をされ続けて、ウルサかったから【伝心】をブロックしたはず……そしてそのまま約束を忘れた。


『ワドよ。友達にその対応は酷いと思うぞにゃん?』

『忘れてたんだから仕方ないよ!僕、悪くない!』

『金~、緑~、聞いて聞いて~。少し痩せたんだ~』

『『どこが!?』』


 1万2000年も絶食して痩せないんだし、銀は痩せるの無理なんだろうなーと何となく察したよ。


『金は優しいから~、いつか来てくれるはずって信じてたんだ~。だからごはん~』


 銀はキラキラした瞳で、全く疑っていなかったようだし、それに、すごく嬉しそうにしているよ。

 【伝心】だからこれ全部本音なのよね。


『う……僕をずっと待ってたの?』

『うん~。やっぱり来てくれた~金は優しいから~』

『ワドよ、銀のつぶらな瞳を直視できるかにゃん?』


 で、できません。ごめんなさい……

 でも、約束すっぽかしたお詫びはしないとだよ。


『銀!変化の魔術具を使えば、美味しいスイーツが大量に食べられるんだよ!それがお詫びだよ!』

『おう!吾輩もオススメするぞにゃん!スイーツうまーだぞにゃん!』

『変化~?魔術具~?うん。使う使う~。美味しいの食べたい~。やった~。う~?どうすればいいの~?』


 さぁ、出番ですよ!って振り返ったけど、ヘーゼルは失神したままだった。僕が揺さぶっても起きない。


「ワールドン様、わたくしが起こしますわ!」

「どうやって起こすの?」


 不敵に笑ったエリーゼは、ヘーゼルに近づいて耳打ちした。そしたらヘーゼルは飛び起きたよ。


「ハッ!私は一体何を!?」

「おはよ。ヘーゼル」


 耳打ちの内容の「これ以上ワールドン様を待たせるなんて永眠したいのですか?」って怖いんですけど?

 でも、寝起きのヘーゼルには悪いんだけど、変化の魔術具の調整をお願いしたよ。


「ワールドン様、調整は無理です……」

「え?どして?」

「持ってきたマナ鉱石では全然足りないサイズです」


 ヘーゼルに変化の魔術具を解説してもらった。

 変化の魔術具は元のサイズと大きさが異なる程に、高品質な黒マナ鉱石を必要とするんだとさ。


 最高位ドラゴンのマナ鉱石の色分けはこんな感じ。


─────────────────────

・金:光、生命

・銀:物、大地(※物質全般)

・赤:火、炎熱

・青:水、氷雪

・白:雷、電磁

・黒:闇、変幻

・緑:風、大気

─────────────────────


 僕、自分の事なのに全然知らなかった。だってだって、あんまり興味なかったし?仕方ないよね!

 言われてみれば黒ってどんな形状やサイズにも変化できていたかも?

 ヘーゼルが云うには、黒は恐れの象徴で、闇の中に様々なことを想像してしまうのは、本能のようなものらしい。


「へー」

「へーだにゃん」

『へ~』

「今のアングル!良く撮れましたわ!」

「誰も興味ないですよね(シクシク)」


 そんな事ないんだけどな、純粋に知らなかったからトリビアを聞いて、ちょっと参考になったしさ。


(今度ゆっくりとヘーゼルの忙しい人向けのマナ講座を聞きたいかな?)


 話は長かったけど、要点をまとめると、持ってきた黒マナ鉱石だと品質が足りないって話みたいだ。


「吾輩の隠し別荘に、黒のマナ鉱石を持ってるぞにゃん。前に4人で会った時に貰ったにゃん」

「え!?ガトーだけずるくない?」

「吾輩、ワドや赤からも貰ったぞにゃん?」


(あークレクレ君か。そうだった)


 ガトーは僕ら最高位ドラゴンの中でも、クレクレ君で有名なんだ。良いものはなんでも欲しがるからさ。昔、クレクレ言われ過ぎていてマヒしていたけど、その際に貰ったやつが残っているらしい。


「吾輩、今から行ってさくっと持ってくるにゃん」

「うん、任せたよガトー!」

『あれ~?緑はどこにいくの~?』


 僕から銀に諸々かいつまんで説明したよ。銀は複雑な事を考えられないから。

 ん?なんかどっかから「おまいう」ってツッコミが入った気がするけど、銀は僕以上だからね。ドヤァ!


『緑の帰りを待つ~。美味しいごはん楽しみ~』

『うん。それでちゃんと名前で呼んでね?』

『う~?名前ってなあに?』


 やっと名前に興味を持ってくれたよ。下手したら興味を持ってもらえるまで、1000年くらいかかったかも知れないからなぁ。マジありえそうで怖い。

 エリーゼとヘーゼルもついでに紹介したよ。


『金~。じゃなかった(ワド)~。僕も名前ほしい~』

『名前はちょっとルクルに相談してみる。けど、なんで一人称に僕を選んだの?』

『だって~(ワド)が使ってるから~』

『被るからダメだよ!ただでさえコウカちゃんと被ってて僕困ってるんだけど?』

『そんなぁ~、(ワド)のケチ~』


 僕、ケチじゃないし。

 でも、銀がすんごいうるさいから仕方なく少し妥協したよ。


『もちょい、硬質的な感じで』

『硬質~?分かんない~』

『コンナカンジダヨ』

『ボク~でいいの?』


 よし、良い感じに被り回避できたよ。ほんでもって名前の催促がしつこいから、早めにルクルへ相談する事にしたよ。


『ルクルルクル、銀の名前とあだ名を考えて!』

『うわぁぁぁ!って、いきなりなんだよワドー』

『え?これ浮気!?浮気現場なの!?』

『ち、ちがっ!これはたまたまプレゼントのお礼で』


 ルクルはアンと二人きりで会っていて、しかも抱きつかれていたよ。

 これは責任を持ってリゼ&エリーゼに伝えるから!

 だってお礼で抱きつく必要ないよね?


『誤解だからなー!』

『ま、スイーツ次第では僕の口も堅くなるかも?』

『約束だぞー!それで銀の名前とあだ名だっけー?』


 ふむふむ。そんな感じか。早速、銀に伝えよっと。


『銀の名前はアラザンだよ!んで、あだ名はラザだからね!(ドヤァ)』

『う~?ラザだね~わかった~』


 名前を付け終わった頃に、空輸邸で留守番をしていたはずのマイティが、ガトーと入れ替わりでやってきたよ。

 早速、ルクルの浮気をエリーゼとマイティにバラした。僕は口が堅くなるとは言ったけど、喋らないとは一言も言っていないからね!なのでセーフ!


「許しませんわ。もう一人のわたくしの魅力が理解できるまで、耐久で鑑賞会しますわ!もう一人のわたくしに、もっと過激な映像を用意して貰いますわ!」

「え!?え!?あれ以上過激なのってヤバない?」

「大丈夫です。ワールドン様、見つからなければセーフです」


 いやいやいや、マイティが僕の心の中と同じような事を言っているけど、R18はダメだよ?

 でもま、僕が知らなきゃセーフなのかな?

 という事でスルーするよ。

 なんかエリーゼは唐突に書き物を始めている。

 僕とマイティは(ラザ)の衣装候補を並べて、どれにするかを検討していた。あ、そうだ(ラザ)にも伝えないと。

 再び断崖絶壁のような(ラザ)に向き直り、語り掛ける。


(ラザ)が変化するのは、今の僕と同じぐらいのサイズの生物にしてね!』

『サイズ~?なんかわかんないけどわかった~』


 (ラザ)はこっち向いて無いし。

 これ絶対興味ないから聞き流しているやつだよ。


『このサイズと大きく違うとね。スイーツ食べれないかも知れないんだよ?』

『ボク、こまる~。どのくらい~?』


 それから、ひたすら僕とサイズのイメージすり合わせだよ。けど、(ラザ)って人と会って無いから、下手したらエリーゼやマイティを選びそうだなぁ。

 とりあえず、サイズの微調整が容易な服をメインに(ラザ)に見せて、どうか反応を伺っていたけど、興味が無いみたい。


(もう!しょうがないなぁ!僕がコーディネートしてあげるよ!ワドにお・ま・か・せ☆)


「……ワールドン様、これ本気ですか?」

「え?本気だけど?何か変かなマイティ?」

「独特な色彩センスですね。流石は画伯です」


 あ、この画伯って呼び方。褒めて無い時のやつだ!

 僕だって少しは空気読めるから。KYじゃないから!とりま、服選びはマイティに丸投げ!ドヤァ!



 そうこうしていたら、ガトーが戻ってきた。



(さすガトー!めちゃ早かったよ!)



ワドは銀に久々の再会をして、凄く嬉しそうにしています。

それはもうエリーゼが興奮して激写タイムに突入する訳です。


次回は「変化のスピードラーニング」です。

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