ドキッ!ドラゴン水着大会
前回のあらすじ
ルクルやアルがいないのに改革を強行して、国民を大混乱に陥れたワド。
久々にギルティ認定されます。
そんなある日、リッツが唐突に水泳大会をやりたいと言い出しました。
急遽、水泳大会が催される事になったよ。
いや、ガチで泳ぐ訳じゃ無いから、正確には水着大会かな?
夏のミスコンテストも一緒に行うんだ。
水着大会はウォーターアスレチックをメインに、アトラクションを利用した競争各種を予定している。ここ数日はこのイベントの具体的なところを協議していた。
「僕、やっぱり歌も必要だと思うんだ!」
水泳大会は、むうびいの魔術具での撮影が決定している。
お宝映像……もとい、皆の大切な記録だからね!
そこにカルカンから、最近確立した新技術の映像編集を行う提案がされたんだ。
新技術の導入は満場一致で可決した。
だけど、どのような映像編集をするかが揉めている。
そこで僕は、ドラゴン学院の女子生徒に歌わせて、それを映像編集でワイプ追加する案を出していた。
「あのなー、ワド。そんな昭和なアイドル水泳大会を再現しても、誰得なんだけどー?」
「ぷぷぷーw僕、伝心で教えて貰っただけですぅ~!誰得とかほざいてる張本人から教えて貰ったの~w」
「よし、ガトー。ワドを殴っちゃってー」
「なんで吾輩がそんなことしないといけないにゃん?友達に暴力は良くないぞにゃん?」
ガトーは欲しがりで我儘だけど、友達思いだよね。
リゼ、ガトー、ストローが援護射撃してくれて、どうにかねじ込む事ができたよ。ルクルは「リゼが言うなら」と言っていて、リゼにだけ甘すぎると思う。
「じゃあー、演奏全般はオールレーとマーデルに依頼するで良いよねー?」
「うん。二人に任せて楽しちゃおう!」
二人とも演奏が凄いレベルになっている。なので、他の奏者選出も丸投げしちゃおう作戦だよ。出来る人に任せるのは円滑に仕事を進める上で重要だからね。
(僕やガトーも、いっぱい白にお願いしてるしさ)
歌い手は、リッツ、プッカ、アン、コウカちゃん。
なんとか、リッツをねじ込めた。これで約束を果たせそうだよ。
リッツから「好きだった最後の思い出作り」の協力を依頼されたんだ。リッツが前に進もうとしているんだから、僕は背中を押してあげたい。
水泳大会の会場は、ポロッサ村の温泉施設に併設されたレジャー施設で行われる。ウォーターアスレチックの数々が去年よりも進化しているんだ。
ボン曰く「水着の女の子が好きなんで、あっし頑張りやした!」って事だったよ。
ウォーターアスレチックコースを紹介するよ。
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・不安定起伏浮き輪ゾーン。
・回る円柱浮き輪ゾーン。
・沈む小さな浮き輪ゾーン。
・滑り台ポロリゾーン。
・巨大円柱トンネル浮き輪ゾーン。
・巨大ボール浮き輪ゾーン。
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7つの難関がある。どれも自慢作なんだ。今回の依頼を受けて、ボンがポロリ率高めの凶悪なゾーンに改良していた。
「おーい、お疲れだよ!」
「おぉ、凄い事になってるにゃん!」
明日の開催に向けて最後の追い込みの現場にやってきた。屋台設営も進んでいる。カール先生の臨時ビアバーも屋台を出店するんだ。屋台では串揚げメインでいくみたいだね。揚げ物に合うビールが多めに用意されていた。
カール先生はそれぞれのビールに対して、子供に接するように語り掛けている。なんだか、カール先生も変な所あるよね。
「カール先生!フライングで飲みたいにゃ!」
「ダメですよ。この子達は明日までお休みです」
「そんにゃー、殺生にゃー……」
カルカンが早く飲みたいと言って、カール先生にせがんでいた。僕とガトーでカルカンを引き離し、歌の会場に移動する。
リッツ達がリハーサルを行っていた。リッツの歌はオリジナルだ。作曲マーデル、作詞リッツ。協力、僕。
この歌詞には色々と秘められた想いがあるんだ。でも、ルクルだけに伝わるように日本語を採用。そこで僕の協力が活きる訳だよ(ドヤァ)
「結構、いい感じだよね!」
「むむ、やっぱり吾輩も出たいぞにゃん」
「ダメですにゃ!参加はビキニ水着が必須にゃ!それを知ったら、トスィーテの目が深淵から帰って来ないにゃ!ガトー様は責任とれるのにゃ!?」
「…………しょうがないから止めておくにゃん」
なんか、ガトーが不穏な事を考えていたけど、関係ないからね。僕、しーらないっと。
そうして、いよいよ開催当日を迎えたんだ。
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「それではスタート!」
ウォーターアスレチックの競争が始まった。この競争と騎馬戦で競うんだ。それと同時に水着コンテストも行う。歌で参加する4人は、水着コンテストに強制参加なんだよ。
それはそうと、なんだか皆のテンションが低いな?
「こんなん詐欺やで……」
「期待値あげるだけあげて、落とすの残酷」
「あっしの、努力は……こんなのって無いですよ!」
「いえいえ、私の守備範囲ドストライクです」
「カール先生のビールうまーにゃ!……うぃっく!」
期待値をあげまくっていた男性陣には悪いけど、ウォーターアスレチックと騎馬戦は、ダフ村おばさんチームや、温泉女将ママさんバレーチームが出場しているんだ。全員人妻&子持ちだよ!(ドヤァ)
にしても、バラン君は熟女専ってのらしくて、凄く興奮していたね。世の中、色んな趣味の人がいるんだね。僕、勉強になったかな。
「オォォ!?」
(おっと、イケない。仕事だよ!)
いくら子供が成人している人妻でも女性だからね。ポロリが発生したら僕が光ガード、ガトーが風ガードする事になっているんだ。
さっきから滑り台のポロリ率が4割なんだけど、ちょっと打率が高すぎるかなぁ?
ビューーー!バシャバシャバシャ!
ガトーの風で大きめの水しぶきガードが発動した。長くは持たないから僕が光ガードでフォローしなきゃだよ。
「ワド、そろそろ時間だから吾輩は行くが……一人でガード大丈夫かにゃん?」
「んー……大丈夫!いざとなったらマイティにリーサルガードしてもらうから!」
「ワールドン様、水着までですよ?くれぐれも分かってますね?ポロリはNGですから……」
「わかったわかった。マイティは心配性だよね?」
ガトーは準備の為に去って行った。
これからは暫く一人で頑張らなきゃだよ。
「串揚げうまーにゃ!今日は最高にゃー!」
カルカンは一人で串揚げビールに大はしゃぎ。
知らぬが仏……とはこういう事をいうんだろうね?
そうこうしているうちに、競技は騎馬戦に移っている。参加者は皆、目がマジだよ。
一応、上位10名にはご褒美として、船舶コンテストでのリゾート船旅がプレゼントされるんだ。彼女達はそれを目指して真剣勝負なの。
僕がテトサの記憶を皆に共有してあげたら、あまりにラグジュアリーな旅行に皆が目の色を変えていたね。
その後、テトサにバレてプライバシー保護法案で僕が罰せられたな。
お酒とスイーツが1か月間禁止になってしまい、マジ辛かったよ。
水着コンテストの前に歌が始まった。リッツは4番手だ。プッカ、アン、コウカちゃんと歌っていく。というか、コウカちゃんって歌う時はめちゃ可愛いんだね。普段の無口な姿とのギャップ萌えがあるよ。
そして、いよいよリッツの番になった。
「貴方の手から癒しの力が溢れて♪小鳥さんが元気になったあの日、私の胸は鼓動を覚えたの♪」
うんうん。日本語の発音もかなり良い感じ。ルクルは驚いているね。それに、リゼも驚いていた。
あ……リゼには、日本語をかなり教えたから理解できているのかも?
「大好きだよ♪たとえ私が選ばれなくても、あの日の記憶は変わらない~♪そして選んだ人と幸せになって欲しい~これが私の本心♪……なんだよ!」
凄い。スコアにしたら53万が出そうかも?
……って贔屓目に見ちゃうなぁ。だってめっちゃ協力したから。
ステージの上では、歌い終わってもマイクを離さないリッツ。
思いっきり息を吸って、両手でマイクを掴んで絶叫した。
「ルクル!大好きだよ!」
「リゼお姉ちゃん!大好きだよ!」
「二人とも大好きだよ!末永くリア充爆発しろぉぉおおぉぉお!」
会場にリッツの大声とマイクのハウリング音が鳴り響いた。少し遅れて大喝采だ。皆が口々に「リア充爆発しろー」と叫んでいる。
でも、これは僕が暴露したんじゃないからね。保護法案で罰するのはリッツだけにしてね?
(もう、スイーツなしでは生きられない体なの……)
それにしても、リッツはスッキリした晴れやかな笑顔だ。好きだけど、別の道をいく事にしたんだよね?リッツが将来もし、国を出る選択をしたとしても、僕は笑顔で送り出そうと自然に思えたよ。
(これも一つの愛の形……なのかな?)
凄く満足感のある余韻に浸っていた所に、司会役のアナウンスが響く。
めっちゃ忘れていたけど、まだ進行の途中だったことを思い出す。
「エントリーNo.5!謎の覆面巨乳の猫魔族ちゃん!」
さっきまで、にゃっにゃにゃっにゃ言いながら、上機嫌で酔っていたカルカンが、ピキりと瞬間フリーズドライ状態になった。呼吸……して無さそう?
ステージの上には、覆面を被った緑色の猫魔族がいる。
(あれぇ?誰だろうなぁ?覆面してるから、僕わかんなーい!)
ビキニ水着から零れんばかりの胸パッド。6段重ねのメガ盛りだよ!
謎の覆面猫魔族さん曰く「覆面だけだとバレるかも知れないが、胸のサイズが別人ならバレないだろにゃん?」って話なんだ。
ルクルやリッツたちからジト目で睨まれている。
なんで僕を見るかな?
見るなら壇上の覆面猫魔族女子にして欲しいよね!
そこの緑色のは謎の人だから。架空の人だから。僕とは一切、関係ないから……ね!
リッツは色々な変化を受け入れ、前に進む事を選びました。
ワドも別々の道を選ぶ愛の形を学びます。
……カルカンは天国から一瞬で地獄に叩き落されましたw
次回は「軍隊いらないから貴族いらないよ」です。




