料理コンテスト開催
前回のあらすじ
ガトーは楽器、ワドは絵の具作りに勤しんで、なんとか形になりました。
芸術の才能を開花させた国民も多いです。
そして、絵画コンテスト&音楽コンクールは夏コミと名付けられました。
「あたしにリベンジの機会を下さい!」
20m先から、リッツが大声で主張してきた。
リッツは僕の部屋のちょうど端っこに陣取っている。
絵の評価が、僕と同レベルという汚名を返上したいらしく、料理コンテストを別途やりたいんだと。
(僕と同レベルが汚名扱いって何?僕、傷つくよ)
「リゼからもお願いするの。料理コンテストは出てみたいから……」
「んー、わかったー。リゼが言うならやろっかー」
「ねぇ、やるのはいいんだけど、スポーツ大会はどうするの?僕、そっちも楽しみなんだけど?」
「そうだなー、合わせてやるのはどうー?」
リゼも賛同したから、やる事になった。
というかルクルは、リゼにだけ甘い気がする。……雰囲気も甘いし。
スポーツ大会の優勝パーティーで出す料理を競うコンテストとして、同時に二日間開催する事になった。
予選日と決勝日の二日間開催。僕の国での催し物は、原則二日間開催だよ。
リゼとエリーゼの、両方が参加できないと僕が嫌だからって理由。
ちなみに、スポーツ大会はワールドカップを模して「ワールドンカップ」という名前になった。
バスケ、バレー、サッカーを同時開催だよ。
(ガトーから伝心キタコレ)
ーーーガトーからの伝心の実況中継VTRーーー
『ワドワド、スポーツ大会の詳細決まった?』
『決まったけど……ガトー、語尾忘れてるよ?』
『あ、伝心だとうっかりするな。トスィーテにはナイショにしてくれ。で、バレーあるのかにゃん?』
『種目にねじ込んだけど、ガトーは参加ダメだって』
『回転レシーブはもうしないぞにゃん?』
『それだけじゃなくて、僕らはダメだってさ』
〜〜〜ダメな理由を説明中〜〜〜
『マナ操作使わなくても出場できないとは思わなかったにゃん。それにしても忖度とはなんだにゃん?』
『僕らは神だから、皆が気をつかってわざと負けちゃうって意味らしいよ?僕も詳しくないけど』
『それよりも、聞いてくれよ。ボンは凄いにゃん!』
〜〜〜ガトーが自宅自慢中!〜〜〜
『え?3階建てなの?しかもラグジュアリー?』
『ちゃうちゃう、2階+ロフトだにゃん。キャットウォーク?ってのもあるんだにゃん。しかも硬度高めてるから、マナ力場OFFでも壊れないぞにゃん!』
『水漏れの欠陥住宅でも無いんだよね?羨ましいなぁ……僕もそういうのが良かったなぁ』
『以上、現場のガトーからお届けしたにゃん!』
ーーーガトーからの伝心の実況中継ENDーーー
ガトーは専用部屋をオーダーする為、ボンの所に出向いている。結構細かくオーダーして、満足いく仕上がりになったっぽい。
それでガトーが僕の部屋にいないから、リッツが防護服を脱いでいる。部屋の水にも極力濡れないようにしているみたいだ。
リッツは、そろそろ人族を諦めてもいいんじゃないかなぁ?
「あたし、リゼお姉ちゃんにも負けないから!」
「ふふっ、じゃあ何か賭ける?」
絵画でダメだったリッツが、めっちゃやる気を燃やしている。
リゼも自信があるみたいで、勝負を煽っていた。
ここは僕が背中を押してあげるべきだよね?
「どっちか優勝した方が、ルクルと1日デート権を賭けようか。その方が燃えるでしょ?」
「「~~~~~っ!?」」
「おいー、ワドー?勝手に俺を賞品にすんなよー」
「普段、ルクルが勝手に決めるから意趣返しだよ!」
ルクルがジト目で僕を睨んでいる。反論しようと口を開きかけた所で、リッツから宣言の声があがった。
「あたし、全力でルクルとのデート権を勝ち取る!」
「……絶対に負けられなくなったの」
ルクルが口をパクパクさせている。
(ダメって言おうとしてたのに間に合わなかったね?ぷぷぷwざまぁw)
ワールドンカップ二日間が白羊節の最終日になったので、そのまま建国祭で4日間のお祭り騒ぎの期間になったよ。異世界の黄金週間にちなんで、GWWと名付けた。
ルクルから「ネーミングセンス(笑)」と言われてめちゃムカついたけど、僕は名付けに満足している。
今年の建国祭ではコスプレ大会を行うんだ。でも、ルクルから「まだアニメが浸透してないし時期尚早」って言われたけど、僕がやりたいと主張したらエリーゼが説得してくれた。
僕に厳しい意見が多いから再教育するって、一日中エリーゼとR18な鑑賞会をしていたみたいで、ルクルはもう逆らえなくなっていた。R18は用法・用量を守ってねエリーゼ?マジで頼むよ?
リッツは、全種目と料理コンテスト、コスプレ大会も出るって意気込んでいる。
最近は、従者として仕事入れないほど多忙みたい。
リゼも、隔日で料理研究に没頭している。法務大臣の仕事が疎かになっている本末転倒ぶりだよ。でも、個人情報保護法案だけはねじ込んで貰った。
マイティからの個人情報流出で、この法案は必須だと僕にも分かったから。プライバシー大事。
他にも料理自慢が続々と参戦している。
スポーツ大会の方も練習に熱が入っている。
コスプレ参加者は……ほとんどいない。
(うーんうーん、時期尚早だったかなぁ……)
ルクルも忙しいみたいだし、暇をしているガトーに相談に乗って貰った。
深夜に皆が寝静まった頃を見計らって部屋を抜け出し、ドラゴン学院の校庭でバスケを楽しみながら、コスプレの件を相談したよ。
僕らだけの静かな校庭にドリブルの音だけが響く。
「コスプレってのは具体的に何やるんだにゃん?」
「好きなキャラの衣装を来て、撮影する感じ?」
「なんで疑問形なんだにゃん?」
「僕、伝心で見ただけで参加した事ないし?」
二人して「むむむ」って感じで悩んでいた。
「歌の時みたいにスコアつけるとかどうにゃん?」
「コスプレでスコア?なんか仮装大賞みたいになりそうでヤだなぁ」
「その仮装大賞ってのはどんなんだにゃん?早くみせるにゃん!早く早くはーやーくーにゃん!」
ガトーが急かすからケタに見せて貰ったTVの仮装大賞を【伝心】してやった。
「これ面白いぞにゃん!これやれば良いにゃん!」
「これはコスプレと違うの!」
「まだ民に理解が浸透してないんだろ?まずはここから始めてみたらどうだにゃん?」
ガトーの提案で、国民にコミケのコスプレと、TVの仮装大賞を【伝心】して、どっちがいいか意見を募った。
コスプレは3票しか集まらなかった。
アニメはまだスポーツアニメを子供たちにしか見せていないからだよ。それにワールドンカップでユニフォーム配るから、それで皆満足しちゃっているし。
コスプレ大会と銘をうったのに、中身は仮装大賞となった。僕としては、誠に遺憾な結果だよ。
悔しいからボンに頼んでスコアゲージを完成させた。
そして、料理コンテストが先行してはじまったよ。
参加希望者が多いので、1次予選、2次予選、大会本選、大会決勝と4日間に分ける事になったんだ。
審査員は、僕、ガトー、ルクル、アル、カルカン、ストロー、バラン、ポポロ、スタチオ、クラッツ。
各自2点ずつの配点で合計20点満点だよ。
学院の大食堂で参加者の料理を待ちながら、好みの料理や苦手な食材について話がワイワイ盛り上がる。
「港町の人達の創作料理楽しみにゃ!」
「港町の創作料理は吾輩いらないぞにゃん?」
カルカンとガトーが早速揉めている。審査員の食の好みが結構違うから、全員にウケる料理は難易度が高い。
「ねぇ、皆は苦手な食べ物ある?僕はセロリ」
「吾輩は魚介と臭いもの全般だぞにゃん」
「ニンニクが嫌いなのにゃ!」
そういや、カルカンはニンニクがダメだった。餃子も食べられなくてルクルに「餃子+ビール=幸せ」を知らないなんてーって揶揄われていたな。
「んー、俺は納豆かなぁー」
「ルクルルクル、僕それ知らないけど?」
「いや、嫌いな食べ物わざわざ伝えないし?」
「吾輩も興味あるからイメージ寄越せにゃん!」
「「く、くっさーーー!」」
「だから言ったじゃんかー」
(臭いなら最初に教えてよ!心の準備がいるから!)
「儂は銀杏が苦手です」
「私は甘いもん全般がごっつ苦手ですわ」
スタチオは銀杏、ストローは甘いもの……
実はストローが、これまで何度もこっそり甘いものを差し入れで持ってきてくれていたんだけど、嫌いだったのか。道理で妙に甘いもの持ってくるなーと思ってはいたんだ。
「私はどうにも、昆布巻きだけが苦手でして……」
「私はレモンです」
「俺は蜂蜜が苦手ですわ。蜂も嫌いやさかい」
バラン、ポポロ、クラッツと続いた。最後にアル。
「……私は、特に苦手な食べ物はありませんね」
「「ハイ、ダウトー!」」
僕とガトーが同時に突っ込んだ。
アルはエビとエスカルゴが苦手だよ!
あと、トラウマのせいで林檎を見ると足がすくむんだ!
隠しても無駄なのに、なんで隠そうとするかな?
「アルが嘘つくなら、皿いっぱいにエスカルゴ盛ってあげるけど?」
「嘘をついて申し訳ございません。許して下さい」
アルは涙目だったよ。
ワドは3票と主張していますが……ワド、エリーゼ、リゼの3票なので、実質2票なのでは?と言われたりもしていますね。
アルは好き嫌いがバレると利用されると考えた為、とっさに隠しましたが……二柱のお調子者の神様に白日の元へと晒されてしまいました。
次回は「ワールドンカップ・前編」です。




