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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
娯楽を充実させよう

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社交界デビュー

前回のあらすじ

イケメンのマイティにエスコートされてダンス特訓に明け暮れる日々。

テトサの頑張りによって、華やかな海鮮メニューも増えました。


※各節の補足

・白羊節(4月)

 白羊節の社交界デビューまで、必死に特訓したよ。


 礼儀作法からダンス、食事マナーまで叩き込まれていた。

 エリーゼが張り切っていたからスパルタだったし、ガトーはずっと逃げていたっぽい。


(ズルいぞガトー!)


 そして、自国で開催する社交界。

 モンアード君とルマンド君へ正式に国からの招待状を出している。

 モンアード君に招待状を送る事に関しては、凄い揉めた。だけど、ルクルが送った方が良いと言っていたからさ、送る事にしたんだ。

 と、いう訳で今日はデビューの日だよ。

 僕は赤いドレスを着て、迎賓館ホールで来客を待っていた。今日は外務大臣不在で、リゼが僕の側で転写の魔術具を構えている。


「ワド、とても綺麗なの。いっぱい撮影するの」

「リゼも踊らなきゃでしょ?」

「……リゼは、ワドか・・・(ルクル)以外とは踊りたくないの」


 ルクルって言う所、声ちっさ!好きって認めたんだから、普通に言えばいいのにね?

 最近は嫉妬よりも「さっさとくっつけよ!」って思う。


 ポポロが観光省大臣として来客を連れてきて、初対面の人が何人もいるし、女性は特に目立つ。

 モンアード君の方が立場が下っぽいけど、誰だろ?


(おっと威厳、威厳)


「お久しぶりでございます。この度はご招待頂き誠にありがとうございます」

「久しぶりだね、モンアード殿。観光は楽しめた?」

「それはもう。ですがお話の前に、ご紹介させて下さい。こちら我が王国の女王であらせられるミレール・クト・メイジー陛下です」


 切れ長な目と凛々しい顔立ちをした女性は、女王だったみたいだね。

 僕は握手を求め、手を差し出した。


「はじめまして、メイジー王国女王殿。僕がここの国王をやっているワールドンだよ」

「はじめまして、ワールドン様。伝説の存在の御方と、お会いできて光栄です」


 【伝心】(    )で探ってみたけど、特に敵意は無いみたいだ。でも暗示かも知れないから油断はしない。そこにテトサが来客を連れてきた。ロワイトと、ルマンド君と、知らない人だ。


「ルマンド殿、会うのはお久しぶりだね」

「ワールドン様、ご無沙汰しております。先にご紹介させて下さい。こちら我が王国の国王であるルーベラ・ショコラ・ブールボン陛下です」


 ルマンド君よりだいぶ若く見えるけど、国王だったのか……あ、違う。ルマンド君は若いんだった。一先ず、握手の手を差し出す。


「はじめまして、ブールボン国王殿。僕がここの国王のワールドンだよ」

「はじめまして、ワールドン様。ホリターの者から話は聞いております。所で、ルクル殿はいらっしゃらないのですか?」


 ん?なんでルクル?とりあえず返事はしなきゃだよね。


「彼はまだ幼いから、こういった場は遠慮して貰ってるんだ」

「後でお会い出来ないでしょうか?」

「えと、本人に許可取らないと僕が怒られるから、確認して折り返すでいいかな?」

「……はい。構いません」


 う……僕の回答で、僕よりルクルの方が上だと認識されたっぽい。

 【伝心】(    )で読むと、ロワイトがプッシュしているから会いたいと思っていて、同盟の話を持っていくのも、僕よりルクルの方が早いってバレた。


「なんか堅苦しい挨拶ばかりで、疲れたよ」

「ワールドン様、これからダンスですよ?」


 アルが僕の顔を覗き込んで、当たり前の事を言ってきた。


(そのくらい知ってるし?)


「知ってるけど?」

「なら、そんな嫌そうな顔をしないで下さい。誘いにくいですから。笑顔が大切ですよ」


 そんなに嫌そうな顔していたかな?自覚無かったなぁ。とりあえずドヤ顔キープしとこ。

 そこへ音楽が流れてきた。

 僕の国で楽器を演奏できる人はほとんどいない。だから、ルマンド君に頼んで、演奏をカラオケの魔術具に録音させて貰っていたんだ。


「ワールドン様、ご挨拶とご紹介をさせて下さい」

「ロワイト……殿。久しぶりだね。そちらの御人は?」


 紹介された彼はロウム・バール宰相。

 かなり若く、アルより年下かも知れない。

 にこやかな雰囲気で近づいてきた。僕は握手の手を差し出す。


「はじめまして、ロウム・バール宰相殿」

「お初にお目にかかります、ワールドン様。以後、お見知りおき下さいませ。私の事はロウムと呼び捨てで構いません」

「ロウム、よろしく。君はアルフォートより年下?」


 ロウムの眉がピクッと動いた。なんか気にしていることを指摘したっぽい。


「私はアルフォート殿よりも、7歳も年上ですよ?そんなに幼く見えますか?」

「えと、僕はドラゴンだから、人の年齢に疎いんだ。ごめんね?決して身長で判断した訳じゃないよ?」


(あれ?謝ったのに、なんか傷ついてるぞ?なんで?)


「ハハハ……私は低いですから。ヒールをお履きになられてるワールドン様と並ぶと、私の方が低いかも知れませんね」

「ん?でも、君の靴も厚底のシークレットシューズだよね?13cmって結構盛ったね?」


 ピキリと場の空気が凍ったよ。あ、あれ?


「ワールドン様、私の靴と勘違いされてますね。私が昨夜お伝えしてた事と、混同されてるようです」


 なんか、アルが会話に割って入ってきた。

 お、【伝心】(    )のサインだ。


『アルどしたん?そんな話はしてないし、君の靴は普通のだよね?』

『ワールドン様、シークレットシューズは気づいても、指摘してはダメです』

『でもでも、嘘は良くないよね?』

『今のワールドン様は、カルカン並みのKYです』


(マ!?衝撃の事実なんですけど!?)


『今後は全力でスルーするよ!』

『それが宜しいかと。常識知らずがこんな形で出るとは思いませんでした』


(だって、スルー推奨なんて教えられて無いから!僕、悪くない!)


「……内密の相談は終わりましたか?」


 【伝心】(    )に夢中で会話放棄していたので、ロウムの言葉にドキッとした。


「えと、あのその……アル、ヘルプ!」

「……ロウム様、宜しければダンスに誘われてはどうですか?」


 少し考えていたロウムは、僕に手を差し伸べた。


「ワールドン様、一曲踊って頂けますか」

「喜んで」


 それから、ダンスに興じたんだけど、ロウムはリードがヘタだよ!何度かロウムの足を踏みつけちゃった。でも、リードが悪いから……僕、悪くないし!

 モンアード君やルマンド君とも踊ったけれども、リードはイマイチだった。というか、マイティのリードがうますぎだと今気付いたよ。


 アルはメイジー女王と踊っていた。二人共、結構上手い。テトサがロウムと踊っていて、こっちも様になっている。


(あれ?ひょっとして……)


「リゼ、聞きたいんだけど」


 さっきからローアングラーで激写しているリゼに近づいて話しかけた。


「ワド、しょんぼりしてる表情も可愛いの」

「僕って、ダンス下手なのかな?」

「え!?どど、どうでしょう?リゼわからないの」


 あー、やっぱり僕が下手なのか。マイティがうますぎて気づかなかったよ。リゼは誤魔化すの下手だなぁ。

 そう思っていたところにバラン君がやってきた。


「ワールドン様、食事と歓談に移っても宜しいでしょうか?」

「うん。バラン君に任せるよ」


 バラン君が仕切って、式典は滞りなく進行している。

 メイジー女王がこちらへ来たよ。


「ワールドン様、素晴らしい海鮮料理の数々です。とても驚きました」

「ハハハ!平民ばかりだから貴族向けの料理なんか作れないって、そりゃ僕の国民を舐めすぎだよ?」

「……これは失礼しました。心を読まれると分かっていても、中々難しいものですね」


 ま、仕方ないよね。それに驚きは本心だしさ。


「称賛は素直に受け取っておくよ。そこの料理は、あそこにいるテトサが開発したんだ」

「これだけの創作料理を1人で?」

「呼んで聞いてみようか」


 テトサに【伝心】(    )を繋げる。


『御用でしょうか?ワールドン様』

『女王が、料理に興味持ってるから来てくれる?』

『はいっ!すぐに行きます』


 テトサが、優雅な歩みでこちらへやってきた。動きが洗練されていて、見た目じゃ平民だって分からないよね。薫衣草の香りも、いつもより上品に感じるよ。


「お呼びと伺いました。メイジー女王陛下」

「其方、本当に平民なのか?」

「はい。平民でございます。メイジー女王陛下」

「ミレールで良い。それでこれらの料理は1人で創作したのか?どのように思いついた?」


 テトサがチラッと僕を見た。なんだろ?でも、知ったか&ドヤ顔しながら頷いておいたよ!(ドヤァ)


「はい、ミレール陛下。これらの創作料理の原案は、ルクル様に教えて頂きました」

「ルクル様?どちらにおられる方か?」

「本日の宴には参加しておられませんが、我が国のギルドマスターを務めておられます」

「ギルドマスターとは?」


 メイジー女王は混乱していたけれど、無理もない。

 ギルドマスターって言われても分かんないよね。僕が説明しとくか。


「メイジー女王殿。ギルドマスターとは、ギルドを統括する長の事を言うんだ(ドヤァ)」

「ギルドとはどのようなものでしょうか?統括と言う事は、ある程度の規模がお在りで?」


 僕は、サーッと血の気が引いたよ。なんでギルドも無いのにギルドマスターなんだろ?上手く説明出来ないぞ?


「えと、それは……あ!そうだ!国家機密!国家機密ですから~!(ドヤァ)」

「……なるほど。不躾な質問をして失礼致しました」


 それから、色々と質問された。インフラ、ホバーバス、食料改善、衛生改善、教育制度……etc.

 どれを質問されても、最終的にルクルになってしまうんだ。メイジー女王はルクルに興味津々だったよ。

 こ、こんなはずじゃ無かったの!テトサがルクルって教えちゃうのが悪いんだから!僕、悪くない!


「是非、ルクル殿との会談の場を設けて頂きたい」

「それは、我が国としてもお願いしたいですね」


 メイジー女王とブールボン国王の、両方から名指しで要求されだした。


「ま、前向きに検討するね?ルクルに相談してからじゃないと僕が怒られるからさ」



 僕のセリフを聞いて、国のトップ達は笑みを深めたよ。

 ごめんルクル!なんか面倒な事になったっぽい!?



テトサが、ルクルの事を話して良いか確認の目配せをした時に、知ったかで頷いたワド。

テトサのせいにしています。

それと今更、ギルドが無いのにギルドマスターだけいる違和感に気付いたようですw


次回は「首脳会議」です。

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