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ドラゴンの人生探求  作者: 元毛玉
ドラゴン学院

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周辺村の取り込み

前回のあらすじ

銀を探索している間に事態は大きく変わります。

ワドが最も信頼していたモンアードは敵でした。ワドはショックを受けています。

そして、カービル帝国への報復が決定されました。

「じゃあー、メイジー王国とカービル帝国の、国境沿いの村々を接収するよー」


 色々と腑に落ちないけれど、会議はどんどん進む。

 ルクルは想定通りに進めているんだろうけどさ、全然説明が足りないよ!


 接収するカービル帝国の領土は以下。

─────────────────────

・シオトベ村。

・セトチ村。

・港町キシガイ。

・港町ナーハ。

─────────────────────


 セトチ村以外は、全部行ったことがあるよ。

 シオトベ村は、王都予定地の不動産下見で訪ねた。秘境だったけど、温泉は素晴らしかったな。

 港町キシガイは、メコソン元兵士長と出会った港町だ。彼の家族もそこにいる。今回を機に、人質から解放するらしい。

 港町ナーハは、僕が港町巡りで2番目に訪れた港町。港町キシガイよりも北に位置し、メイジー王国との国境に最も近い港町だ。カシーナック大陸での、カービル帝国の最北端の港町でもある。

 セトチ村は、港町ナーハとシオトベ村の、中間に位置する村だ。その3箇所がメイジー王国との、国境沿いの村や港町になる。要はメイジー王国とカービル帝国が、陸続きで無くなる訳だよ。


 報復はあまりしたくないけど、必要って事なら仕方ないと思う。

 押さえる地域も納得は出来た。だけど……


「黒幕を、モンアード君に押し付けるってのはなんなの?ちゃんと説明してよ!」

「んー?どっから説明必要なんー?」

「ルクル、ワールドン様には私から説明します」

「お、じゃあーよろしくー」


 アルから説明して貰った。

 モンアード君の元々の構想としても、カービル帝国との陸続きを無くす予定との事。僕を抑止力として最大限活用するには、国境沿いを全て制圧させる事が、前提になるからだとさ。

 モンアード君を黒幕に仕立てあげる事で、カービル帝国の恨みをモンアード君に押し付ける。それを、モンアード君への制裁とするという構想らしい。制裁は、ホリター公爵家の面子の為にも必要との事。

 ……更には、メコソン元兵士長を二重スパイとして、今後も利用させる為にも必要だと。モンアード君からの情報提供があったと、メコソンから流す訳だ。

 つまり、メコソンは幹部に近い所から情報を仕入れられる存在……それを印象づける。他のスパイも入るのが予想されるけど、有用性を見い出せば今後もメコソンを利用するだろうと言う事だった。


「というわけです。これで全部ですよ」

「な、なるほどね?」

「あら?足りてませんの」


 リゼが、アルの説明に不足があると指摘した。


「何かご不満ですか姉上?」

「だって、モンアード卿を救うのも含んでるのでしょう?ね、ルクル?」

「え?ほんとなの?僕、聞いてないよ?」

「まぁねー、でもさー、別に教えなくてもよかったんだよー?リゼ?」


 リゼが顔を少し赤くして、言葉を返した。


「だって、ワドがルクルの優しさに気付かないなんて……リゼは嫌なの」

「救う?カービルとの海戦で、手一杯になる事が救う事ですか!?姉上!」

「海戦にはならないの。だってそれをワドが望まないから」


 うん、僕はモンアード君が大変なら助けるよ。

 でも、それだけが正解じゃないみたい。正解は1つじゃないんだね。【伝心】(    )でルクルを読み取ると、モンアード君の立場を救うのが主らしいよ。

 驚愕しているアルに、僕が補足したよ。


「それだけじゃないよ……モンアード君の、メイジー王国での立場を守る為だよ」

「ワールドン様!?」

「おーい、ワドー。勝手に読むなよなー」

「ルクル!説明して下さい!」


 アルは凄く興奮しているな。そんなに熱くならなくても良くない?

 アルへ落ち着くように促しながら、ルクルが皆に説明を始めた。


「今回のモンアードの行動は、メイジー王国としては不本意な領域に達してるんよー」

「そうなのにゃ?」

「んでー、ダフ村の親戚からメイジー王国に、今回の件はいずれ漏れるんよねー」

「~~~っ!そう言う事ですか!」

「アルの読みはいい線までいってたよー」


 アルは理解できたみたい。

 だけど、カルカンが挙手して質問している。


「私はまだ理解できてないにゃ。アル氏、教えて欲しいのにゃ」

「ルクルに聞けばいいでしょう!」

「ルクル氏は難解だし、全部は教えてくれないのにゃ。だからアル氏に聞きたいにゃ」


 アルの強張りが緩んだ。ナイスKYだよ。


「モンアードはカービル帝国と結託して、ワールドン王国を攻めました」

「そうにゃ」

「メイジー王国としては、看過できません。モンアードを切り捨てるでしょう」

「確かに……にゃ。それだとカービルに加わる流れにゃ?」


 アルはゆるく首を振った。


「カービルは受け入れません。切り捨てるでしょう」

「孤立するにゃ?」

「メイジーから討伐されるでしょう。その貢献を持って、メイジーから和平提案がある流れだったかと」


 アルはルクルを見ながら一呼吸おいて、軽く地図上での動きを交えながら説明を続けている。


「だから、カービルをハメる為の策で、ワールドン王国と繋がっていた方が、都合が良いのです」

「わかり易かったにゃ。ありがとうにゃ」

「いえ、カルカン……助かりました」

「何がですにゃ?」


 アルは冷静さを取り戻した。カルカンは自分自身のファインプレーを理解できていない。

 だってKYだからね!


(救う為なら……僕、頑張るよ!)


 取り込む順番を決定し、会議は終了。

 早速、港町キシガイを接収する準備に取り掛かる。メコソンの家族の解放もあるけど、港町で鉄道が通っている箇所を押さえるのが、急務なんだってさ。


 当然、奪還に来る可能性も高い場所だ。

 誰を配備するのかは、揉めたなぁ。けれど、防衛大臣のカルカンを配備する事になった。ルマンド君から借りている作業員は、暗部の人もいたので、彼らから5人を出向させる。

 魔術具の開発が、カルカン不在で滞る事が予想されるけど、暫くは仕方ないとの事だよ。

 港町ナーハにはエリーゼ&リゼとマイティ、暗部から2名を出向させる。セトチ村にはガトーとボン、暗部から3名を出向させる。

 王都のインフラは整って来たので、セトチ村から王都と港町までの、インフラ整備を進めてくって訳。ガトーには戦力兼ブラック重機としての役割があるんだ。


(本人いない会議で行く事が決定しちゃったよ?)


 ガトーの説得は、ルクルが行うんだ。何食わぬ顔で、配備した後の計画を立てていたから……巻き込まれは確定しているっぽい。

 作戦の決行だ!……って意気込んだのだけれども、驚くほどあっさりと接収できた。

 ルクルが言うには、カービル帝国は一旦放棄して見せたのだと。エリーゼに秒殺されたので、正面切って戦うべきではないと判断したらしいよ?

 まぁ、エリーゼだと、あの10倍の戦力でも1分かからないからね。


 ほんでもって、間者がどのくらい配備されていたか確認するのが、僕の役目なんだよ。

 とは言ってもさ、ある程度まとめて【伝心】(    )で2つ質問するだけなんだ。


『軍事機密を知っているか?』

『ワールドン王国の機密に興味あるか?』


 これだけ。


 これで反応を見せたら、ジャック達が調べる流れになっている。

 港町キシガイで13人、港町ナーハで11人、セトチ村で25人、シオトベ村0人。


(セトチ村、多いよ!って思った。だって、過半数超えてるし?)


 でも、ルクルが言うには当然だとさ。

 ワールドン王国と、メイジー王国に最も近いセトチ村は、要所だから送りこまれる人数も多くなる。現地での協力者も用意しているだろうから、必然的に人数が多くなるそうだ。

 実はシオトベ村が一番近いんだけど、秘境すぎて間者を配備するには向かないとの事。

 まぁ……6人しか住んで無いしねぇ。あそこには家族経営の温泉があるだけだよ。限界集落ってやつかな?

 港町ナーハ&キシガイは建物が全体的に低めだった。雪は降らないらしく、台風が多いみたいで屋根も平べったい建物ばかり。

 ブールボン王国の建物と全然違うのが面白いね。

 無事にメコソンの家族は救出でき、王都で暮らして貰う事になった。


 その後、モンアード君に【伝心】で間者候補の中から知っている人を聞き出し、その情報が流れている事を、メコソンからカービルに流す。他にも、モンアード君とドウエン将軍の密約情報を流して貰った。

 ルクルから上手く釣れたって連絡あったよ。ドウエン将軍……ご愁傷様。


 って訳で、国民総出で竹苗を植える作業中だよ。国境林を急ピッチで作るの。

 そして、防護結界も用意したんだ。

 僕とガトーのマナ鉱石に加えて、青のマナ鉱石も使ったすんごいやつ。台風の雨風も、普通のレベルに落とされる。災害に強くなったよ。しかも、全体的にやや疲労回復効果があるんだ。

 ふふん、作業効率に一番貢献しているの、僕のマナを使った防護結界ですから!(ドヤァ)


─────────────────────


 国境林の構築は順調に進み、あと2日で双魚節という時期に、来訪者が現れた。


(いったい誰だろ?)


「お久しぶりです。ワールドン様」

「お初にお目にかかります、バラン・カーボスと申します。以後お見知りおきを」


 ロワイトと、長身の貴族と思われる男性だ。

 そういや、ルマンド君が推薦してくれた人の名前に似ているような?

 ロワイトも長身だけど、隣の彼はそれ以上だった。

 髪はクリーム色で、瞳はダークブラウンの彼が、ルマンド君の推薦してくれた人らしい。

 僕は握手の為に、手を差し出した。


「はじめまして、バラン君。ようこそ、僕の王国へ」



(なんだか、とても忙しくなりそうだよ)



ガトーに仕事が増えましたが、自分が出てない会議で仕事が積まれるのも、ブラックあるあるですね。


シオトベ村は村というより民家ですね。(苦笑)

高齢化&人口流出で人が居なくなった、ほぼ廃村に近い村です。


次回は「留学生と副担任」です。

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[良い点] 新たなキャラ登場ですね!楽しみです [一言] 6人って限界突破してますね〜、なんなら2世帯しかいないのかな?
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